この83年製ボブ・ランデ・キューは
一時貸し出し中にバットエンドが
破損した。それにより、国内でリ
ペアした事で無銘刀になった。
象牙使用のため、21世紀に入って
からは、米国に持ち込めないので、
やむなく国内で原状復元させた
という経緯がある。ゆえに、2003
年以降はノーロゴ。
元々は84年にある業界有名人が
米国本土から持ち帰った個体で、
このモデルは日本国内にはこの一
本しか存在しない。
オリジナルシャフトは2本。
先角はマイカルタの物と本象牙。
マイカルタの個体は異様な切れ味
を示す。
どちらのシャフトも特筆すべきは
音色で、透き通る高音を発する。
まるで本象牙のパティーナのような
マイカルタの先角。
日本語ではミカルタとも記すが、
正確にはマイカルタだ。商標なの
で。
宇宙開発時代の要請を受けて、
米国のウェスティングハウス社が
開発したフェノール樹脂素材であ
る。
Micarta と書いて、英米語での発
音は「マカータ」に近い音となる。
「ー」の部分は舌を丸めてのRの
発音となる。カタカナ語の「ル」
ではない。R発音はL発音では
なく「ゥル」に近いがそこいら
は中1で習うあたり。カタカナ語
にするとRは「ゥル」に近く、
Lは「オ」に近い。welcome は
「ウエォカム」と発音したほう
が日本人は英米人には通じる。
Henry もヘンリーではなく「ヘン
ルィ」と言ったほうが通じる。
Robert はネイティブに近いのは
「ロボッ」だ(笑)。
どこでどうしてMicarta の事を
「ミカルタ」という訛った言い
回しが日本語では生じたのかは
よく知らない。
ただ、日本のビリヤード界では
本場の呼称ではない「ミカルタ」
という呼び方が一般化している。
リネンマイカルタやウッドマイ
カルタはナイフの世界では常識
的にハンドルに使用されている。
高級品ではホワイトペーパーマイ
カルタがあるが、まるで本象牙の
ような色合いと風合いを見せる。
積層物を樹脂で圧縮硬化させた
物で、非常に強度が高い。
日本刀の世界では古来より「無銘
に偽物無し」という格言がある。
大昔から日本ではそれほど贋物と
いう物が多かったという事。
これ、実はビリヤードのカスタム
キューでも横行している。
まず、バラブシュカの贋物が虎徹
の贋物のように多い。
そして、ザンボッティの贋物。
サウスウエストに関しては、日本
刀の奈良物みたいに台湾でコピー
が大量に作られたが、刀の奈良物
と同じく、量をこなしているうち
に腕が上がって本家に迫る性能を
持つようになった。
日本刀の奈良物もそれ。
いつの間にか上手になった。
私は思う。
実とは、銘ではなく中身だ、と。
そこでふと浮かんだ。
「ハウスキューに偽物無し」と(笑
このハウス備え付け用のアダムの
製品ラインのキューは銘柄はある
けどね。マルコポーロという。
まあ、だが、本物の無銘キューに
果てしなく近い立ち位置にある。
なのにそれが性能飛び抜けという
のが笑える。笑えるというか愉快
痛快奇々怪々。
まるで、新選組近藤勇の無銘虎徹
みたいだ。切れ味は極めて鋭い。
※日本刀の世界もビリヤードキュー
の世界も贋物を作って詐欺を働く
悪人が非常に多いので、充分に
ご注意ください。
ニセモノとニセモノ製造販売を
する犯罪者には要注意。