■【心 de 経営】 経営四字熟語016 ■ 矯角殺牛 全体最適を目指す
■ 示唆の多い経営四字熟語
四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。
四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。
■ 矯角殺牛(きょうかくさつぎゅう) 全体最適を目指す
玄中記に、牛の角の形がわずかばかりゆがんでいることが気になり、それを矯正しようとしたら牛が死んでしまったという故事が掲載されています。
すなわち矯角殺牛というのは大勢にあまり関係しないような、わずかな欠点を正すために努力をしても、その結果、全体を損なってしまっては何もならないという意味です。
これは、経営においてもいえます。
われわれ経営コンサルタントは、企業に行って、いろいろな局面で気になることが多々あります。しかし、その企業にとって何が重要なのかという視点で見ないと矯角殺牛になることがあります。
すなわち、われわれ経営コンサルタントは、「全体最適」ということを常に意識し、どこから手をつけなければならないのかを的確に判断しませんと、せっかくの努力がマイナスの効果に繋がってしまうことがあります。
私が経営コンサルタントになりたての頃の話です。ある精密機械製造業の顧問先で、収益が良くないので何とかして欲しいという社長の意向に引きずられ、そこに重点を置いたコンサルティングをしました。
その結果として、売上高は増加傾向になりましたが、利益率は一向に上がりません。その原因は、管理体制にありました。売上高が伸びたために、どの部門も忙しくなり、社員の負荷が増加してしまいました。
管理不充分なことから、貴重の利益が水漏れしていたのです。
お恥ずかしながら、経験の浅い私には、全体最適なコンサルティングではなかったことにすぐに気がつけなかったのです。売上が拡大することにより、かえって社員に迷惑をかけてしまうことになってしまいました。
経営コンサルタントが、矯角殺牛、すなわち部分最適を全体最適と勘違いするような判断をしてはならないことを、自分の失敗を通じて学びました。
■ バックナンバー
これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。
https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef