気鋭のエンジェル投資家であり経営コンサルタントであり、かつ京都大学の准教授となり教育者として京都大学で受講生が押し掛ける講座「起業論」を持っていた瀧本哲史、このブログでも何冊かブックレヴューしていますが、惜しくも、本当に惜しくも2019年に病のために夭折しています。残念です。
この本は京都大学での講義が評判になったころ、京都大学だけではなくてもっと広く門戸を開いてほしいという要望を受けて十代、二十代限定で東大の伊藤謝恩ホールで行った講義録です。
瀧本さんの熱い語り口や白熱したやり取りが、時折口にする冗談とともに、ビンビン伝わってきます。
巻末には瀧本さんの全著作が、簡単な紹介とともに載っていますが、2011年からの8冊を私は全部読んでいます。いずれも熱く心を揺さぶられますが、残念なのは基本的に若い人たちに向けて書いたものということ。齢60を超え、もはや新しいことに挑戦することもできない者にとっては、瀧本さんにいくら武器を配られ気合を入れられても、あまり活かしようもなく、これから荒海に漕ぎ出していく若者を支援することぐらいしかできないことです。
その意味ではこれからの日本を担う若者に是非読んでいただきたい本の数々です。
ところで今回の講義録は著書全部のダイジェスト版的なもの。言っていることは著書に詳しく書いてあることばかりなのですが、エッセンスが分かりやすく語られていて、どちらかと言えば最初にこれを読んでから、順番に武器シリーズを読んでいくといいのではないでしょうか。
ところでエンジェル投資家として成功し、金のことにはもはやあまり関心がないと言っているのに、どうして大学で教え、本を出版してと活動しているのか。根本は日本に対する危機感であり、資本主義、自由主義、民主主義をきちんと成立させるためには「自分で考え自分で決める」が超重要。それができる若い人を増やしたいので必要不可欠な「武器」を配っていくのだと。奴隷でも猿でもない、自分で考え、自分で決める「人間」になり、行動せよ!
瀧本さんは講義ではいつも結構バンバン指名して学生とやり取りしながら進めていくみたいで、この本でも聴講生とのやり取りとか質疑応答とかが結構あって、厳しめのことを言いつつも、若者に対する愛と期待が感じられます。
最終章の第6章「よき航海をゆけ」は質疑応答になっていて、少し紹介すると
・瀧本さんのエンジェル投資家としての投資の成功要因は?
→やっていることが非常にユニークで、どこかのパクリでないこと。加えてそれを実現できるようなチームだけでやっていることが重要。事業が全くうまくいかなくても、だれかがその会社を買収したくなる。そうすれば投資は失敗しない。
・絶対に人生において読んでいたほうがいい本3冊は?
→それは人によって読むべき本が違うから、そんな本はない。そういうバイブルみたいな本は嫌いです!
・なぜ瀧本さんは日本をよくしたいのか、世の中をよくしたいのか?
→自分のリソースを最大限に活用して、なるべくインパクトがあって、すごく困っているところが大逆転して一番よくなることがいい。「日本はダメダメだ!」みたいな本が売れているからこそ「底値」になっているので投資家としては「買い」の判断。
・起業していく時、アイデアをプレゼンするとパクられてしまう危険があるのですが。
→すごいアイデアと思っていても、ほとんどの場合に他の人も考えている。アイデアなんてものに価値はなくて、それをやるメンバーの実行力とかの方がはるかに重要。アイデアがどうかなんてことより、「あなただからその事業をやる意味がある」と言うことが極めて重要。誰かにしゃべったらすぐパクられて一夜にして抜かれるみたいなコモディティのアイデアなのだったらしたら、やめた方が賢明。
・「盗まれないもの」とはどういうものか?
→それはその人の人生です。「その人にしかないユニークさ」というのが一番盗めない。大学で学んだこととか、昔からの友人関係とか、その人が人生の中でもともと持っている「バックグラウンド」が一番の差別化要因です。
などなど。
実際の回答はもっといろいろな例を出し、説得力あるものですので、詳しくは是非読んでみてください。
最後に日本にはそんなに悲観していなくて、容易に復活し得ると思っていると。2020年までの8年が大事だから8年後の2020年6月30日に再びここへ集まって、みんなで宿題の答え合わせをしようと。
von voyage(よき航海を)、これは自分の判断でリスクを取っている自立した人間の挨拶。
ところでこの講義とその後はNHKが特集でやっていました。泉下の瀧本さんはこの講義の聴講生の何人にに合格点を上げたのでしょうか?
