ごっとさんのブログ

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痛風の炎症、細胞内タンパク質が関与

2022-12-28 10:44:54 | 健康・医療
風が吹いても痛いという事で「痛風」という名前が付いたといわれていますが、私もやや尿酸値が高く若干心配しています。

痛風の原因は、血液などの体液中の尿酸が溶解度以上の濃度となると結晶化し、その鋭い結晶が神経を刺激して起こるという説があります。私はこの尿酸を実験に使ったことがありますが、確かに尿酸の結晶は鋭い針状の結晶でした。

この試薬の尿酸はかなり大きな結晶でしたが、多分体内で結晶化する場合は目に見えない程度の小さな結晶となりそうで、体内でこんな小さな針のようなものが出来たら本当に痛そうな実感がありました。

また血液検査での尿酸値の上限が、この飽和溶解度というそれより少しでも増えたら結晶化するという数値のようで、これを超えたら痛風が発症するというのは納得性があるものです。

さてこの痛風の痛みに関して新たなメカニズムが報告されました。大阪大学の研究チームは、痛風で炎症が起きる過程で、細胞内の「ラギュレーター複合体」と呼ばれるタンパク質が関与していることが分かったと発表しました。

この複合体の働きを抑える薬が開発されれば、痛風や動脈硬化などの治療につながる可能性があるとしています。なおこの発見は痛風の原因が、尿酸結晶の刺激であるという点を否定しているわけではありません。

細胞は尿酸などが内部に侵入すると「異物」と認識し、対応するための物質「インフラマソーム」を活性化させます。この物質は身体の防御に有効ですが、痛風などさまざまな病気で炎症を引き起こす面もあり、働きを制御する研究が進んでいます。

研究チームは、ラギュレーター複合体がインフラマソームの働きを制御しているとみて、同複合体を十分働かないようにしたマウスに痛風を発症させる実験を実施しました。すると通常のマウスに比べ複合体が働かないマウスは、通常のマウスに比べ痛風の炎症が軽くなりました。

さらに脂質異常症などの治療に使われる合成型ビタミンEである「α-トコフェロール」を投与すると、痛風の炎症が軽減されました。研究チームは、合成型ビタミンEのほかにも、ラギュレータ―複合体を標的にした薬剤を開発すれば、治療への応用が期待できると話しています。

このビタミンEがどういう作用機構で複合体の働きを抑えているのかは言及がありませんでした。

現在の通風治療薬がどういうメカニズムで効果を発揮するのかは分かりませんが、こういった新しい炎症発現の機構の発見で新たな薬剤が開発できれば、痛風の治療や予防に役立つのかもしれません。