パリのポンピドーにあたる現代美術ばかりを集めた同館の一番の人気作はピカソのゲルニカである。1937年のパリ万国博覧会のスペイン出品作としてピカソがバスクを襲ったナチスドイツによる空爆のニュースに衝撃を受けて制作したことはあまりにも有名。それと同作品がパリ万博後、スペインには戻らずノルウェーなどヨーロッパ各国で公開された後39年ニューヨークに渡り、寄託先をMoMAとしてスペインを除く各国に貸し出されたことも話題の大きさを語っている。81年やっとプラド美術館別館に返却され、92年現在のソフィア王妃センターを多分安住の地として最終的に落ち着いたのである。95年に京都国立近代美術館において「ピカソ 愛と苦悩 「ゲルニカ」への道」展が開催された際は本物は出展されず、実物大の写真図版が展示されたが、ソフィアという日本の美術館に比べて大きなところで見ると本物は案外小さく見えた。日本でピカソ展というと青の時代やそれ以前のものはあまり来ないが、さすが本家、ピカソの若い頃の作品もふんだんにあり、キュビズムに至る前のピカソの確かなデッサン力が「ゲルニカ」で結実していることがよくわかる。個人的にはピカソやミロよりゴンザレスやカルガーリョの彫刻も多いのが同館の楽しみであった。
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