因みに一緒に写っている2冊の本はkill the time用に借りた本。益田ミリの本は最適でしたが、畠中恵の本はしゃばけシリーズの方が
断然楽しめたかな。
この本は京都大学での講義が評判になったころ、京都大学だけではなくてもっと広く門戸を開いてほしいという要望を受けて十代、二十代限定で東大の伊藤謝恩ホールで行った講義録です。
瀧本さんの熱い語り口や白熱したやり取りが、時折口にする冗談とともに、ビンビン伝わってきます。
巻末には瀧本さんの全著作が、簡単な紹介とともに載っていますが、2011年からの8冊を私は全部読んでいます。いずれも熱く心を揺さぶられますが、残念なのは基本的に若い人たちに向けて書いたものということ。齢60を超え、もはや新しいことに挑戦することもできない者にとっては、瀧本さんにいくら武器を配られ気合を入れられても、あまり活かしようもなく、これから荒海に漕ぎ出していく若者を支援することぐらいしかできないことです。
その意味ではこれからの日本を担う若者に是非読んでいただきたい本の数々です。
ところで今回の講義録は著書全部のダイジェスト版的なもの。言っていることは著書に詳しく書いてあることばかりなのですが、エッセンスが分かりやすく語られていて、どちらかと言えば最初にこれを読んでから、順番に武器シリーズを読んでいくといいのではないでしょうか。
ところでエンジェル投資家として成功し、金のことにはもはやあまり関心がないと言っているのに、どうして大学で教え、本を出版してと活動しているのか。根本は日本に対する危機感であり、資本主義、自由主義、民主主義をきちんと成立させるためには「自分で考え自分で決める」が超重要。それができる若い人を増やしたいので必要不可欠な「武器」を配っていくのだと。奴隷でも猿でもない、自分で考え、自分で決める「人間」になり、行動せよ!
瀧本さんは講義ではいつも結構バンバン指名して学生とやり取りしながら進めていくみたいで、この本でも聴講生とのやり取りとか質疑応答とかが結構あって、厳しめのことを言いつつも、若者に対する愛と期待が感じられます。
最終章の第6章「よき航海をゆけ」は質疑応答になっていて、少し紹介すると
・瀧本さんのエンジェル投資家としての投資の成功要因は?
→やっていることが非常にユニークで、どこかのパクリでないこと。加えてそれを実現できるようなチームだけでやっていることが重要。事業が全くうまくいかなくても、だれかがその会社を買収したくなる。そうすれば投資は失敗しない。
・絶対に人生において読んでいたほうがいい本3冊は?
→それは人によって読むべき本が違うから、そんな本はない。そういうバイブルみたいな本は嫌いです!
・なぜ瀧本さんは日本をよくしたいのか、世の中をよくしたいのか?
→自分のリソースを最大限に活用して、なるべくインパクトがあって、すごく困っているところが大逆転して一番よくなることがいい。「日本はダメダメだ!」みたいな本が売れているからこそ「底値」になっているので投資家としては「買い」の判断。
・起業していく時、アイデアをプレゼンするとパクられてしまう危険があるのですが。
→すごいアイデアと思っていても、ほとんどの場合に他の人も考えている。アイデアなんてものに価値はなくて、それをやるメンバーの実行力とかの方がはるかに重要。アイデアがどうかなんてことより、「あなただからその事業をやる意味がある」と言うことが極めて重要。誰かにしゃべったらすぐパクられて一夜にして抜かれるみたいなコモディティのアイデアなのだったらしたら、やめた方が賢明。
・「盗まれないもの」とはどういうものか?
→それはその人の人生です。「その人にしかないユニークさ」というのが一番盗めない。大学で学んだこととか、昔からの友人関係とか、その人が人生の中でもともと持っている「バックグラウンド」が一番の差別化要因です。
などなど。
実際の回答はもっといろいろな例を出し、説得力あるものですので、詳しくは是非読んでみてください。
最後に日本にはそんなに悲観していなくて、容易に復活し得ると思っていると。2020年までの8年が大事だから8年後の2020年6月30日に再びここへ集まって、みんなで宿題の答え合わせをしようと。
von voyage(よき航海を)、これは自分の判断でリスクを取っている自立した人間の挨拶。
ところでこの講義とその後はNHKが特集でやっていました。泉下の瀧本さんはこの講義の聴講生の何人にに合格点を上げたのでしょうか?
因みに一緒に写っている2冊の本はkill the time用に借りた本。益田ミリの本は最適でしたが、畠中恵の本はしゃばけシリーズの方が
断然楽しめたかな。
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