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経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

■■【連載 経営トップ15訓】 第9訓 「従来の延長線上での発想や先入観に固執せず、建設的なプラス思

2020-07-31 12:03:00 | 【話材】 ビジネス関連

■■【連載 経営トップ15訓】 第9訓 「従来の延長線上での発想や先入観に固執せず、建設的なプラス思考で取り組む」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


第  訓
従来の延長線上での発想や
先入観に固執せず、
建設的なプラス思考で取り組む
■ 人間は本能的に保守的

 どれ程革新的な人でも、現状の全てを変革しようとは考えていないでしょう。そこに落とし穴があって、従来の延長線上での発想となってしまいかねません。

 経営コンサルタントとしてクライアントを訪問した折に、「あれ、この人は変なやり方をしているな」「なぜ、この人はこの業務をやっているのだろうか?」と奇異に感じることがあります。

 それを問うと「これまで、このやり方で問題が起こったことがなかったから・・・」「先輩がやっていたので、そのまま引き継いでいます」という回答が返ってくることが多いのです。

 また、私どもは先入観に固執するところがあるように思えます。「あの人は、○○大学を出ているので、あの人がやっていることは間違いなかろう」と考えて、その人の行動をチェックしないことがあります。

 文書を書いた後、読み直し、訂正をした後で、再度確認をしているときに、それにもかかわらず変換ミスを見落としたり、誤字脱字に気がつかなかったりすることがあります。

 「人間はミスを犯す動物である」ということを忘れてしまうと、部下が同じミスを繰り返したときに「何度同じミスをやるのだ」とついつい叱責をしてしまいます。

 「人間はミスを犯す動物である」と諦めてはならないのです。現状を肯定してばかりいると、人間は進歩から見捨てられてしまいます。

 同じミスを再び起こさないために、方法論を変えたり、チェック方法を改善したりと、いろいろな方策をとってもミスは起こりがちです。単純ミスほど、そこから脱することが難しいです。また、単純ミスほどチック方法が限定されてしまいます。

 それは同じ思考回路でチックをするからです。企業においては、製造部門と検査部門とを別にするのは、思考回路が異なる人の目を通すことにより単純ミスの発生を防ごうとするからです。

■ 「新幹線理論」で自分を見る

 他の人や他の部署の意見を聞くなど、従来とは異なることをやることにより、気づきがあるでしょう。独善的な人は、同じミスのスパイラルの中にいて、それすら気がつかないことが多いのです。

 これを「新幹線理論」と言います。

 新幹線に乗ると、始めはその速さに驚きますが、やがて時間が経過して、車内で本を読んでいたり、パソコンに向かったりしているうちに自分が拘束で移動していることを忘れてしまいます。

 登りと下りの列車が交差するときに、車窓を走る相手の列車を見て初めて、自分が拘束移動環境にいることを再認識させられるのです。

 日常生活や業務上に於いても、気づきを得る契機をたくさん持つことが必要でしょう。例えば、講演会やセミナーに出席してみるのも良いでしょう。それらは「知識や情報の収集」と考えている人が多いかと思いますが、セミナー内容の大半は、どこかで聞いたことがあることが多いでしょう。

 「つまらなかった」と言ってそれを結論にするのは「マイナス思考」です。

 それでがっかりするのではなく、話の中から自分が新たな行動を起こす契機を見いだせるように意識して耳を傾けると、セミナーに参加した意義を見いだすことができるのです。

 自分がマイナス思考をしているということは意外と気づかないものです。それどころか、「自分はマイナス思考する人間ではない」とい込んでいる人ほど、マイナス思考をしていることが多いのです。マイナス思考だと思って、自分自身がマイナス思考をしていないかどうかを鑑みる契機を捨ててしまっているのです。

 過去からの延長線上でものを考えたり、マイナス思考をしていないのかどうか、常に自分自身に問いかけることが必要です。

 


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■【信頼できる経営コンサルタントの選び方 10のポイント】6 専門分野で判断する

2020-07-31 09:03:00 | 【話材】 ビジネス関連

■【信頼できる経営コンサルタントの選び方 10のポイント】6 専門分野で判断する

 経営コンサルタントに依頼してみたいけど、「いくらくらいかかるのか?」「本当に効果があるのだろうか?」など、ご心配な経営者・管理職の皆様は多いかと思います。

 何万人という中から、自社に最適な経営コンサルタントを見つけ出すことは至難の業です。経営コンサルタントを選定せざるを得ないときにどのようなポイントに重点をおいたらよいのでしょうか?独断と偏見でまとめてみました。

 経営者・管理職向けですが、裏を返しますと、経営コンサルタントや士業の先生にも参考となると信じます。

本

■6 専門分野で判断する

 

 オールランドなコンサルタントもいれば、専門分野を明確にしているコンサルタントもいます。どちらの経営コンサルタントを選ぶべきでしょうか?


 コンサルタントと自称している人の多くが、コンサルティング現場数を踏む機会の少ない、頭でっかちの研修講師であることに注意をしましょう。

 社員研修を専門にしているコンサルタントがいます。社員研修は、不可欠ですが、社員研修だけでは企業は良くなりません。

 自社が変革をしたい顕在的な課題解決が明確な場合には、それを専門とし、実績のある経営コンサルタントに依頼するのが得策です。

 「私は、経営に関するすべてのことに通じており、貴社が抱える問題には、何に対しても精一杯対応することができます」というようなことを言う経営コンサルタントには要注意です。

 旧タイプの経営コンサルタントは、自分が万能であることが必須と信じています。

 ところが、経営環境が複雑化してきている今日、一人の経営コンサルタントのコンサルティングが、企業経営のすべてに通じていることはありえず、神業としか言いようがありません。

 そのようなコンサルタントがいたら、「自分は何もできません」と自分の無能を説いていると考えた方がよいでしょう。

 異なった専門分野を持つ複数のコンサルタントが対応することにより、最善のコンサルティング・サービスを受けることができます。そのときにポイントとなるのが、チーフコンサルタントのコーディネート力とリーダーシップです。

 

■ バックナンバー

 このシリーズのバックナンバー(←クリック)をご覧いただけます。

 また、ウェブサイトでもご覧いただけます。

 


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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】505 「ランチェスター戦略」の核

2020-07-30 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】505「ランチェスター戦略」の核

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍をご紹介します。

■      今日のおすすめ

A;『ランチェスター戦略』 (編著:NPOランチェスター協会 中経文庫)

B;『社長のためのランチェスター式学習法』(著者:竹田 陽一 あさ出版)

C;『ランチェスター法則のすごさ』(著者:竹田 陽一 中経出版)

 

■      「ランチェスター戦略」の有用性は(はじめに)

 ランチェスター戦略は、近年ではソフトバンクの孫正義氏、H・I・Sの澤田秀雄氏等が創業時に経営に応用し、成長したことは良く知られていることです。彼らは、ランチェスター戦略のどこに有用性を見出したのでしょう。言い換えれば、紹介本のどこに焦点を当てるべきなのでしょう。以下で見てみたいと思います。

 ここで、一言触れておきたいことがあります。紹介本を三つ挙げました。こんなややこしいことをしたくないのですが、A紹介本(以下協会説またはA本という)とB、C紹介本(以下竹田説またはB、C本という)が、ランチェスター戦略の一番肝心な弱者戦略と強者戦略の定義あるいは解釈が異なるのです。協会も竹田氏もランチェスター戦略の第一人者とされる人(人々)です。ご判断は読者の皆様にお任せしますが、異なることだけは、知って置いて頂くと良いかなと思い、敢えて、二つの説の違いを以下でご紹介いたします。

 

