ハチとかアリは、二世代以上が同居して、繁殖個体が限定されて(女王蜂なり女王アリがひたすら卵を産んでいる)いて、その他の個体(働きアリとか兵隊アリ)は繁殖個体の繁殖を手伝うだけで自分では繁殖しない個体をたくさん含む社会集団を持つので真社会性動物と言われている。
人間も役割分担のある社会を築いているが、子供を産むのは女王に限定されていないし役割もしばしば転換するので真社会性には当てはまらない。
脊椎動物、哺乳類では真社会性を持つ動物はいないかと思いきや、いました。「ハダカデバネズミ」です。

そもそもこのハダカデバネズミが発見されたのは19世紀。東アフリカの乾燥地帯エチオピアとソマリア近辺の地下に住んでいます。名前の通りというかそのまんまですが、ほとんど無毛で唇を突き抜けている出っ歯。地下暮らしのためか目は小さくほとんど明るさを感知できるぐらいに退化している。鼻はよく効くみたいです。胴長短足でアンテナのような役割を果たすひげのような感覚毛を持っている。1年中地下で暮らすのですが、トンネルの中はほぼ摂氏30度前後に保たれた安定した環境なので無毛の方が好都合なのでしょう。そのためか哺乳類なのに自分で体温調節できない変温動物!なのです。でも体温調節能力を手放すことによってエネルギー消費量を低く抑えることに成功。そのためか30年以上生きるという体長10センチぐらいの体のサイズに比べて異様に長寿なのです。そういえば「ゾウの時間、ネズミの時間」という本があったともいますが、サイズや寿命は違っても動物の一生の心拍数はほぼ同じとかだったと記憶しています。哺乳類にあるまじき変温動物という特性が寿命に関係しているのか?心拍数はやっぱり少ないのかな…
ところで、このデバネズミが真社会性を持つと公表されたのは1981年。つい最近です。
一つの群れで平均約80匹、繁殖にかかわるのはたった1匹のメス=女王と1~3匹のオス=王様?のみ。女王は群れに君臨するのだが生まれながらの女王ではなく厳しい戦いを勝ち抜いてつかんだ地位。ストレスも高くライバルたちを威嚇し続けなくてはならず睡眠時間も一番短いとか。じゃあ、王様はどうかというと女王と比べて在任期間も短く要求されるままに交尾を強いられる。挙句は女王が交代する時には殉死というか真っ先に殺されるというとちょっとつらい。
群れの大多数は兵隊デバと働きデバとして女王に仕えている。兵隊は普段はあまり働かずにごろごろしているのだが捕食者の蛇などが侵入してきたときは一応攻撃するのだがかなうはずもなく食べられてしまうのが仕事とか。働きデバの一部は女王に子供が生まれると床に寝そべって布団と化し子供の体温を保温することもある。肉布団階級!体温調整機能を持っていないからこういうことが必要になるのです。でも兵隊デバと働きデバ、肉布団階級は固定されているものではなくて体の大きさとか群れの仲間との関係で変化していくものみたいです。
地下の巣穴の全長は3キロ余りに達するそうで、その中で居室、トイレ、方向転換する小部屋を設けている。住んでいる場所はもともとが乾燥地帯なのでまばらにしか植物が生えていない。地下で餌となる植物の根に行き当たるまでひたすら掘りまくる。餌場の場所を伝えるのは匂いだそうですが、仲間とのコミュニケーションには鳴き声も使っていて、17種類の音声を使い分けている。職業階級に特有な鳴き声もあるとか。これは光の入らない地下での生息環境でコミュニケーションをとるための方法でしょう。
この本では最初にこのハダカデバネズミを日本に持ち込み飼育する奮闘記も書かれている。裸で寒さに弱いので温度管理をしっかりしなくてはいけないとか、騒音振動に弱い(地下ではそんな時は地震などの天変地異しかない)のでパニックをおこして子供を食べてしまったりとかの苦労続き。そんなこんなで何とか飼育を軌道に乗せたのです。
今日本ではこの「ハダカデバネズミ」を見られるのは3か所。東京、千葉、埼玉といずれも首都圏ですが、機会があれば見たいものです。東京は上野動物園なのでパンダと一緒に見てみましょうか。
