怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

中原圭介「AI×人口減少」

2022-04-19 07:35:05 | 
日本経済の先行きを考えると避けて通れないのが「少子化」
経済予想と言うのは不確定要素が多くて、例えばロシアのウクライナ侵略が予想外の出来事で、結果世界経済予測が大きく変わってしまたように、残念ながらなかなか当たらないものだが、人口フレームは一定の幅があるにせよ2~30年先まではほぼ正確に予想できる。予測によれば日本の人口減少は避けられないのだが、どういう影響を及ぼしていくのだろうか。
加えていま話題のAIによってどんどん人間の労働がコンピューターに置き換わっていくとどうなるのか。経済アナリストの中原さんが見通しを語っています。

国立社会保障・人口問題研究所が人口推計を発表して以来かなり話題にはなっているので、もうすでに知っている人は多いのだろうが、日本の人口は2053年には1億を割り込み、2100年には6000万人を割り込む推計です。
そのまま行くと2350年には日本人はいなくなる!まあ、これは現在の出生率をもとにした机上の推計なので、さすがにこうはならないのでしょうけど。
それでも出生率が1.4とか1.5と言うのであれば人口減少は避けられないし、仮に今すぐ出生率が2.0になったとしてもその子どもたちが出産可能年齢になるまでは、つまり20年は出生数は減り続ける。出生率が高くなるにしてもいきなり2.0はあり得ないので、人口減少の想定スピードを緩めることが出来れば上出来と言うことか。
一方で平均寿命も延びていて団塊の世代がいよいよ後期高齢者になってくるので高齢化率は伸び続ける。
健康保険、年金などの社会保障費は増えていくばかりなのに、それを支える現役世代は減り続ける。これはどう考えても明るい未来ではない。負担できる社会保険料には限界もあるだろうし、そうなると給付を下げるしかない。当面は高齢者の定義を改め出来るだけ長く働かせるぐらいしかないか。
それでも高齢化については喫緊の問題は逃げ切ろうとしている団塊の世代にどう対応するかと言うことで、その後の緩やかな高齢化率の上昇は知恵を絞れば対応策がありそうに見える。
長期的に深刻な問題は少子化にどう対処していくかでしょうけど、問題が顕在化するには時間がかかるために抜本的な対応はおざなりされてきたように見える。今ここにある危機以外の将来的な課題には優先順位が後回しにされるのは、今の政治体制では仕方ないのか。でも真剣に取り組むにはもはや遅きに失しているかも。
少子化が進むと人出不足が進むかと思いきや、一方で人間労働がどんどんロボットなどに置き換わり、さらに今までは人間しかできないかと思われてきた事務作業にもAIによってコンピュータ処理に置き換えられるようになりつつある。AIまで行かずとも「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」によってマニュアル通りにやるような仕事はどんどん機械に置き換わっている。AIは創造的な仕事は無理で、東大入試合格プロジェクトによればAIで偏差値55ぐらいは行くみたい。逆に言えば偏差値55ぐらいの人がやっている仕事と言うのはAIで対応可能と言うことか。コスト的にペイするかどうかという面もあるけど、最近のデータ処理能力と画像処理技術の進化とかを考えると偏差値50くらいのレベルの仕事はAIで大丈夫でしょう。著者によれば銀行業務はほとんど無人になり、医師・弁理士・弁護士などの仕事もかなりの部分が置き換わるのではと言うことに。
そうなると人間の仕事は真に創造的な仕事と人間相手のアナログな対応とか最後の一マイル的な仕事に二極化するのか。そうなると社会の分断はますます進む…定型的な仕事は機械に任せ生産性を上げて、人間は真に人間しかできない仕事をやるという楽観的見方もあるのですけど。
ところで著者は少子化対策の切り札は「地方創生」と主張。石川県への機能移転を進めているコマツの実践例を紹介していますが、地方の方が出生率は高くゆとりを持った子育てができる。その流れが大きく成れば出生率2・0も難しいことではない!そのためには税制を含めて官民協力して地方創生を強力に後押しする政策を取るべきだと。
江戸時代は太平の世でしたが人口は横ばい。歴史人口学の速水融教授によると地方の農村は食べ物は確保できるので、それなりに子供が増えているのだが、農地を分割するわけにはいかないので次男、三男は江戸とか大阪へ丁稚奉公に行く。勢い都会は男性社会でなかなか結婚もできず、劣悪な奉公生活で死亡率も高く、結果日本の人口はあまり増えないと言う構造だったとか。
今の東京も生涯未婚率が高く出生率も低い。解決策としては有力なのでしょうが、地方創生、一極集中の分散化は総論賛成で各論反対、なかなか具体化しないのが現実です。
日本人がもっと真剣に考えないといけない問題ですが、危機がもっと目の前に来ないと行動できないのは世の習いか。
コメント
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