■      「ランチェスター戦略」の核はここだ

【ランチェスター戦略で最も知られている「意味を持つ占有率」】

 世界で始めて、市場占有率(自社営業範囲内)とその占有率の持つ意味を具体的に示したのは、ランチェスター戦略を生み出した、「田岡、釜田理論」です。

 市場占有率とその意味を以下に記します(詳細、計算根拠はC本をお読みください)。

① ウルトラスーパー強者(A本では「上限目標値」):73.88%以上のシェアを有する。

② スーパー強者(A本では「安定目標値」):一位で、41.7%以上かつ二位との間に1.68倍以上の差をつけている。(73.88/26,1=2.83。2.83の平方根=1.68。2.83を第一法則〈一次法則:弱者法則〉下の射程距離、1.68を第二法則〈二次法則:強者法則〉下の射程距離と呼ぶ。射程距離以内だと市場の均衡を崩せ、射程距離を越えると市場の均衡を崩せないとするランチェスター理論の一つ。)

③ 強者(A本では「下限目標値」):一位で、26.1%以上かつ二位との間に1.68倍以上の差をつけている。

④ 中間者(A本では「上位目標値」):15,6%~26,0%

⑤ 弱者のA(A本では「影響目標値」):9.4%~15,6%

⑥ 弱者のB(A本では「存在目標値」):5.6%~9.4%

⑦ 弱者のC:3%~5.6%(A本では触れていない)

⑧ 番外(A本では「拠点目標値」):3%未満

 これらの占有率は各々自社の現状の力を現すと共に、次に狙うランク目標を示します。3%未満の番外は、市場から撤退すべきかどうかの判断をすべきポジションとされています。更に言えば、特定のセグメント(地域、商品、顧客等)に於けるシェアを念頭に置いたときに、これらの占有率は意味を持ってきます。

【ランチェスター戦略は弱者が強者に勝つための戦略理論】

 ランチェスター理論は元々弱者が強者に勝つための戦略論です。

 竹田説は強者の定義を上記①②③とし、それ以外は弱者とします。1000社の内「強者の経営戦略」を行える条件を満たしているのは0.5%、残り99.5%は「弱者の経営戦略」をとるべしとしています。「弱者の経営戦略」として、小さくてもナンバーワンになれる得意分野を見つけ実現する。そこを起点にし、ナンバーワンの領域を広げて行く13の戦略・戦術(いわゆる「差別化戦略」。細かくは、「①ナンバーワンになれる商品、地域、客層を探す②攻撃目標と競争目標の分離③差別化④小規模1位主義、部分1位主義⑤商品や営業の細分化⑥⑦⑧⑩一点集中⑨直接販売⑪軽装備・軽投資⑫継続性、ステップ・バイ・ステップ⑬自社の戦略情報の漏洩防止管理」をあげています。詳細はB本をお読みください。)を掲げています。

 一方協会説は、「弱者の戦略(差別化戦略)」と「強者の戦略(ミート戦略)」が並んで出てきます。「弱者の戦略」とは、弱者が自分よりもシェアがワンランク上の競争相手(頭上の敵)の市場を奪い、小さくともナンバーワンになれる得意分野を見つける戦略と言います。「強者の戦略」は弱者が自分よりもシェアがワンランク下の競争相手(足下の敵)の市場を奪い、得意分野がナンバーワンになるための基盤強化を図る補助戦略と位置づけます。「弱者の戦略(差別化戦略)」と「強者の戦略(ミート戦略)」を同時並行的に行うべしとします。(私にはその様に読み取れました。)

 経営資源の乏しい弱者が、二つの異なった戦略を並行的に行う戦略は現実的でしょうか。弱者はあくまで弱者として「差別化戦略」を実行すべしとする竹田説が「ランチェスター戦略」の基本ではないでしょうか。

 更に注目しておきたいことは、弱者は強者から第二法則(二次法則:戦力=質×兵力数の二乗)で攻められ、弱者が強者を攻めるときは、経営資源が乏しいので、第一法則(一次法則:戦力=質×兵力数)で攻めなければならないと言うことです。弱者が強者を攻めるには、2.83倍以上の力を集中して攻めなければ強者に勝てないというのが「ランチェスター戦略」の理論でもあることです。そこには「戦略・戦術」に加え、「物理的・時間的・継続的」努力がなければ、勝利は実現しないこと現しています。

【弱者のための代表的戦略「地域戦略」】

 A本では「ランチェスター戦略」の三つのキーワードとして①ナンバーワン主義②セグメンテーション③ステップ・バイ・ステップを挙げています。それを実現する代表的戦略として、「地域戦略」(あるいは「特定のセグメント戦略」と言っても良い)を掲げています。

 「地域戦略」で成功するための5つの原則を掲げています。参考に出来る内容ではないでしょうか。

① 一点集中の原則(一位になれる重点領域、エリアの決定)

② 足下の敵攻撃の原則(競争目標:頭上〈ランク上〉の敵、攻撃目標:足下〈ランク下〉の敵の中から攻めるライバルを絞り込む)

③ 地盤強化の原則(まずエリアをしっかり固める)

④ ナンバー・ワン・キープの原則(大口顧客やリーダー格顧客を確保する)

⑤ 固定化の原則(離脱客をなくし、リピーターを増やす)

 

■      「ランチェスター戦略」を経営に応用する(むすび)

 「ランチェスター戦略」の核は何かを見てきました。「ランチェスター戦略」はどちらかと言うと馴染の薄い経営戦略論ではないでしょうか。「ランチェスター戦略」の核の部分を押さえ、その核の理論とその他の経営理論を組み合わせて使うことで、経営に有用なツールとして使えるのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■【心 de 経営】 経営四字熟語011 ■ 瓜田李下 (かでんりか) ネオンのホテル街を相合い傘で 

2020-07-30 10:39:12 | 【話材】 ビジネス関連

■【心 de 経営】 経営四字熟語011 ■ 瓜田李下 (かでんりか) ネオンのホテル街を相合い傘で 

本

■ 示唆の多い経営四字熟語

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■ 瓜田李下 (かでんりか) ネオンのホテル街を相合い傘で 

 

 「瓜田(かでん)」の「瓜」は、畑になる瓜(うり)のことで、瓜畑で靴をはき直したり、靴紐を締め直したりしますと、あたかも瓜盗みをしているように見えるから止めた方が良いですよという戒めです。このことから「瓜田之靴(かでんのくつ)」という四字熟語もあります。

 「李下(りか)」の「李」は、スモモのことです。すなわち、スモモの木の下で冠を直すことは、スモモを盗んでいるようにも見えてしまいかねませんので止めた方が良いと教えてくれています。このことから「李下之冠(りかのかんむり)」という四字熟語があります。

 これらのことから「瓜田李下(かでんりか)」は、「人に疑われるような、紛らわしい行為はしないほうがよい」という戒めです。「瓜田に履(くつ)を納(い)れず、李下に冠を正さず」とも言います。

 経営者・管理職も経営士・コンサルタントも、部下やクライアント・顧問先から信頼されないと業務をスムーズに行うことが難しい立場です。

 小学校時代の担任が入院をしましたので、親しくしていたクラスメート数人で最寄り駅に集合することになりました。ところが、ドタキャンで私と女性一人の二人だけで見舞いに行く羽目になりました。

 彼女が以前にその病院に行ったことがあるといいますので、彼女の案内で歩き始めました。人通りが少ない道となったところで雨が降り出してきました。ところが私は傘を持っていませんで、少々降りが強いこともあり、彼女が見かねて傘に入るように勧めてくれました。

 昨今であればコンビニもあり、少し戻って買いに行けますが、傘を売っていそうな場所でもなく、躊躇をし、私は雨宿りをするから先に行くように促しました。女性は強いいますか、度胸が据わっているというのでしょうか、強引に私の手を引いて傘の下に引っ張り込みました。

 ところが彼女が道を間違えて、歓楽街に隣接するホテルのある地域に迷い込んでしまっていたのです。彼女は顔色一つ変えず、「確かこちらだと思ったのだけれど」とひとりごとを言いながら歩くのです。第三者が見ればどう見てもホテルを物色しているようにしか見えなかったのではないでしょうか。

 ドキドキするほど、純情であった頃の話です。

 

■ バックナンバー

 これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef

 


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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】504 ランチェスター戦略誕生秘話

2020-07-29 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】504 ランチェスター戦略誕生秘話

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『ランチェスター法則のすごさ』 (著者:竹田 陽一 中経出版)

■      ランチェスター戦略の起源を知っておこう(はじめに)

 ランチェスター戦略は、現在も多くのビジネスマン、経営者が活用しています。  しかし、ランチェスター戦略のプロと称する人に、『「ランチェスター戦略」の基になっている「ランチェスター法則」とは何か』『「ランチェスター法則」はどの様にしてイギリスから日本に伝わったか』『「ランチェスター法則」から「ランチェスター戦略」を創出した日本の研究者は誰か』といった質問をすると、詳しく知っている人は一人もいなかったと著者は言う。

 私もその中の一人です。ランチェスター戦略を深く研究してみようと、幾つかの本を手にしましたが、ランチェスターの法則から説き起こし、そこからランチェスター戦略の戦略としての卓越性を説いている本はありませんでした。そんな時に、初版発行日は古いものの、私の求めている事にピッタリのこの本を見つけました。

 この紹介本を読むことで、ランチェスター戦略の理解が深まる知見を発見することができます。

■      「ランチェスター戦略」のポイントはこれだ

【「ランチェスターの法則」から「ランチェスター戦略」への創出プロセス】

 著者は言います。「ランチェスターの法則」は、ランチェスターが、イギリスの機械技術雑誌に、1914年9月から4ヶ月をかけて連載した19回の記事の、5回目の「集中の法則。N二乗の法則。」、6回目の「N二乗の法則の応用」の二つが「ランチェスターの法則」と呼ばれるようになったものである。日本では『ランチェスターは第一次世界大戦における空中戦のデータを集め、これを分析しているうちに法則を発見した』と言われているが、これは間違いである。なぜならランチェスターが記事を書いた開戦後5ヶ月の間に、空中戦は一度もなかったとされている。

 「ランチェスターの法則」を実用化したのは、第二次世界大戦に於いて、アメリカが対日作戦の一環として、国防総省が「オペレーションズ・リサーチ(OR)」チームを発足させ、対日戦略を統計的・科学的・経験的手法で策定した。これが「OR」と言う新しい学問を誕生させるきっかけとなった。数学者のクープマンやブラウン等の学者からなるORチームは、ランチェスター法則に着眼すると共に確率論・ゲーム理論などを組み合わせ、対日戦・戦略プランモデルを導き出した。その一つとして、国防予算を「戦略攻撃(兵站などの破壊)」と「戦術攻撃(兵力、武器などの増強)」の割り振りを決めるときに、ランチェスター法則(「N二乗の法則」)に着目し、3分の2は「戦略攻撃」に、3分の1は「戦術攻撃」に予算を振り分けた。(このモデル算出の計算式〈微分・確率などでやや難解〉は紹介本をお読みください。)この結果、日本は兵器、食糧の補給を断たれ、敗戦を迎えたのです。

 続けて著者は言います。アメリカのORチームが創出した「科学的・数学的」対日戦・戦略・戦術モデルは、実戦でその的確性が証明されたが、それが経営戦略・戦術に応用されることはなかった。戦後アメリカではOR学会が誕生し、ORを使いユニークな問題解決をした人に「ランチェスター賞」が贈られ、あるいは、ORチームのメンバーが一般企業において戦略・戦術的経営に寄与しアメリカ企業の強化に貢献したが、経営学としては成立しなかった。

 更に続けて著者は言います。経営戦略・戦術としての「ランチェスター戦略」として創出されたのは日本に於いてであった。ORチームのリーダー格のモース及びキムポールの二人は、クープマンやブラウン等のORチームの研究成果を、「オペレーションズ・リサーチの方法」と言う題名の本にして、1950年(昭和25年)に出版した。この本がデミング博士により日本に紹介され、昭和30年に翻訳本が日本科学技術連盟から出され、ベストセラーとなった。この翻訳本をスタートに、日本の経営学者が「ランチェスター戦略」を創出した。「ランチェスター戦略」を確立したのは、田岡信夫、釜田太公望と言われている。有名な市場占有率の三大目標値(強者の最低条件=26.12%、絶対優位の条件=41.71%、絶対的独占条件=73,88%)を開発したのは、この二人である。

【「ランチェスター戦略」のポイント①は「戦略」と「戦術」の区分】

 「ランチェスター戦略」の創出のプロセスから見えてくる重要なポイントは、直接競争する最前線のあり方である「戦術」と、最前線を支える支え方の「戦略」の区分を明確にしておくことです。経営に関して言い換えるならば、経営資源を、「戦略」に2/3、「戦術」に1/3を割くということです。

【「ランチェスター戦略」のポイント②は「顧客占有率NO1」】

 経営資源の2/3を投入する「戦略」とは何か。ORチームが作ったランチェスター法則モデルで、「戦略力」は食糧と兵器の補給でした。『これを経営に当て嵌めると食糧は粗利益、兵器は商品になる。粗利益がなければ生きていけない。粗利益はどうして確保できるのか。顧客に商品が渡りお金が入って来ることによる。それは競争市場で確保される。すなわち一定の「市場占有率」の確保が必要である。「市場占有率」は「顧客占有率」である』『ここでこれを「経営目的は何か」と言い換えれば、「ある特定の商品で顧客を創り出し、顧客占有率一位の地域又は業界を創り出すこと」になる』と著者は主張します。

【「ランチェスター戦略」のポイント③:”ランチェスター戦略”のオリジナリティー】

 「ランチェスター戦略」の「ランチェスター法則」「ORの研究成果」に依るところのオリジナリティーは何かと言えば、「集中の法則」と「N二乗の法則」です。

 「集中の法則」を経営に当てはめると、トータルで競争力が強いa社に、弱いb社が勝つ条件は、a社の競争力を一定に分断し、b社の総合力を「a社の一定に分断された部分」に集中攻撃する戦略・戦術を取るべしとの結論に到達します。つまり『「地域戦略・戦術」(「セグメント戦略・戦術」と言い換えても良い)』と『一点集中戦略・戦術』になるのではないでしょうか。

 「N二乗の法則」からのオリジナリティーは、『接近戦(一騎打戦)では第一法則(攻撃力=兵力数×武器性能〈質〉)が、間隔戦(近代兵器戦・確率戦)では第二法則(攻撃力=兵力数の二乗×武器性能〈質〉)が適用される』と言うランチェスターの法則から帰結されます。つまり「強者の経営戦略」は第二法則を応用すべきであり、「弱者の経営戦略」は、第一法則を応用すべきと言う事です。更に著者は加えて、「強者の経営戦略」を実行できる企業は0,5%位で、殆どの企業は「弱者の経営戦略」を実行して、「ある特定の商品で顧客を創り出し、顧客占有率一位の地域又は業界を創り出すこと」を実現すべきとしています。それはつまり「差別化戦略・戦術」と言う事になるのではないでしょうか。(著者の強者、弱者の定義は、紹介本をお読みください。)

■      「ランチェスター戦略」の原点を理解して読み直す(むすび)

 紹介本から、「ランチェスター戦略」の原点を理解できたと思います。紹介本の更に貴重な点は、「ランチェスター法則」「オペレーションズ・リサーチの方法」等の日本発の「ランチェスター戦略」の基となる、原典が掲載されている点です。やや難解ですが原典に触れることで、「ランチェスター戦略」のオリジナリティーを明確化することが可能になります。

