goo blog サービス終了のお知らせ 

経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 「社会性もつAI」を活用し高齢・過疎対策に挑む 93279822

2020-03-30 16:50:59 | 【心 de 経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 「社会性もつAI」を活用し高齢・過疎対策に挑む 93279822

【元気な企業紹介・成功企業の紹介】は、毎回拍手をいただいています。

 皆様から寄せられたり、私が支援したり見聞した企業で、元気な会社、成功している会社・お店等などを紹介します。貴社経営のご参考にして下さい。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

 

■ 「社会性もつAI」を活用し高齢・過疎対策に挑む 93279822

 

 少子高齢社会に突入した日本。2040年には国内1800自治体の半数が消滅する、との予測もあるほど状況は深刻だ。それ以前に現在進行する過疎化にどう取り組むのか、決め手となる対策は未だ聞くことがない。過疎地域で暮らす高齢者がより良い生活を営める工夫はないのか。さらに都会も含め増加する独り暮らしの高齢者たち。そこには常に孤独死の不安が付きまとうといわれている。孤独死の経済損失は年間で数兆円にも達するという調査もあり少子高齢社会への対策は、日本経済の先行きをも左右する問題といえる。

 「これほどICT技術が進展しているのに、なぜ高齢者対策に応用ができないのか」と素朴な疑問からAIを活用した見守りシステム「御用聞きAI」を開発したのがエルブズ(東京都渋谷区)の田中秀樹代表取締役社長。国内最大手のシステムインテグレーターで研究者としてWebシステム開発に携わった後、ソフトウエアエンジニアリングについて大学で教鞭をとり、さらに起業家として経験を重ねてきた。農業をITで活性化する取り組みの中で、過疎地での買い物弱者、交通弱者の人たちに触れ、新たな挑戦の場を見いだした。

 AIが高齢者の生活を補助する「御用聞き」になればいい。スマホ、タブレット端末などを使ってもらうが、見やすい画面、操作性のよいシステムを構築すれば問題はないはず。こうして新会社を立ち上げた田中社長の胸には「不安なく高齢者が暮らす過疎地域の未来像を夢見た。多くの過疎地がつながりを持ちメリットを共有する“過疎地連携経済圏構想”を目指し、新事業を立ち上げた」と語る。

 2016年2月の設立から2018年4月のサービス開始前まではシステム構築よりもニーズ把握に全勢力を向ける日々。全国の過疎地を回り高齢者との対話から何が必要なのかを探った。「これが原点だ。今も週末は過疎地を訪ねている」と人の役に立つICT活用への情熱は燃え続けている。

 重視したのは監視システムにしないこと。そのためには高齢者が能動的に端末に向き合えるよう、興味を抱いてもらえる内容を入れ込んだアプリを開発した。関心を示すのは(1)子供自慢(2)雑談(3)お悔み情報―の3点。田中社長が足で稼いだ成果だ。東京六大学、自治体などと連携した実証実験を経て、京都府南山城村に導入され好評を得ている。

 予算措置が難しい自治体へは、無料で利用できるプランを用意したほか、大企業との連携を通し全国への普及を目指す。同時に認知症対策や元気度チェック、電子マネーを組み込むシステムなどの導入も準備中。さらに、日本と同様に急速な高齢化社会を迎えるアジアへの展開も視野に入れ、システムの完成度を高めていく方針。生まれ育った地域で安心して暮らせるようサポートするのが「御用聞きAI」であり、独り暮らしの高齢者を「寂しさゼロにする」取り組みでもある

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

【経営コンサルタントの育成と資格付与】
since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会
 
 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
 
 詳しくは、サイトでご覧下さい。 

 

 
    ↓ ↓  クリック
 日本最古の経営コンサルタント団体・日本経営士協会とは
 資格取得についてや入会の手続等
 コンサルタントへの依頼、講師捜しに関する情報
 コンサルタントとして成功するための各種情報
 経営や管理などに関する各種有益情報
 経営コンサルタントによるセミナー
 お問い合わせや入会・資格取得のお申し込み
 会員専用のID/パスワードが必要です

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200325 大前研一氏の『日本の論点2020~21』

2020-03-24 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200325 大前研一氏の『日本の論点2020~21』

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

  『日本の論点2020~21』

        (大前研一著 プレジデント社)

■ 大前研一の俯瞰するこれからの日本・世界観を見てみよう(はじめに)

 著者の大前研一は、英国エコノミスト誌から、「現代世界の思想的リーダー」として、ドラッカー(故人)やトム・ピータースと共に名前が挙げられています。

 著者がプレジデント誌に連載している「日本のからくり」の過去1年分のストック及び特集記事から読者の反響の大きかった記事に、加筆修正して出版したのが紹介本です。

 紹介本の副題は『「アホ」が支配する世界で私たちはどう生き抜くか』です。この副題が表しているように、前月ご紹介した『日経大予測2020「これからの日本の論点」』の様に世界・日本のPESTを総覧的に俯瞰するのではなく、大前流の世界・日本観を論じています。

 その意味では、日頃私たちがマスコミで見るのとは異なった結論に至る論説をいくつか見出します。それが紹介本の特徴であり、私達の頭の中に一般的な結論とは異なった見方を認識できる良い機会とも言えます。

 著者は、‟巻頭言”の中で「世界各国で台頭するポピュリスト政治家たち」「‟異形の大統領”トランプに破壊されたアメリカの政治システム」「世界の経済史の中から完全に消えた‟泰平の眠りについていた日本”」「日本の再生を妨げているのは、過去の成功体験だ」等と大前流の突っ込んだ論説を窺わせています。

ところで、2020年をスタートにこれからの世界・日本がどうなるのか、どの様

に対応すべきか、著者は「改革でも改善でもないゼロからスタートする時」と記述しています。その記述は、その様な厳しい時と伝わってきますが、何をすればよいのか分かりません。その取り掛かりを、紹介本の大括り項目の「日本編」「世界編」「特別編」から、各編の注目に値する論点を一つずつ選んで、次項でご紹介します。

■ 各編の注目する論点を見てみよう

【「日本編」『国の借金を容認する、嘘っぱちMMTに騙されるな』】

 2019年4月4日の国会の答弁で、安倍総理は「MMT(Modern Monetary Theory)の理論を実行しているわけではない」と述べています(2019.4.4ロイター・東京)。

 一方、『通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、インフレにならなければ財政赤字の膨張は問題ない、国は破綻しないとする学説「現代貨幣理論(MMT理論)」』の提唱者であるステファニー・ケルトン教授(NY州立大学)は、2019年7月16日都内で講演をしました。物価上昇を目指した金融緩和が続く日本の財政政策について「中央銀行の金融政策よりも、消費者の所得を向上させる財政政策の方がより直接的に機能する」と述べています(2019.7.16日経電子版)。

 又ケルトン教授は、講演とは別に、MMT理論に関係して、「巨額債務を抱えているのにインフレも金利上昇も起きない日本が実証している」「日本の景気が良くならないのは、インフレを恐れすぎて財政支出を中途半端にしてきたから」「MMTは日本が直面するデフレの解毒罪になる」とも述べています(紹介本より)。

 紹介本の著者は、MMT理論に関し『次の世代に重荷(国の債務)を押し付けて今の繁栄を享受したいと思っている人にはMMTは心地よく聞こえるかもしれないが、将来世代からすれば、「危険物・リスク(財政赤字)の解消は現役世代の責務」と考える。この問題を放置すれば、世代間闘争も勃発する可能性もある。』と指摘する。更には、『「インフレも金利上昇も起きない日本」の基本的な要因は「低欲望社会」である。しかし、リタイア―世代が、‟団塊世代”の後の‟バブル世代”となり「低欲望社会」から「高欲望社会」に移行した場合、インフレが起こり、MMTのご臨終と、中央銀行の大規模金融緩和政策の終焉に繋がることは言うまでもない』と指摘します。

 

