この本は子育て支援の啓蒙書ではなく、非常に学問的な専門論文であり、政策効果を定量的に分析しつつ、提言を行っています。結論は表題のように「子育て支援が日本を救う」なのですが、政策実現に必要な経費と財源についても具体的に提言しています。
その方法はОECD28か国の各種時系列データをもとに国際比較することで「労働生産性を高め財政を健全化する政策」「自殺を減らす政策」「子供の貧困を減らす政策」としては何が有効かを検証している。
しかし、その使用データと分析方法に関する議論は非常に専門.的で統計学的知識がないと理解不能でほとんど結論しかわからないし、正しいかどうかの判断もできない。
したがってこの本を表題にひかれて手に取る一般人は「はじめに」に書いてあるようにあとがき→第11章→第1章→第10章と読んでいき後の章は興味があればぱらぱらと眺めるだけで十分です。統計的分析は正しいと信じたうえで読んでみましょう。
そこでいきなり結論をネタバレさせてしまえば「これからの日本を救うのは、保育サービスを中心とした子育て支援である」ということです。
具体的には潜在的待機児童(100万人超)を解消することで労働生産性を最大限に伸ばし、子どもの貧困率を先進国平均まで減らし、財政余裕を10年かけて先進国平均まで増やすには、単年度予算において保育サービスに1.8兆円、児童手当2.5兆円、企業支援は0.2兆円合計4.5兆円の追加予算が必要。これによって潜在的待機児童は完全に解消され、子どもの貧困率はОECD平均まで減り、労働生産性は2.9ポイント増加し、財政余裕は10年後にОECD平均まで増え、合計特殊出生率は0.02ポイント増え、年間自殺者は約500人減る。必要な財源は「所得税の累進化」「相続税の拡大」「被扶養配偶者優遇制度の限定」「資産税の累進化」を小規模ずつ組み合わせれば十分確保可能。
労働生産性の伸びとかを考えると十分に元が取れる政策なのです。
まあ、諸般の事情によりここまでドラスティックにはなかなか難しいというのなら潜在的待機児童を小さめ(80万人)に見積もりその解消だけを行うことにするならば追加予算は保育サービス拡充のための0.7兆円で済む。それによって労働生産性は0.4ポイント上昇し、子どもの貧困率は1.1ポイント減少し、合計特殊出生率は0.01ポイント上がり、財政余裕は0.1ポイント増え、自殺者は200人減る。
日本はいつの間にか一人当たり労働生産性は停滞してОECD諸国の中でも低くなっていて少子高齢化の中で経済成長が望めなくなってきている。
そんな中、子育て支援策を行うことによって、経済成長率を高め、財政再建を実現していくことができるとするとなんと魅力的な結論でしょうか。子育て支援に必要な金は無駄な経費ではなくて非常に有効な投資だとすればもっと大手を振って主張することができるでしょう。
この結論はもっと分かりやすくみんなに知らしめるべきでしょうが、このままではたぶん第1章で挫折しかねないほど専門的です。是非数式抜きでエッセンスをブックレットなりにしたらどうでしょう。古市ぐらいにまとめさせて宣伝させれば結構売れるんではないでしょうか。
それにしても今待機児童の解消にどんどん金をつぎ込んでいますが、あまりにも急激につぎ込むと制度の拡大への軋みが露わになってきます。資金はあっても保育園を増設するための用地と住民の理解、質の良い保育士の確保と養成などなど。
今頃急に慌てて拡大してぎくしゃくするぐらいなら本当はもう少し前から本格的に取り組むべきだったのでしょう。
保育行政の末端に携わったものとして、あの時ありとあらゆる手段を講じてもっと限度いっぱいまで取り組んでおくべきだったかと忸怩たる思いがあります。
その方法はОECD28か国の各種時系列データをもとに国際比較することで「労働生産性を高め財政を健全化する政策」「自殺を減らす政策」「子供の貧困を減らす政策」としては何が有効かを検証している。
しかし、その使用データと分析方法に関する議論は非常に専門.的で統計学的知識がないと理解不能でほとんど結論しかわからないし、正しいかどうかの判断もできない。
したがってこの本を表題にひかれて手に取る一般人は「はじめに」に書いてあるようにあとがき→第11章→第1章→第10章と読んでいき後の章は興味があればぱらぱらと眺めるだけで十分です。統計的分析は正しいと信じたうえで読んでみましょう。
そこでいきなり結論をネタバレさせてしまえば「これからの日本を救うのは、保育サービスを中心とした子育て支援である」ということです。
具体的には潜在的待機児童(100万人超)を解消することで労働生産性を最大限に伸ばし、子どもの貧困率を先進国平均まで減らし、財政余裕を10年かけて先進国平均まで増やすには、単年度予算において保育サービスに1.8兆円、児童手当2.5兆円、企業支援は0.2兆円合計4.5兆円の追加予算が必要。これによって潜在的待機児童は完全に解消され、子どもの貧困率はОECD平均まで減り、労働生産性は2.9ポイント増加し、財政余裕は10年後にОECD平均まで増え、合計特殊出生率は0.02ポイント増え、年間自殺者は約500人減る。必要な財源は「所得税の累進化」「相続税の拡大」「被扶養配偶者優遇制度の限定」「資産税の累進化」を小規模ずつ組み合わせれば十分確保可能。
労働生産性の伸びとかを考えると十分に元が取れる政策なのです。
まあ、諸般の事情によりここまでドラスティックにはなかなか難しいというのなら潜在的待機児童を小さめ(80万人)に見積もりその解消だけを行うことにするならば追加予算は保育サービス拡充のための0.7兆円で済む。それによって労働生産性は0.4ポイント上昇し、子どもの貧困率は1.1ポイント減少し、合計特殊出生率は0.01ポイント上がり、財政余裕は0.1ポイント増え、自殺者は200人減る。
日本はいつの間にか一人当たり労働生産性は停滞してОECD諸国の中でも低くなっていて少子高齢化の中で経済成長が望めなくなってきている。
そんな中、子育て支援策を行うことによって、経済成長率を高め、財政再建を実現していくことができるとするとなんと魅力的な結論でしょうか。子育て支援に必要な金は無駄な経費ではなくて非常に有効な投資だとすればもっと大手を振って主張することができるでしょう。
この結論はもっと分かりやすくみんなに知らしめるべきでしょうが、このままではたぶん第1章で挫折しかねないほど専門的です。是非数式抜きでエッセンスをブックレットなりにしたらどうでしょう。古市ぐらいにまとめさせて宣伝させれば結構売れるんではないでしょうか。
それにしても今待機児童の解消にどんどん金をつぎ込んでいますが、あまりにも急激につぎ込むと制度の拡大への軋みが露わになってきます。資金はあっても保育園を増設するための用地と住民の理解、質の良い保育士の確保と養成などなど。
今頃急に慌てて拡大してぎくしゃくするぐらいなら本当はもう少し前から本格的に取り組むべきだったのでしょう。
保育行政の末端に携わったものとして、あの時ありとあらゆる手段を講じてもっと限度いっぱいまで取り組んでおくべきだったかと忸怩たる思いがあります。
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