 このような原点を踏まえ、「ランチェスター戦略」に関する諸説を読み直し、ポイントは何かを理解し、経営に役立てたいと思います。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 バックナンバーは、下記で見ることができます。

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 2007 ニューノーマルを考える(1) テレワーク・・・

2020-07-28 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 2007 ニューノーマルを考える(1) テレワーク・・・

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

  ニューノーマルを考える(1)

 

■      今日のおすすめ

   『テレワークの切り札Office 365 Teams 即効活用ガイド』

       (岩元 直久著 天野 貴之監修 発行:日経BP)

  『ファシリテーション入門〈第2版〉』

       (堀 公俊著 日経文庫)

  『ワークショップ入門』 

       (堀 公俊著 日経文庫)

 

■ ビジネス・ファシリテーションのニューノーマルを探求する(はじめに)

 Covid-19対応も、withコロナからAfterコロナの段階に移りました。

 そのような時期を迎え、今回は「ニューノーマルを考える(1)」と題し“お勧めの図書”を紹介します。自粛時期の在宅勤務がAfterコロナではニューノーマルとなると共に、ビジネス・会議はWEBが主流になるのではと思います。

 その様な時、経営管理・コンサルティング技術領域の大切な知見の一つであるビジネス・ファシリテーションが一層重要になると共に、手法も大きく変わるのではと思い、認識を新たにすべく採り上げました。

 同時に会議のアイスブレーク機能(会議における緊張をほぐす機能)等を持ち、会議とシナジーな関係にある、ワークショップを並行的に採り上げました。次回「ニューノーマルを考える(2)」もお楽しみに。

 

【会議はWEB会議がニューノーマルに(知って驚く優れ物“Microsoft Teams”)】

 Covid-19の影響で、セミナーはウェビナー(Webセミナー)で、会議はWEB会議でという時代になりました。私の思いですが、ウェビナーはZoomが、ビジネス・WEB会議はMicrosoft Teams(有料コース/office 365は2020.4.22よりMicrosoft 365に改名)が最適と思います。ビジネス・ファシリテーションの観点から、WEB会議で使用するベストのソフトTeamsの優れている点を挙げさせて頂きます。

 Teamsの優れた機能は、ホワイトボード機能、付箋機能、WEB上でのドキュメントアプリの共有(保存/画面)&協働機能、録画・議事録作成機能、チャットによる事前資料配布やコミュニュケーション・コラボレーション機能、デバイス・場所・時間に左右されないフレキシビリティー機能等々です。

 また、7~8月から利用できる「トゥギャザーモード(仮想のルームに会してる様に見せる)」「発言の英語字幕が流れる」等の機能が加わり(日経2020.7.9夕刊「ビデオ会議に新機能」)、他社ソフトとの距離を広げようとしています。

 この様にTeamsの機能は、リアル・会議における様々な道具・機能を充足するばかりではなく、それを上回る道具・機能を備えています。ここでは字数の関係で十分な説明はできませんが、紹介本等で知見を深めて下さい。

 

 

 ニューノーマルにおけるファシリテーションの成否は、従来のリアルにおける手法・スキルに加えて、上記知見に基づくTeams関連の機能の活用とスムースな運用に掛かっていると思います。

 

【WEB会議運営、組織の活性化を産出する“ファシリテーション”のスキル】

 一般的に会議の成否はファシリテーションに掛かっていると言っても過言ではないでしょう。会議は、グループリーダー(課題の執行・達成責任者)、ファシリテーター、記録係(録画・議事録係兼コ・ファシリテーター)・監視係(タイム・キーパー)、クルー(参加メンバー)、で構成されます。

 

 会議を成功させる、つまりメンバーの合意・賛同ではなく目的・目標・課題に対する正解を導きだすには、もちろん会議の全ての構成メンバーと関わりますが、特にファシリテーション(集団による知的相互作用を促進する働き)を行うファシリテーターの“人間力×スキル(Being=あり方×Doing=やり方)”に掛かってきます。

 人間力(Being)は、メンバーの信頼感やメンバーの心を動かす等の点において極めて重要な要素ですが、ここではその人間力を背景として表出されるものも含めたスキル(Doing)について次項で観てみたいと思います。加えて、WEB会議というニューノーマルな場面でのファシリテーション・スキルについても観てみたいと思います。

 

【活気あふれる、成果の出るWEB会議にする“ワークショップ”を知っておこう】

 会議とシナジーの関係にあるのが「ワークショップ」です。その両者のプラットフォームがファシリテーションです。紹介本では、『「ワークショップ」は参加者の資源を十分に引き出し、対話を通じて活発に共振させていけば、予期せぬ成果が生まれる機能を有する』とあります。

 この「ワークショップ」の機能を会議のファシリテーションの中で、状況に応じ、適時・適切に取り入れることで会議の成果に好影響を及ぼします。氷のような固い雰囲気を壊し緊張や警戒をほぐす“アイス・ブレーク・ワークショップ”やチーム(会議メンバー)のベクトルが揃わない時に、チーム一人一人の夢や強みを引き出し、ビジョンへと纏め上げベクトルを揃える“ビジョン・ワークショップ”等がその例として挙げられます。

 WEB会議でのニューノーマル・ファシリテーションにおいては、ニューノーマルな(WEBを使う)「ワークショップ」の活用も俎上に載せてください。一般的な「ワークショップ」につては、詳しくは紹介本をお読みください。ニューノーマル・ワークショップについては、次項を参考にしてください。

■ WEB会議を成功に導く、“ニューノーマル・ファシリテーション・スキル”

 

 

【リアルでもWEBでも必要な“四つのファシリテーション・スキル”】

 ファシリテーターに求められるスキルは多岐にわたりますが、全ての基本として身に付けるべき四つのスキルを紹介します。

 四つのスキルは、①場のデザインスキル(ゴール、ミーティング・ルールの明確化。ミーティング・プロセスの作成と周知。メンバーの関係性の構築。)②対人関係スキル(傾聴、応答、観察等の適時・適切なコミュニケーションによる知的相互作用の促進。)③構造化のスキル(メンバーの主張の書出し等による明確化。思考・フレームワーク等による図解・整理。)④合意形成(意思決定・フレームワーク等による課題の正解を発出。会議の正解を達成する計画表の策定。振返りによる次回会議・計画達成活動に向けたフィードバック。)の四つです。字数の関係もあり詳細は記しませんが、身に付けて得する知見です。是非紹介本を読んでください。

 

【WEB会議で必要な“ニューノーマル・ファシリテーション・スキル”】

 ニューノーマル・ファシリテーション・スキルは、Teamsの機能をフルに理解すると同時に、メンバーの端末操作も含め、円滑な運用スキルを習得・周知することがスタートです。その上で、上記四つのスキルをTeams上で実現することに尽きます。それによりリアルな会議以上の効率・効果を得る事が出来ます。

■ After コロナを前向きにとらえよう(むすび)

 

 After コロナでは、社会/ビジネス/働き方の、新しい在り方を考える時を迎えています。

 最近面白い記事を見つけました。『コロナの影響による7割経済を10割経済に戻すには1,5(正確には1.43)倍の人・時間・コストの投入が必要である。しかし1,5倍の投入は非現実的。そこで生産性の向上で1,5倍を達成しよう(2020.6.29日経・朝刊「経営の視点」より)』です。Afterコロナのキーワードは、“DX”“生産性向上”“SDGs”でしょうか。

 なんと、生産性を1,5倍アップすると、生産性でOECD順位21位の日本が5位のアメリカのレベルに上がります。さらには、G7で最下位の日本がトップのアメリカに追いつきます。(日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2019」より)

 After コロナの今こそ様々な領域で、DXを活用し生産性を上げるニューノーマルを見出し、先進国最下位レベルからトップレベルに伸し上がって行くチャンスではないでしょうか。それはSDGsを達成することにも繋がります。

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■【経営知識】 管理会計03-01-5 03 管理会計活用の末広がり8項5 「5項 臨機応変思考」

2020-07-28 11:35:49 | 【話材】 ビジネス関連

■【経営知識】 管理会計03-01-5 03 管理会計活用の末広がり8項5 「5項 臨機応変思考」

 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。

 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。

 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?