【「世界編」『世界を覆う「ポスト・トゥルース」とワーキングプア反乱の問題点』】

 著者は、現在の世界政治の現状を、『政治のリーダーが「ワーキングプア」層に対し目をそむけたくなるような「真実」よりも聞き心地の良い「嘘」を放って世論をリードしていく、「ポスト・トゥルース(post truth 、脱・真実)」に走る政治家の台頭が欧米先進国で目立つ』と言います。アメリカのトランプ政権、イギリスのブレクジット、イタリアの「五つ星運動」と「同盟」の連立政権、ドイツの反EUの右派政党「ドイツの選択肢(AID)」の台頭などを具体例として挙げています。

 更には、これはポピュリズム、衆愚政治の極みと表現し、格差が広がり社会構造が二極化する中で、富の偏在を修正したり、社会に還元させたりする本来の政治の役割を果たさず、逆にそれを煽った方が票につながるとして「ポスト・トゥルース」に走っていると指摘します。

 一方、日本においては驚くほどワーキングプアが政治勢力化していないとして、その一つの要因として、身の丈に合ったような生き方を選ばせるような戦後の偏差値教育が強く影響していると指摘します。

 

【「特別編」『日本を成長させるのは「構想力」を持った人材である』】

 著者は、日本の低迷を「文部科学省が国内でしか通用しない人材をひたすら輩出している」ことを要因として挙げ、グローバルに通用する「論理的思考力」と「語学力」を育てる教育プログラムの必要性を説きます。更には、『経営は答えのない世界。そこで求められるのは見えないものを見る力「構想力」であり自分で答えを導き出す能力とスキルだ。これからの企業の浮沈はそれらを持ったグローバル人材をいかに世界中から集めてくるかにかかっている。』と指摘します。

 

【その他の「論点」】

 上記以外にも

〔日本編〕:「憲法8章を換えない限り、日本の地方衰退は進んでいく」

〔世界編〕:「いまや再選絶望のトランプ。次期大統領の候補は誰か?」

〔特別編〕:「21世紀サイバー経済でパスポートとなるのは、どんなスキルか」

等、大前研一流の知見と深い洞察力で書かれている「日本の論点」が多く掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。

「改革でも改善でもないゼロからスタートする」の意味を考えよう(むすび)

 著者が唱える「ゼロからのスタート」は、深い意味を持っていると思います。世界・日本を見渡しても、新しい予測不能な事態が次々と出ています。

 その様な不確実性の時代に生き抜いていくためには、感性の高いアンテナを張りめぐらし「メタ」を得、そこから導き出される情報を生かしながら、迅速且つ持続的・適切な企業経営のマネジメントを求められる年になりそうですね。

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴40年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 電力ロス少なく低コストのパワー半導体開発 94039926

2020-03-18 16:29:00 | 【心 de 経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 電力ロス少なく低コストのパワー半導体開発 94039926

【元気な企業紹介・成功企業の紹介】は、毎回拍手をいただいています。

 皆様から寄せられたり、私が支援したり見聞した企業で、元気な会社、成功している会社・お店等などを紹介します。貴社経営のご参考にして下さい。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

 

■ 電力ロス少なく低コストのパワー半導体開発 94039926

 

 パソコンとコンセントをつなぐ途中に必ず存在するのがACアダプター(電圧調整器)だ。このアダプター、長時間使っていると熱を放つ。コンセントから取り込んだ電力をパソコンなど電子機器に伝えるときに電力の損失(ロス)が出てそれが熱に変わってしまうのだ。アダプターはたいてい箱状の形をしていて重さがあり、出張時など持ち歩きに不便だ。

 既存のACアダプターより電力ロスが少なく、機器も小さくできる技術が実用化目前だという。核になるのは京大発のベンチャー企業、FLOSFIA(京都市西京区、人羅俊実社長)が開発した酸化ガリウムを使ったパワー半導体だ。