100ページほどの写真もたくさんある本なのですぐに読めますが、世界にはまだまだ知らなかったことが多いのです。
人間も役割分担のある社会を築いているが、子供を産むのは女王に限定されていないし役割もしばしば転換するので真社会性には当てはまらない。
脊椎動物、哺乳類では真社会性を持つ動物はいないかと思いきや、いました。「ハダカデバネズミ」です。

そもそもこのハダカデバネズミが発見されたのは19世紀。東アフリカの乾燥地帯エチオピアとソマリア近辺の地下に住んでいます。名前の通りというかそのまんまですが、ほとんど無毛で唇を突き抜けている出っ歯。地下暮らしのためか目は小さくほとんど明るさを感知できるぐらいに退化している。鼻はよく効くみたいです。胴長短足でアンテナのような役割を果たすひげのような感覚毛を持っている。1年中地下で暮らすのですが、トンネルの中はほぼ摂氏30度前後に保たれた安定した環境なので無毛の方が好都合なのでしょう。そのためか哺乳類なのに自分で体温調節できない変温動物!なのです。でも体温調節能力を手放すことによってエネルギー消費量を低く抑えることに成功。そのためか30年以上生きるという体長10センチぐらいの体のサイズに比べて異様に長寿なのです。そういえば「ゾウの時間、ネズミの時間」という本があったともいますが、サイズや寿命は違っても動物の一生の心拍数はほぼ同じとかだったと記憶しています。哺乳類にあるまじき変温動物という特性が寿命に関係しているのか?心拍数はやっぱり少ないのかな…
ところで、このデバネズミが真社会性を持つと公表されたのは1981年。つい最近です。
一つの群れで平均約80匹、繁殖にかかわるのはたった1匹のメス=女王と1~3匹のオス=王様?のみ。女王は群れに君臨するのだが生まれながらの女王ではなく厳しい戦いを勝ち抜いてつかんだ地位。ストレスも高くライバルたちを威嚇し続けなくてはならず睡眠時間も一番短いとか。じゃあ、王様はどうかというと女王と比べて在任期間も短く要求されるままに交尾を強いられる。挙句は女王が交代する時には殉死というか真っ先に殺されるというとちょっとつらい。
群れの大多数は兵隊デバと働きデバとして女王に仕えている。兵隊は普段はあまり働かずにごろごろしているのだが捕食者の蛇などが侵入してきたときは一応攻撃するのだがかなうはずもなく食べられてしまうのが仕事とか。働きデバの一部は女王に子供が生まれると床に寝そべって布団と化し子供の体温を保温することもある。肉布団階級!体温調整機能を持っていないからこういうことが必要になるのです。でも兵隊デバと働きデバ、肉布団階級は固定されているものではなくて体の大きさとか群れの仲間との関係で変化していくものみたいです。
地下の巣穴の全長は3キロ余りに達するそうで、その中で居室、トイレ、方向転換する小部屋を設けている。住んでいる場所はもともとが乾燥地帯なのでまばらにしか植物が生えていない。地下で餌となる植物の根に行き当たるまでひたすら掘りまくる。餌場の場所を伝えるのは匂いだそうですが、仲間とのコミュニケーションには鳴き声も使っていて、17種類の音声を使い分けている。職業階級に特有な鳴き声もあるとか。これは光の入らない地下での生息環境でコミュニケーションをとるための方法でしょう。
この本では最初にこのハダカデバネズミを日本に持ち込み飼育する奮闘記も書かれている。裸で寒さに弱いので温度管理をしっかりしなくてはいけないとか、騒音振動に弱い(地下ではそんな時は地震などの天変地異しかない)のでパニックをおこして子供を食べてしまったりとかの苦労続き。そんなこんなで何とか飼育を軌道に乗せたのです。
今日本ではこの「ハダカデバネズミ」を見られるのは3か所。東京、千葉、埼玉といずれも首都圏ですが、機会があれば見たいものです。東京は上野動物園なのでパンダと一緒に見てみましょうか。
100ページほどの写真もたくさんある本なのですぐに読めますが、世界にはまだまだ知らなかったことが多いのです。