 ますます、わからなくなった!?

 と、お感じの方は、ぜひ、当ブログを参考にしてみて下さい。

■ 03 管理会計活用の末広がり8項

 

 前章で、管理会計を正しく理解するために経営と管理会計との関係を中心にお話してきました。

 ここでは、どのような視点で管理会計の導入に取り組んだらよいのか、その基本姿勢を8項目としてご紹介します。

■03-01 管理会計活用の末広がり8項

 管理会計を活用し切れていない企業が結構あります。

 その主たる原因は、管理会計の特質に沿った利用のポイントを押さえ切れていないことにあります。

 なぜ、その様な重要なことが理解されないかというのは、その「ポイント」が、誰でも知っている”やさしすぎる”知識だからです。

 誰でも知っているので、軽視してしまっているからです。

 そのポイントを、管理会計活用の視点から8項に絞ってご紹介します。

【 注 】 予告なく変更となることもあります

 

◆03-01-5 「5項 臨機応変思考」

 前項で、管理会計活用8項のひとつとして「目的意識」についてお話しましたが、目的意識を持たないと、成り行き任せになってしまいかねません。

 一方で、目的意識として持つべき、目的や、その実施のための計画は、PDCAの基本となりますので、その内容をしっかりと理解し、関係者間で共通認識されていなければなりません。

 管理会計を利用するときに、「こうあるべきだ」という「べき」に固執してしまうと、管理会計が堅苦しいものになってしまいます。

 理想の姿や計画と、現実や結果との差異を論理的に分析・検証し、具体的な対応策を練り、臨機応変に対応できるしくみと、それができる体質、さらに臨機応変な思考ができなければなりません。

 仕組みを通して、双方向コミュニケーションを実施し、臨機応変性を体得させてゆくのです。

 ただし、安易に目的や計画を変更しては、何のための戦略・戦術であるのか解らなくなってしまいます。

 目的や計画など、基本概念を変更する必要性を感じたときには、「重考高盛」、繰り返します。

 同じ課題を繰り返し思考し、全体最適に叶う、適した考えで決定します。

 そして「高盛」、すなわち高く盛り上げ、一層効果の上がる方向に進めることを確認したうえで、目的や計画の変更を決定します。

 安易な判断や、自分に都合の良い解釈で行いますと、結果としてマイナスの方向に動いてしまうことが多いので、注意が必要です。

 

【 注 】
 一般的な「管理」とは異なる、「正調派管理」について、詳しくは「あたたかい管理のための管理会計の教科書(秀和システム・今井信行著)」をご参照ください。

出典: あたたかい管理のための管理会計の教科書(秀和システム 今井信行著) 

【 書籍紹介 】

 

 “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。

 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。

 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。

 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。

 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!

 

目次

 第1章 管理会計を正しく理解する

 第2章 需要予測で売上計画を立案

 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす

 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす

 第5章 市場戦略に管理会計を活かす

 第6章 温かい管理に管理会計を活かす

 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備

 第8章 管理会計で営業力を向上させる

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。

 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数。

 
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 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。

 経営に関する相談・診断・指導・調査・企画・教育訓練および管理について、経営者をコンサルティングし支援する人やそれを目指す人を育成しています。

 日本経営士協会は、「プロ集団+コンサルタント育成」の集団で、1951年に産声をあげ、1953年に第一号「経営士・経営士補」を誕生させ、その活動を通して社会貢献をし続けています。(http://www.jmca.or.jp)

■ 本書のご購入

 本書は、紀伊國屋書店をはじめ、その他の書店等でご購入いただけます。

  ご購入

【 注 】

 1送付先5冊以上のまとめ買いされる場合には、特別なメリットで、前払いの上ご購入いただけます。誠に勝手ながら送付先が分散して、5冊未満の送付先がある場合には、お手数でもその分につきましては書店にてご購入されるか、上記料金適用で、送料を別途追加してお申し込み下さい。(特別なメリットまとめ買い締切:2018/12/20)

 なお、お申し込みは、メールにてコンタクトをお願いします。


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■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】023 筑波大発・宇宙VBが衛星利用のニュービジネスに挑戦 8117-A622  経営コンサルタントを40年余やってきた経験

2020-07-27 12:03:00 | 【心 de 経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】023 筑波大発・宇宙VBが衛星利用のニュービジネスに挑戦 8117-A622

 経営コンサルタントを40年余やってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■ 023 筑波大発・宇宙VBが衛星利用のニュービジネスに挑戦 8117-A622

 地上から100kmほど離れると「宇宙空間」に到達する。これは東京-宇都宮間の距離で、思いのほか宇宙は近くにある。その宇宙を、より身近なものにしよう、みんなが宇宙と遊ぶ世界を実現しようと、人工衛星関連ビジネスに取り組んでいるのがワープスペース(茨城県つくば市、亀田敏弘社長)。亀田社長は「アミューズメントやイベント・広告といった新分野を開拓し、宇宙を楽しむ時代をつくりたい。宇宙のビッグデータを活用する夢も描いている」と、宇宙開発新時代の尖兵役を果たす気構えだ。

 同社は筑波大学発ベンチャーとして2016年8月に発足した。筑波大では2011年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などの協力、援助のもと、衛星プロジェクトを立ち上げ、低価格衛星をベースとする数々の事業アイデアを生み出し実践してきている。そんな中、「エンジェル投資家に恵まれた」(亀田社長)ことで宇宙ベンチャーが誕生する。創業者の亀田社長は筑波大准教授を務め、経営者と研究者の二足のわらじを履く。総勢20名ほどのスタッフも取締役CTO(最高技術責任者)をはじめ、学生との兼業者らが大半を占める。

 『人々が思い思いに宇宙を楽しめる世界を創造する』。こんなミッションを掲げる同社は、現在、観測や測位、通信が主な用途の人工衛星を、アミューズメント、イベント・広告、教育・研究をはじめ幅広いジャンルに活用しようとしている。すでに、工業高校での「宇宙授業」などの案件が具体化しているという。亀田社長は「JAXAや産総研と近接する立地を生かし、各機関と連携しながらPDCAサイクルを回して市場を開拓する」と事業家としての意欲、意気込みを語る。

 2017年1月、筑波大・衛星プロジェクトの一環として、超小型衛星「結(ゆい)2号」が国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟から宇宙に放出され、結は今日まで順調に稼動している。ワープスペースでは「学生と共に歩んできた独自路線の開発に自信が持てた」(亀田社長)と、同プロジェクトの実績を拠り所に、手軽でローコストの衛星ビジネスを推進する。亀田社長は「衛星のミッション立案から設計製造、試験、打ち上げ、管制、衛星データ活用まで、一貫した衛星関連事業サービスの確立が当面の目標」とも話している。

 同社では宇宙におけるビッグデータにも目を向けている。具体的には(1)近宇宙(宇宙空間のうち地球に近い空間)のデータを収集する低価格衛星の大量供給、(2)衛星の宇宙への輸送、(3)データの収集と蓄積-を三位一体で行える希少な事業者のポジションを確立する、といった青写真を描いている。「地上のビッグデータはグーグルが押さえている。宇宙のビッグデータは我々が握る」(同)と、青写真の大きさは宇宙空間に勝るとも劣らない。

 