 酸化ガリウムとは、酸素とガリウム(Ga)の化合物。ガリウムは青色発光ダイオードなどに使われている元素だが、酸素と化合させてコランダムという自然界に存在しない特殊な構造をした膜をつくることに京大が世界で初めて成功した。ガリウムを特殊な溶媒に溶かし、霧(ミスト)状にして基板に流し込み、霧が基板に降着する寸前に加熱して溶媒を乾燥(ドライ)させて化学反応を起こす。すると基板上に1ミリの100分の1程度の数10ミクロンの酸化ガリウムの薄膜が合成される。この製法はミストドライ法と名付けられ、国内外で300件超の関連特許を出願済みだ。

 ミストドライ法は液体を原材料として使うので反応温度が高温にならず、加工プロセスの自由度が高い。他の材料より低コストでもある。FLOSFIAはこの製法で金属や高性能セラミックスヘの成膜のほか、電気器具に安定した電源を供給するのに欠かせない大きな電流を流せるパワー半導体のデバイス(電子部品)をつくっている。まず酸化ガリウムをつくり、次に微細加工して電子部品機能を加え、最後に全体の構造を作り込む。試作品は損失低減の目安となる『特性オン抵抗』値で世界トップデータを出した。

 ACアダプターから発生する電力ロスは日本全体では原子力発電装置1基分にも相当するという。酸化ガリウムのパワー半導体は長期的には電力ロスをいま最先端のデバイスの10分の1にできるというから、SDGs(持続可能な国際目標)に適う。応用分野はACアダプターだけに留まらない。家電やデジタル機器、クルマや鉄道車両の駆動など世の中には電力が必要な分野があまたある。人羅社長は「酸化ガリウム市場を定着させ、将来は売上高数千億円、従業員数千人規模の事業をつくりたい」と前を向いている。

 

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

【経営コンサルタントの育成と資格付与】
since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会
 
 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
 
 詳しくは、サイトでご覧下さい。 

 

 
    ↓ ↓  クリック
 日本最古の経営コンサルタント団体・日本経営士協会とは
 資格取得についてや入会の手続等
 コンサルタントへの依頼、講師捜しに関する情報
 コンサルタントとして成功するための各種情報
 経営や管理などに関する各種有益情報
 経営コンサルタントによるセミナー
 お問い合わせや入会・資格取得のお申し込み
 会員専用のID/パスワードが必要です

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 日本経済低成長からの脱却 松元 崇 著  NTT出版

2020-03-12 09:17:22 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】0922 日本経済低成長からの脱却 松元 崇 著  NTT出版

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

『日本経済低成長からの脱却』(松元 崇 著  NTT出版)

 

 

■ 日本経済低成長から脱却することの意義(はじめに)

 著者は、内閣府の元次官で、アベノミクスの立ち上げに参画した経験を有します。その様な著者が政権の当事者ではなく、第三者として客観的に日本経済を俯瞰し、日本経済の課題の核心を突き、対応策を提言しています。著者が指摘する現在の日本経済の問題点を以下で見てみましょう。

 

【世界の中で縮み続けている日本】

 世界の経済構造が1990年代以降大きく変わりました。それは、IT技術の進歩と通信コストの激減と自由貿易体制(米中もEUも保護主義的な政策をとりながらも、自由貿易が大切との看板は下ろさない)により、モノの生産という点で、世界が一つの国になったことです。世界は、グローバルな競争の中で、得意分野に経営資源を集中し、不得意分野は切り捨てる、「選択と集中」の時代になったのです。しかし、日本国内では雇用慣行などにより「選択と集中」が難しく(特に撤退が難しい)、日本企業は、撤退の伴うリスクは海外で投資をする形になってしまい、国内経済成長の低下要因になっているのです。技術革新力、研究開発費はOECDの中で、ドイツ・アメリカと並んでトップクラスにも拘らず、企業が国内の投資に向けない結果、成長率低下の一因となっているのです。

 

【成長会計から分析する日本の経済成長率の低迷】

 日本が低成長になっている事を、成長会計という手法で分析しています。経済成長には①技術革新など②資本③労働力が必要とされます。労働と資本の貢献以外を全要素生産性=TFP(total factor productivity)という概念で捉える理論です。著者は「スエーデン型」と「米国型」を示し、日本と比較し、日本のみが国内における機械・設備等(=資本)の投資が小さく、低成長の大きな要因とします。著者は少子化による労働人口の減少は、労働生産性の向上に加え、資本とTFPの増強で十分カバー出来ると考え、その中でも特に、日本国内への「資本」の増加が成長力強化に有効であると説くのです。2018年のGDP成長率は、アメリカ2.86%、スエーデン2.34%に対し日本は0.81%(IMF統計)。約2%の格差の内、日本国内への資本投資の少なさによるGDP成長率の低下要因を1%と見積もった場合、毎年5.5兆円のGDPが失われている事になります。これが既に20年以上続いたことにより、110兆円(5.5×20)が失われたことになります。結論として著者が言いたいことは、スエーデンは負担が高いと思われているが、日本も低成長の結果として、高い負担と同等の「隠れた増税(得られるべき所得が得られない)」が行われ、これからも「隠れた増税」が続くと言う事です。『「選択と集中」環境+高福祉の「スエーデン型」』を選ぶか、『「選択と集中」環境+格差社会の「米国型」』を選ぶか、『「選択と集中」環境がなく「隠れた増税」』を続けるのか、日本は今、その選択を求められているのです。

 

【労働生産性が伸びず賃金も上がらない元凶は日本の労働慣行】

 「選択と集中」環境を損なっている元凶は、終身雇用制、解雇権濫用法理、「ジョブ型」ではない「メンバーシップ型」労働契約・採用、等にあるとします。詳細は紹介本に譲るとして、一朝一夕では変えることのできない難しい課題が存在することを認識しておきたいと思います。

【働き盛り世代の貧困を回避し、年金制度を維持するには、低成長からの脱却が必須】 

 いわゆる2060年問題、それは高齢者一人を現役世代一人が支える時代です。2015年にGDP比25%の社会保障費は、45年後には30%になると推計されています。もし毎年経済成長率が1%アップすれば、45年後にはGDPが45%増えます。又日本の労働生産性が米国の約半分ですが、これを米国並みにすれば、現役世代の人口が倍増したのと同じ効果があります。つまり、著者のメインテーマは、社会保障の持続可能性の維持、それを支える側の所得(一人当たりGDP)を大きくして行く事、その為に低成長から脱却し先進諸外国並みの経済成長力を達成する事なのです。

 

■ 日本経済低成長から脱却するための提案

 「低成長からの脱却」について、著者の考えを、ご紹介しましょう。

【「働くことの幸せ」を国も一緒に創り上げるー国が現状を変える先行投資をー】

 著者の主張のポイントは、日本国内市場が、日本企業は勿論、世界の企業から選ばれる市場にすることです。つまり、『思い切った「選択と集中」』が出来るよう、日本の雇用市場を柔軟なものに改革することです。単に柔軟にするだけでは、格差社会が広がる「米国型」になってしまいます。転職する人がキャリアアップして、所得が増える仕組みを作っていく「スエーデン型」を目指すべきとの主張です。その様な社会になれば、「働くことの幸せ」が広がり、労働生産性も大きく向上します。

 しかし、その様な社会は簡単にできません。「選択と集中」による転職する人の生活を十分に支え、キャリアアップし、生産性の高い企業に再就職させる仕組みを作るには、国の現状を変える先行投資が必要です。

 投資の財源を、将来世代の負担を避ける方法で行うには、増税が必要です。しかし、今の日本の民主主義の下では、この種の重要な事項についての議論が十分に行われないのが現実です。著者は、真剣な議論のきっかけになればとの思いで、本書を著作したのです。

 戦後営々と築き上げて来た、分厚い中間層が消滅しないために、豊かな未来を子供たちに残してやるために、政治家も国民も真剣に議論してほしいと著者は結びます。

 