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

 
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■【心 de 経営】 経営四字熟語008 槐門棘路 ■ 人の上に立つ重み  四字熟語には、いろいろな示唆があります

2020-07-26 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

■【心 de 経営】 経営四字熟語008 槐門棘路 ■ 人の上に立つ重み

本

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

■ 示唆の多い経営四字熟語  No.08

 

     ■■ 槐門棘路 (かいもんきょくろ) ■■

 

■ 人の上に立つ重み

 

 「槐」は「えんじゅ」といい、古名は「えにす」です。広辞苑には下記のように説明があります。

【広辞苑】
 (ヱニスの転)マメ科の落葉高木。中国原産。幹の高さ約10~15メートル。樹皮は淡黒褐色で割れ目がある。夏に黄白色の蝶形花をつけ、のち連珠状の莢(さや)を生ずる。街路樹に植え、材は建築・器具用。花の黄色色素はルチンで高血圧の薬。また乾燥して止血薬とし、果実は痔薬。黄藤。槐樹。「槐の花」の季語は夏。

 「槐門」は大臣の別称のことです。

 「棘」は、「刺(とげ)」と同じ意味で「いばら」を指します。これを「おどろ」とも読みます。

【広辞苑】「棘」 おどろ
 草木の乱れ茂ること。また、その場所。髪などの乱れたさま。

 「棘路」は音読みでは「きょくろ」で、「おどろ‐の‐みち【棘路】」と読みます。

【広辞苑】 棘路
(1)草木の乱れ茂っている道。
(2)公卿(くぎょう)の異称。「九棘」よりでた語

 「槐門棘路(かいもんきょくろ)」とは、大臣などを指す「三公」と「九卿(きゅうけい)」への道は、茨の道のごとく厳しいことから、「三公と九卿」という位や位の高い人を指します。このことから「国政などを預かる最高幹部のこと」です。

 「槐棘(かいきょく)」と略して言うこともあります。歴史的に見ますと、周代、朝廷に三槐を植えて三公の座位を示し、九棘を植えて九卿の座位を示したと言います。そのことから「三公九卿の位。公卿」を指すようになりました。

 2003年に、(特)日本経営士協会の停滞時期のボトムを迎えたのですが、当時の役員達は何ら手を打とうとせず、それに満足できない会員に、私は担ぎ出されて理事長に就任しました。

 その時に、「槐門棘路」という言葉は思い出しました。私はおばあちゃん子でしたから、祖母から色々と学びました。「稔るほど、頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」を教えられました。その時に「槐門棘路」という言葉を併せて覚えるように言われたのです。その時には詳しい意味はわかりませんでしたが、いろいろと教えてくれた祖母は、私が中学二年の時に急逝してしまいました。

 日本経営士協会の理事長という大役は、自分自身を見直す良い機会となりました。

 

写真: 広辞苑 「えんじゅ」の木



■ バックナンバー

 これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef

 


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ユーチューブで学ぶ“真”のプロコンサルタント成功のツボ 【心 de 経営】 を実践に活かす GLCN101-15-128

2020-07-25 12:03:00 | 【専門業】 映像で学ぶプロコンサルタント成功のツボ

■ ユーチューブで学ぶ “真”のプロコンサルタント成功のツボ 【心 de 経営】 を実践に活かす GLCN101-15-128

 コンサルタント業を始めるには、中小企業診断士の資格取得をしなければならないと思い込んでいませんか? 別の正攻法もあります。40年余の経営コンサルタント経験から、その方法や成功するためにどうすべきかをご紹介しています。

 人間性重視の温かい管理の経営思想を持とう

 

https://youtu.be/Oq5xGoGlaSI

 


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■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】022 メリヤスとスリッパ結びつけ、オンリーワンを商品化 7C27-A622  経営コンサルタントを40年余やってきた経験

2020-07-24 12:03:00 | 【心 de 経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】022 メリヤスとスリッパ結びつけ、オンリーワンを商品化 7C27-A622

 経営コンサルタントを40年余やってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

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■ メリヤスとスリッパ結びつけ、オンリーワンを商品化 7C27-A622

 「創造とは物事を結びつけること」とは、アップル創業者、スティーブ・ジョブズの警句の一つ。ゼロからではなく、既存の何かと何かがベースとなって創造が成し遂げられるといった見方である。中橋莫大小(なかはしメリヤス、東京、中橋裕子社長)が開発、商品化した「メリッパ」は、そうした捉え方にぴったり符合する創造物となる。メリッパ=メリヤス×スリッパとは一体どんなもので、どこから生まれたのか…。メリッパ誕生の道筋を探ると、多くの中小企業に役立つ教訓がぎっしり詰まっている。

 そのうたい文句は『靴下でもない、スリッパでもない、新感覚のフットウエア』。アパレル向けのメリヤス生地で創った室内用の履きものがメリッパで、素足のままでも、靴下を履いた上からでもオッケー。一足が約100グラムと軽くて、ふんわり足を包み込む感触が心地いい。かかとの部分が立っていて脱げにくく、リバーシブルで、コンパクトに畳めて、汚れたら丸洗いするだけ…といくつもの利点を備えている。

 同社は1951年創業のメリヤス(ニット)製造業者。カットソーと呼ばれるニット素材の裁断・縫製事業を長年手掛け、有力アパレルブランド向けOEM(相手先ブランド生産)で実績を重ねている。OEM事業は順調に回っているが、社員が辞める、同業者が会社を畳むなど、後ろ向きの動きも少なくない。そこで、「せっかく作れる環境があるのだから、自分たちで製品を作って売ってみようと考えた。何ができるか、社内でアイデアを募集し、エプロン、バッグなど提案があった中からメリッパを選んだ」。社長(母親)をサポートし、同社を切り盛りする中橋智範常務は、6年前のメリッパ立ち上げの頃を、そう振り返る。

 メリッパの価格は4000円台と決して安くない。これで売れるのかと心配になる価格帯だが「1年目から黒字。ギフト需要が好調で海外でも売れている」(中橋常務)。母の日や娘夫婦へのプレゼントといった需要が旺盛で、「娘に取られた」と母親が再び買いにくるケースもあったそう。アパレルOEMで培ったファッションセンスがお洒落でかわいいメリッパを生み、女性陣に受け入れられた格好だ。また、車いす利用者にも好評だということで、同社では福祉・介護シーンをはじめとする新規ニーズの掘り起こしにも力を入れていく。

 オンリーワンの商品化、シンプルで分かりやすい商品名、社員提案に基づく合意形成、危機感を持った第二創業的な取り組み…。メリッパには、業種業態に関わらず大半の企業が手本とすべき要素が盛りだくさんなように思える。中橋常務は「我々には本物のスリッパは作れない。しかし、スリッパ業界ではメリッパは作れない」と話す。その言葉の端々に、メリヤスとスリッパ、二つの統合で一つの創造を成し遂げた自負が感じられる。

 

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

 
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■【心 de 経営】 経営四字熟語010 ■ 合従連衡(がっしょうれんこう) 経営の高度化に立ち向かう

2020-07-23 17:44:57 | 【話材】 ビジネス関連

■【心 de 経営】 経営四字熟語010 ■ 合従連衡(がっしょうれんこう) 経営の高度化に立ち向かう

 

本

 

■ 示唆の多い経営四字熟語

 

 四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。

 

 四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
 読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。

 

 

■ 合従連衡(がっしょうれんこう) 経営の高度化に立ち向かう

 

 「従」という字は「縦」、「衡」は「横」という意味で、各々が「南北」と「東西」を表します。合従連衡というのは、南北に合流し、東西に連携を図ることの意です。このことから強敵に立ち向かうための戦略を指します。

 

 類語に「合従連横」という言葉がありますが、ほぼ同意と考えて良いようです。

 

 今日「野党が合従連衡」などと表現しますが、「巧みな謀を巡らした外交政策」という意味でしばしば使われています。もともとは、史記に掲載されている中国の戦国時代の戦略から来ています。

 

 南北に6カ国が連合したのですが、それを「合従」と呼びました。ところがその合従が破綻すると東西に6カ国が連合し、それを「連衡の策」と呼んだことからあわせて「合従連衡」となりました。

 

 今日、経営環境は非常に厳しさを増しています。そのために経営も高度化を余儀なくされてきたことから、一人の経営コンサルタントでは全ての問題に立ち向かうことが難しくなってきました。

 

 かつては、一人の経営コンサルタントで全てのコンサルティングをできるようになってはじめて一人前と言われました。ところがこのような間口の広いコンサルティングでは、企業が抱える問題を本格的な解決することが困難なのです。

 

 日本経営士協会では「共業・共用・共育」という言葉を掲げています。経営コンサルタント同士が切磋琢磨し(共育)、ノウハウを蓄積してそれを相互で利用し合い(共用)、さらにそれを利用してともにコンサルティング業務に取り組む(共業)というユニークな発想でいます。

 

 そのために同協会は「士業の異業種交流会」とも呼ばれます。同協会に相談をかけると最適なコンサルタント(チーム)を紹介してもらえます。一つの声かけで、複数の専門コンサルタントが難問解決に取り組んでくれます。「ワンストップ・コンサルティング」を提供をする日本最初の経営コンサルタント団体なのです。

 

 特定非営利活動法人・日本経営士協会 ←クリック

 

 

 

プロコンサルタントとして、活躍している人は、自分の専門性が高く、他の人が追いつけない何かを持っています。その様な人は、関連分野の裾野も広いのが一般的です。

 

 そして、次第に、専門分野が複数になり、クライアントにとってメリットあるコンサルティングができるようになってきます。クライアントがメリットを感じるようになりますと、別の警官を紹介してくれたりして、経営士・コンサルタントとしての地盤が強固になってくるのです。

 

 

 

 

 

 

■ バックナンバー

 

 これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。

 

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef

 

 


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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】502 新・戦争論(著者:池上 彰 他)

2020-07-23 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】502 新・戦争論(著者:池上 彰 他)

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■    今日のおすすめ

 『新・戦争論』(著者:池上 彰 佐藤 優 文春新書)

 

■        世界情勢を民族と宗教で見つめ直す(はじめに)

 2015年の年明けの世界情勢は、テロ事件で始まりました。1月初めのフランスのパリでのテロ事件、1月下旬から2月1日にかけての「イスラム国」による日本人二人の殺害事件で2015年が始まりました。不安感が沸いてくると同時に、不透明感に襲われました。この不透明感を少しでも払拭できればと、今回もPEST(P:政治、E:経済、S:社会、T:技術)に関る本をご紹介する事にしました。

 紹介本「新・戦争論」は、私たち日本人がどちらかというと不得意な民族、宗教の視点から、世界情勢を分析しています。2015年初めに起きた二つのテロ事件を想定して書かれた本ではありませんが、年初に抱いた不透明感を払拭してくれる本です。

 

■        初めて知った世界情勢のメタ要因

 「イスラム国」の話に入る前に、その他の国の内紛等の民族・宗教のメタをご紹介します。

【ウクライナ問題】

 2014年7月17日に、ウクライナ東部ドネツク州上空でマレーシア航空記が墜落した事件は記憶に新しい事件です。このウクライナの内紛は民族と宗教の視点から紛争の要因を見つけることが出来ます。ウクライナ西部と南部・東部は、民族・宗教・歴史上それぞれ異なった道を歩んできました。そこに紛争のメタがあるのです。詳しくは紹介本をお読み下さい。

【スコットランド独立運動】

 2014年9月18日にスコットランドで独立の可否を問う住民投票がありました。結果は僅かの差で独立反対派が過半数を超え、イギリスが分裂を回避できた事は、記憶に新しい事です。この問題の根底にも宗教問題があります。スコットランドは「スコットランド教会」即ち宗教改革の流れを汲むカルヴァン派等です。一方イングランドは西暦1536年に、当時のヘンリーⅧがカトリックと縁を切り出来た「英国国教会」即ち聖公会です。かつて清教徒革命(1638-1660)で戦った宗派同士なのです。 

 

 お話を「イスラム国」に向けましょう。

【「イスラム国」と中東問題】

 「イスラム国」を含めた中東の問題の根底には、イスラム教の宗派対立があります。大きくはスンニ派(85%)とシーア派(15%)に分かれますが、事は簡単ではありません。スンニ派は4つの法学派に分かれます。その中でイスラム原理主義(ムハマンドの理想的時代に戻そうと言う思想)がハンバリー派。その中でも急進的なのがワッハーブ派です。中東の大国サウジアラビアの国教がこのワッハーブ派なのです。ワッハーブ派の最も過激なグループがアルカイダであり「イスラム国」なのです。  「イスラム国」が余りに特殊で過激なるが故に、アルカイダからも破門されてしまったのです。

 一方シーア派は、五代目イマーム派、七代目イマーム派、九代目イマーム派、十二代目イマーム派がありますが(イマームは「最高指導者」の意)、最大宗派の十二代目イマーム派を抑えておけば十分です。十二代目イマーム派を国教とするのがイランであり、イラクのマリキ政権も十二代目イマーム派に属します。ここでイラクのマリキ政権をイランが支え、アメリカが支えるという奇妙な状況が出てくる訳です。

 さて、2014年6月29日に国家樹立の宣言をした「イスラム国」が発足するまでの経緯は複雑です。まずシリア問題に端を発します。シリアでは少数派(シーア派のアラウィ派=実際はイスラム教の中の被差別宗派。輪廻転生などを教理とするイスラム教の異端とされる。)のアサド政権が、多数派を占めるスンニ派の住民を抑圧・弾圧をしました。この結果、スンニ派住民と殺人は嫌だという政府軍人が「自由シリア軍」を作って内戦状態になりました。その「自由シリア軍」を圧倒し、大きな勢力となったのが、イラクの多数派のスンニ派から成る「シャーム・イスラム国」です。この「シャーム・イスラム国」がイラクからシリアに移動し勢力を拡大し、「イスラム国」を名乗り、更には、勢力範囲をシリアからイラク北部(スンニ派住民地域)に拡大してきたのです。イラクではマリキ政権によって不利な立場にあるスンニ派住民の支持を得て、一時はイラク政府軍が総崩れになる寸前まで行ったのです。この「シャーム・イスラム国」の発生の遠因をたどると、「アメリカのイラク戦争開始(2003年3月)とイラク駐留米軍の撤退(2011年12月)によるイラクの治安と経済の混乱である」と日本経済新聞(平成27年2月3日朝刊)は報じています。

 詳細は紹介本を読んでいただくとして、中東はイスラエルと国交を樹立しているヨルダン・エジプト、サウジアラビアを中心とする湾岸協力会議加盟国(GCC=サウジ・アラブ首長国連合・バーレーン・オマーン・カタール)、イラン、イラク、シリア、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、レバノン、その他「アラブの春」以降政権が出来たリビア・アルジェリア、アラビア半島で唯一GCCに加盟していないイエメン等が複雑に絡み合っています。当面は中東情勢の背景にあるメタを理解し、情勢の推移を正確に理解する事が大切と思われます。

 

■        世界情勢を改めて解き明かす(むすび)

 紹介本「新・戦争論」の内容を一部ではありますがご紹介しました。この紹介本により、今まで気付いていない事柄を知る事が出来ると思います。それぞれの国または地域で、どのような事態の発生が予想されるかを構造的に理解できるのではないでしょうか。また国と国との力関係がどのように変化する可能性があるかも理解できるのではないでしょうか。

 グローバル化の時代、私達は世界情勢と無縁ではビジネスを進めることができない時代になっています。その様な時代の世界情勢を読むために、民族・宗教の視点という新たな視点を加える事の重要性を、紹介本は示してくれます。言い換えれば、私達が、『民族、宗教に関する「メタ(meta)」』を身につけることが大切です。(「メタ」とは、表面的に見えるもの或は一般的情報の裏にある真実、つまり背後にある、判断の根拠に出来る事実情報をいいます。)

 この『民族、宗教に関する「メタ(meta)」』を生かしながら、都度起こる事態に対応して、不確実性な世界情勢を解き明かして行きたいと思っています。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴35年の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

 


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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】501 経営のプロ必読書『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』

2020-07-22 13:13:33 | 【心 de 経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】501 経営のプロ必読書『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

 『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』

   (早稲田大学ビジネススクール著:日経BP社)

■      実務と理論の融合から導かれる経営のポイント(はじめに)

 書名は「入門」と付いていますが、経営者、経営企画部門或いはコンサルタントといった経営のプロの皆様に、原点に返って、ぜひ読んで頂きたい本です。

 一般の経営書のような網羅性を避け、今現在、重要と思われる経営課題を重点的に取り上げ、新たな視点からの提案を示しており、示唆的です。

 単なる知識・理論ではなく、実例から知識・理論を使って的確な結論を導き出しています。まさに実務と理論の融合から導かれる経営のポイントが示されています。

■      読んで刺激される経営のコツが随所に書かれています

【競争力の源泉は「現場力」】

 一般的には競争力の源泉を、「戦略的事業領域の選択(Strategic Positioning戦略)」と「組織能力(Organizational Capability戦略)」のいずれに求めるかというところから戦略の検討を始めるのですが、本書ではどのような戦略を採ろうが、『戦略を実現するのは「現場力(オペレーション)」』と結論付け、「現場力」の強化を説きます。「現場力」強化のためには、『経営理念・ビジョン』『戦略』『オペレーション(現場力)』のピラミッドに加え、問題を発見し解決できる、『オペレーション(現場力)』『戦略』『経営理念・ビジョン』の逆ピラミッドが同時に必要と説きます。言葉では当たり前のことのように言われますが、なかなか経営として出来ていないのが現実です。当たり前でありながら実現できていない事柄を実現させる、実践的対応理論が随所に出てくるのが、この本の素晴らしです。詳しくはこの本書をお読みください。

【社内の顧客創造パワー「インターナル・マーケティング」】

 この書では、マーケティングを、社内の顧客創造活動のインターナル・マーケティングと一般的に使われる「エクスターナル・マーケティング」とに分け、本書では専ら、「インターナル・マーケティング」力の強化に焦点を当て、強化策を説きます。ある意味では、世の多くの経営の盲点を付いているともいえます。詳しくは本書をお読みください。

【グローバルマネジメントに於けるトランス化とメタ化】

 本書で「グローバルマネジメント」の一環として「トランスナショナル化」と「メタナショナル化」の双方が必要と説きます。「トランスナショナル化」は優れたグローバル企業であれば努力して行っている事柄です。本書ではそれに加え、これからの時代は「メタナショナル化」が必要と説きます。その国の文化、習慣、宗教等といった生活の背後にあるものを学び、そこから新しい「創造的」なものを生み出していくことが必要と説きます。この事は大変重要な示唆を示しています。今の日本の企業に欠けている部分ではと思います。詳しくは本書をお読みください。

【経営者の必要十分条件】

 日産やホンダの例を上げながら、「ゴーン氏の持っていた6つの能力」「経営者として不可欠な8つの能力」「次世代の人が経営能力をつけるための4つの実践(但し一番目の「ビジネススクールでコア技術をつける」は我田引水的です。他の方法も多くありますので読み流してください。)」などが書かれています。経営のプロの皆様、将来経営のプロを目指す方々、是非目を通して経営者の必要十分条件の能力は何かを頭の中に入れるチャンスです。

■      経営に関与するプロの皆様、原点に返り見直してみませんか(むすび)

 はじめのところでも書きましたが、書名は「入門」と書いてありますが、経営者をはじめとした経営のプロフェッショナルの皆様が、自らが関与する経営のチェックリストとして使える内容が随所に出てくる、レベルの高い本です。一読されて損のないお勧めの一冊です。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴35年の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

 


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■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】021 使い古しを新品以上にする『羽毛アップサイクル』に挑戦 7C20-A615  経営コンサルタントを40年余やってきた経験

2020-07-20 12:03:00 | 【心 de 経営】 成功企業・元気な会社

■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】021 使い古しを新品以上にする『羽毛アップサイクル』に挑戦 7C20-A615

 経営コンサルタントを40年余やってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。

 成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。

 また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。

■ 使い古しを新品以上にする『羽毛アップサイクル』に挑戦 7C20-A615

 「アップサイクル」とはリサイクル関連用語で、単なる「使い古しの再利用」ではなく、元のモノより高い価値を生み出す循環システムを意味する。そのアップサイクルを羽毛で実施し、広く普及させようとしているのがシルクウェーブ産業(群馬県桐生市、小澤康男社長)だ。代表的商品の羽毛布団は、通常、5年~10年で羽毛がヘタって破棄物として捨てられてしまう。同社では「アップサイクルの輪がつくれれば、リサイクル率は90%まで高まる」(小澤社長)と、『輪』を築き、廃棄から付加価値循環へと変えていく。

 羽毛アップサイクルのキーワードとなるのが「プラズマチタン加工」。低温プラズマを活用して、チタンの元素と繊維を分子レベルで統合することにより、繊維にチタン特有の機能を付加する技術で、群馬大学と共同開発した。同社顧問を務める黒田真一群馬大教授は「酸化チタンで羽毛を包み込むオンリーワン技術。古い羽毛が新品より良くなる」と説明する。この加工を施せば、fp(フィルパワー)=羽毛のかさ高性=保温性=品質を表す数値が40%以上もアップして、抗菌、帯電防止の機能も備わるという。

 同社は前身となる企業が考案してシルクウェーブ(絹糸中綿)と名付けた、繭から絹糸を引く技術を実用化するため、2008年に発足した。その後、第2創業の形でプラズマチタン加工に取り組み、現在は「革新的新素材の研究開発および附帯事業」を事業目的に掲げている。その推進のため、文系の学士(商学)である小澤社長自らが2年前から群馬大大学院理工学部博士課程に身を置いて、産学連携を体現している。

 同社ではこれまでに年間2トンの羽毛を加工できる装置を設置済みで、手始めに群馬県太田市と連携し、家庭から廃棄される羽毛布団を回収、除塵、洗浄、プラズマチタン加工の後、防災シュラフ(寝袋)などに仕立てるプロジェクトを進めていく。続いて、リネンサプライヤーと提携し、羽毛布団をプラズマチタン加工で再生、縫製加工後に納品する事業を展開する。銀行、リース・保険会社と共に、加工羽毛を使った布団を個人向けにリースする仕組みも設ける。これら一連の取り組みを通してアップサイクルの輪を大きく広げていく。

 昨今、羽毛の原料不足や価格高騰が取りざたされており、小澤社長は「使い古した羽毛のアップサイクルは世の中に大いに役立つ」と自社事業の意義を説く。今後、設備増強を重ねていき、3年後には年間4000トンと、現在の数千倍規模にまで拡張する計画も持っている。さらに「初期の事業化に羽毛を選んだが、そもそも、すべての繊維に金属をコーティングし新素材を開発、付加価値を高めたいと考えた」と“原点”を明かす頭の中の引き出しには、羽毛に続く第2、第3のチャレンジ計画書も収まっている。

 

  出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成

 

 
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