【日々進化する企業経営を】

 紹介本では、成長率を高めるための企業経営について多くの知見を紹介しています。その中で目に留まった一つをご紹介しましょう。  著者が引用している斎藤ウイリアム浩幸氏(日系二世の起業家)の発言です。「日本には(グループはあるが)チームがない」「イノベーションが加速する世界で、個人、企業、国家が生き延びるためには、異質な価値観、異質な才能、異質な文化を持つ人がチームを組んで、共通の目標のために助け合うことが絶対条件」という発言です。人的資源が豊かな日本で、「米国型」の経営を取入れ、破壊的創造による新たなモノ・サービスを増やし、成長率を上げる必要性を説きます。

 

■ 「日本経済低成長から脱却するための提案」に真摯に取組もう(むすび)

 紹介本により、高齢化・人口減少時代に、日本の世界における下降トレンドに歯止めを掛けるヒントを得られたことです。それは、日本の現実に希望を持つ事でもあります。将来を見据え、希望を持って、低成長から脱却する経営を目指しませんか。それは、人口減少社会の課題克服という社会貢献に繋がります。

 

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴40年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■■【元気な会社】 松島での復興にかける  05

2020-03-10 07:24:09 | 【心 de 経営】 成功企業・元気な会社
■■【元気な会社】 松島での復興にかける  05

 

 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市。この地に昭和55年、船舶売買と漁業権仲介を主な目的に産声をあげた会社が北日本海事(株)。代表取締役の阿部淳氏は以降、目を世界へ向け社是も「フロンティア・スピリット」と定めた。石巻を基盤として地域社会に根ざした事業を行いながら「石巻発、世界へ」をスローガンに飛躍を誓う。

 

 その後の歩みは絵に描いたような多角化路線。不動産、建設、水産・商事、観光・サービス、葬祭、介護の各事業および保険代理店を手がける。平成22年11月に30周年を迎えたのを機に、純粋持ち株会社として(株)北日本海事ホールディングスを設立、中核的な役割を果たしてきた北日本海事(株)を(株)NOMCO&CO.と名称を変えて新たにスタートした。

 

 だが順調な経営を、予期せぬ大震災が襲った。日本三景・松島の一等地に昨年10月にオープンしたばかりの「(株)松島十二支記念館 松島観光物産館」「(株)海鮮いちば」に津波が押し寄せたのだ。「さあこれから、と念願の松島への立地に大きな期待をかけていた」からショックは大きかった。しかも「松島から観光客が遠のいた」ダブルパンチを食ったのである。

 

  <続き> ←クリック

  資料出典: J-NET21

■■ 経営四字熟語 ←クリック

 四字熟語は、経営やコンサルティング、人生の生き方のヒントがたくさん隠されています。独断と偏見に基づき、それらをエッセー風にまとめています。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◆【経営コンサルタントの独り言】 漫画という言葉が以前ほど使われなくなりましたね 306

2020-03-06 17:03:00 | 【話材】 老いぼれコンサルタントのひとり言

◆【経営コンサルタントの独り言】 漫画という言葉が以前ほど使われなくなりましたね 306

 

平素は、ご愛読をありがとうございます。

経営コンサルタントのプロや準備中の人だけではなく、経営者・管理職などにも読んでいただける二兎を追うブログで、毎日複数回つぶやいています。

 

【経営コンサルタントの独り言】

■ 漫画という言葉が以前ほど使われなくなりましたね


 近年、「漫画」という言葉が、以前ほど使われなくなってきました。

 コミック誌の売上も減少してきています。

 海外にもコミック誌はありますが、日本のコミック誌ほど分厚いのはないのではないでしょうか。

 子供の頃は、漫画本を持つことがあまりなかった時代です。

 近所の遊び仲間の家で読ませてもらったりしました。

 貸本屋が街にできたのは、それより後の話です。

 私は、貸本屋に入った経験もないのですが、従弟の一人は、漫画が好きで、それが高じて貸本屋を始めました。

 もちろん、今は転業しています。




■ 経営者はコンサルタントの実力をどの様に判断する?


 テレビドラマ「百の資格を持つ女」を扮する渡辺えり子さんが、場面にそった資格を活かして大活躍します。

 近年「検定試験」が花盛りです。

「京都検定」など、「ご当地」検定も多いですね。

 ○○検定1級などと、ランク付けされていることが多いです。


 経営士という経営コンサルタント資格もランクがあります。

 経営コンサルタントという高度な業務をこなせるには、知識だけではできません。

 経験を積み、経験に裏付けされた実力を持ち、実績ある経営コンサルタントと、資格を取りたての先生とでは、コンサルティング結果は大きく異なるのが通常です。

 そのために、経営士にはランクがあります。

 まずは経営士補を取得し、経営士Cクラス、Bクラス、Aクラスと昇格をして行きます。

 昇格には、経験・実力・実績が審査の判断基準となります。

 従って、経営コンサルタントとしての実力判定の目安になります。

 一方で、資格が高くなるほど、コンサルティング・フィーも上昇しますので、経営者が選定する時に、実力か、費用か、判断をする必要があります。

 それでは、経営士補から経営士Cクラスに昇格するには・・・

 

(ドアノブ)

 

 【カシャリ! ひとり旅】を映像にして紹介しています。

   ユーチューブで見る

 

 

◆ ツイッターでのつぶやき 

konsarutanto

 

【経営コンサルタント(志望者)へのお勧めブログ】

 ◇ 経営コンサルタントになろう  ◇ 経営コンサルタントQ&A  ◇ 独立・起業/転職

 ◇ 心 de 経営  ◇ 経営マガジン  ◇ 経営コンサルタントの独り言  ◇ 経営四字熟語

 ◇ 杉浦日向子の江戸塾  ◇ ニュース・時代の読み方  ◇ 時代の読み方・総集編  ◇ 経営コンサルタントの本棚  ◇ 写真・旅行・趣味  ◇ お節介焼き情報  ◇ 知り得情報  ◇ 健康・環境  ◇ セミナー情報  ◇ カシャリ!一人旅

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◆【映像で学ぶ“真”のプロコンサルタントのあり方】 基礎が解れば管理会計は怖くない GLCN740-01

2020-03-02 10:07:16 | 【専門業】 映像で学ぶプロコンサルタント成功のツボ

◆【映像で学ぶ“真”のプロコンサルタントのあり方】 基礎が解れば管理会計は怖くない GLCN740-01

 

 平素は、ご愛読をありがとうございます。

 経営コンサルタントのプロや準備中の人だけではなく、経営者・管理職などにも読んでいただける二兎を追うブログで、毎日複数回つぶやいています。

 コンサルタント業を始めるには、中小企業診断士の資格取得をしなければならないと思い込んでいませんか?

 別の正攻法もあります。

 40年余の経営コンサルタント経験から、その方法や成功するためにどうすべきかをご紹介しています。

 

■ “真”のプロコンサルタント成功のツボ 管理会計再入門 基礎が解れば管理会計は怖くない GLCN740-01

 ユーチューブで学ぶ 

 コンサルタント業を始めるには、中小企業診断士の資格取得をしなければならないと思い込んでいませんか? 別の正攻法もあります。40年余の経営コンサルタント経験から、その方法や成功するためにどうすべきかをご紹介しています。

 管理会計のポイントを掴むと、その効果と必要性を感じ取れます。

 27分強と長いビデオですが、最後までご覧下さると幸いです。

 

映像 管理会計再入門 ←クリック

(ドアノブ)

 

 【カシャリ! ひとり旅】を映像にして紹介しています。

   ユーチューブで見る

 

 

◆ ツイッターでのつぶやき 

konsarutanto

 

【経営コンサルタント(志望者)へのお勧めブログ】

 ◇ 経営コンサルタントになろう  ◇ 経営コンサルタントQ&A  ◇ 独立・起業/転職

 ◇ 心 de 経営  ◇ 経営マガジン  ◇ 経営コンサルタントの独り言  ◇ 経営四字熟語

 ◇ 杉浦日向子の江戸塾  ◇ ニュース・時代の読み方  ◇ 時代の読み方・総集編  ◇ 経営コンサルタントの本棚  ◇ 写真・旅行・趣味  ◇ お節介焼き情報  ◇ 知り得情報  ◇ 健康・環境  ◇ セミナー情報  ◇ カシャリ!一人旅

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする