ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

高血圧を治療する降圧剤ではない「アプリ」が登場

2022-12-26 10:49:12 | 健康・医療
私の血圧はあまり測ったことはないのですが、大体130前後で安定しているようです。

血圧は年齢によって変化するものと考えていますので、高齢者は高くなって当然でよほど極端でなければ治療する必要はなく、むしろ降圧剤による悪影響が大きいというのが私の持論です。

最近保険診療で使える高血圧の「治療用アプリ」が発売されました。医師の指導だけでは効果が薄いケースでもデジタル技術を活用して患者の意識や生活習慣の変化を促し、血圧を低下させる効果が期待されています。

血圧は塩分の摂りすぎで体内の水分が増えたり、動脈硬化が進んだりすると高くなり、最高血圧が140以上で最低血圧が90以上になった場合を高血圧と呼んでいます。しかしこれは若中年の場合であり、高齢者の場合は大部分の人が高血圧になってしまう数値のような気がします。

当然自覚症状はありませんが、進行すると脳卒中や心臓病、腎臓病などを引き起こすとされ、国内の推計患者数は4300万人とされています。

治療の2本柱は減塩を中心とした生活習慣の改善と、血圧を下げる薬の服用ですが、治療を続けて血圧を上手にコントロールできている人は3割に届かないとされています。

この課題の解決に役立つとされているのが、患者がスマートフォンにダウンロードして使う治療用アプリです。医師からアプリを処方された患者は、毎日の血圧や食事、睡眠などを入力し、そのデータを基にアプリは「塩分を減らし薬味を使う」などと助言を表示します。

データは処方された医師にも共有され、診察時の生活指導に使われます。患者の負担額(3割負担の場合)は初月2910円、その後は月2490円となっています。

ここでこのアプリを使った女性(48)の例が出ていましたが、健康診断で最高血圧が180超だったため、このアプリを使用しました。炭水化物を減らして毎日歩くことで4キロ減量し、最高血圧を130近くに下げることができました。

この主治医もアプリで生活習慣の変化が分かるので、きめ細かい指導ができると指摘しています。このアプリはクスリと同様に承認のために安全性と有効性を確かめる「治験」を行っています。

アプリ活用と医師の生活指導の両方を行う集団を、医師の生活指導だけの集団と比較したところ、3か月後には脳卒中や心臓病の発症リスクが10.7%、心不全リスクが54%低下することが期待できる血圧の低下が確認されています。

どうもこのアプリをどう使うのかがピンときませんが、大部分の人がスマフォを持っている(私は「こだわりのガラケー」ですが)現在では、降圧剤に頼らずこういったアプリで血圧低下を目指すのは非常に有効な治療法と思っています。

糖尿病」大切な血糖値の自己管理

2022-12-25 11:28:25 | 健康・医療
糖尿病やそれが疑われる予備軍は全国で2000万人ともいわれています。

インスリンがもともと分泌不良の1型糖尿病は、病気として治療する必要があると思いますが、生活習慣病としての2型糖尿病が病気といえるのかは若干疑っています。

もちろん血糖値が高い人が食事を気を付けたり運動したりすることは良いことですが、薬によって対処するというのは高齢者には必要が無いと思っています。

高血糖を放置すると、将来心筋梗塞などになる可能性が何倍にもなるというデータはあるようですが、あくまでも若い人の場合であり高齢になればあまり意識する必要はないと思っています。

血糖値を下げる薬を飲むことによって得られるメリットはありますが、それより薬害(副作用や効きすぎ)によるデメリットが大きいと感じています。ここでは糖尿病に対処するための専門家の意見を紹介しますが、あくまでの若い人にとってはという方法です。

糖尿病患者の平均死亡年齢と平均寿命を比較すると、1991〜2000年では男性で9.6歳、女性では13.0歳短くなっており、2001年〜2010年では男性8.2歳、女性11.2歳の差があるとしています。

糖尿病が怖いのはその合併症で、網膜症では視力低下を招き悪くすると失明します。腎臓の病気(腎症)は浮腫に加え人工透析を余儀なくされることも多く、患者にとって大きな負担となります。2020年に新たに透析を始めた38,549人のうち、糖尿病性腎症が40.7%を占めています。

神経障害では感覚の低下や脚の壊疽を招く恐れがあり、足の壊疽で下肢を切断するケースも少なくないようです。さらに糖尿病になると冠動脈疾患が増加し、そのリスクは4.37倍、予備軍でも1.74倍になります。

特に31〜40歳では、糖尿病のある人の冠動脈疾患リスクは17.3倍にも高まるとしています。糖尿病の診断に用いられ、血糖管理状態の指標ともなるのがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ですが、血液検査で調べ健康診断の項目にも入っていることがあります。

ただし採血時から過去1,2か月の平均血糖値を反映しているため、食後高血糖や低血糖を確認することはできません。「持続グルコース測定」はセンサーで細胞の間にある液中のグルコースを測り、血糖値に換算するものです。

この方法で「点」だったものを「線」でとらえられるようになる測定法として評価されているようです。ここではいわば糖尿病の恐ろしさと、早期発見について述べてきましたが、糖尿病患者数と合併症発症者数を考えれば、それほど気にするような病気ではないと考えています。

特に高齢者では血糖値が少々高くなったとしても、食事や運動に気を付ける程度で十分ではないでしょうか。

ガン治療の陽子線治療装置の小型化に成功

2022-12-24 10:35:19 | 健康・医療
日本のガン治療は年々進歩していますが、このブログでも何回か述べたように欧米に比べて圧倒的に外科手術が多くなっています。

手術より患者の負担が少ない放射線治療の専門家が、その壁を乗り越えようとしています。注目されているのが、現在多数を占めるX線放射治療より副反応を大幅に抑えることができる陽子線放射治療ですが、装置の高価さなどから導入に踏み切れない医療機関も少なくないようです。

医療機器のベンチャー企業がこの難題を解決し、近く厚生労働省の承認を得られる見通しになりました。2022年時点で陽子線治療が受けられる医療施設は全国で19施設、重粒子線は7施設しかなく、ひとつの施設で対応できる患者は500〜1000人とされています。

年に約100万人が新たにガン患者となっていますので、陽子線や重粒子線を合わせても2万人程度で、圧倒的に少ないことは明らかです。

私の友人が昨年ガンで亡くなったのですが、彼は膵臓に転移したガンをこの重粒子線で治療しました。オンラインの飲み会で彼は自分のCT画像やPETを見せてくれましたが、膵臓ガンはきれいに無くなっておりこの治療の効果ははっきり示されていました。

陽子線治療はガンの部分にピンポイントで照射することで、他の臓器にダメージを与えないという点で優れているのですが、費用や装置の大きさなどといった課題があります。

この治療装置の費用面を見ると、X線が約10億円、陽子線が約50億円、重粒子線は約100億円となっています。大きさではX線装置はビル1階に相当する約4メートルの高さですが、従来型の陽子線治療装置ではビル3階に相当する約12メートルの高さとなります。

大学病院をはじめ大規模な医療機関が多数存在する東京都ですが、そこに陽子線と重粒子線の治療施設がないのは、費用面に加えスペースという点がネックとなっているようです。

放射線医学総合研究所発のベンチャー企業が開発した超小型陽子線治療装置は、高さがX線とほぼ変わらない1階分程度となり、費用は従来型装置の半分の約25億円という低価格を実現しました。治療成績でも膵臓ガンについての臨床試験で、2年後生存率の成績が良かったようです。

これは超電導磁石を使うことで、構造体を動かさず照射方向を制御する全く新しい仕組みの装置となっています。陽子線治療が保険適用されたのは2016年の小児ガンが最初ですが、今後は2030年までに陽子線治療施設が100を超えると予想されています。

まだ施設数も少なく高価な治療となっているようですが、手術に代わる新たな選択肢にこういった陽子線治療が加わることは患者にとっても良いことと考えています。

薬局で買える「肥満改善薬」が国内初承認

2022-12-23 10:56:35 | 
私は若いころからやせ型で、ずっともう少し体重を増やしたいと思っていました。

肥満の人には怒られそうですが、どうも体質のようでかなり食べているつもりでも、一向に増えることがないまま後期高齢者となってしまいました。

2023年春にも、日本で初めての「肥満改善薬」が薬局で買えるようになる見通しです。11月に行われた厚生労働省の専門家部会で、国内初の肥満改善薬の承認が了承され、2023年3月にも正式に承認される見込みです。

現在日本で承認されている肥満改善薬は1種類のみで、医師の処方が必要となっています。今回新たに承認される見込みの肥満改善薬は、処方箋なしで薬局で購入可能となります。その薬が大正製薬の「アライ」で、効果は脂肪吸収の抑制となっています。

用量は1回1錠で用法は1日3回食事中か食後1時間以内で、全体として生活習慣改善と併せて補助的に使用するものとなっています。

前提条件として運動や食事の質など生活習慣の改善に取り組みながらの服用ですが、約1400人が参加した海外の臨床試験では、偽薬を服用した人は約1年後の結果が体重平均2.3キロ減で、アライを服用した人は平均4.8キロ減となっています。

参加者が200人の日本の臨床試験では、約半年後の結果が偽薬が平均1.0キロ減で、アライの服用者が平均2.2キロ減とアライを使用した場合は約2倍の効果がありました。

脂肪分を吸収するメカニズムは、腸内では食物を食べると脂肪分解酵素が食物の脂肪分を細かく分解します。分解されて初めて細胞に吸収され、これが溜まって脂肪になっていきます。

ここで肥満改善薬を服用すると、脂肪を分解する分解酵素の働きが阻害され、脂肪は分解されにくくなります。すると大きな脂肪分は細胞内に入れず、吸収されないまま脂として体外に排出されるというメカニズムです。

この「アライ」が服用できるのは18歳以上で、腹囲が男性が85センチ以上、女性が90センチ以上とメタボリックシンドロームの基準と同じです。加えて高血圧や脂質異常などの健康被害を伴わない肥満の人に限られています。

アライは薬剤師による対面での情報提供と指導が義務付けられる「要指導医薬品」に指定されており、オンライン購入はできません。薬局で購入する場合は、服用1か月前から腹囲・体重などを記録し、薬剤師のチェックを受けなければなりません。

さらに6か月服用しても効果がない場合には、使用中止を求められることがあります。このように肥満を改善する薬が初めて市販されるわけですが、わたしはやはり肥満対策には食事や運動といったことが基本のような気がします。

薬には当然副作用なども出そうですので、安易に薬に頼って肥満を何とかするというのはあまり勧められないような気がしています。

近視大国日本の新たな問題「スマホ内斜視」

2022-12-22 10:35:05 | 健康・医療
最近はほとんどの人がスマホを持っており、かみさんも新しく買い替えました。私は未だに「こだわりのガラケー」を通しているのですが、特に不便は感じていません。

かみさんからスマホの色々な機能を聞いてみると、電話やメール、ラインをするための道具ではなく、すでに携帯型パソコンと呼ぶべき状況になっているようです。

さて日本人の6〜8%が強度近視を持っており、世界でも有数の近視大国となっているようです。強度近視は通常の近視と違い、20歳を過ぎても眼球が拡大(眼軸延長)して近視の程度が進行します。

家庭にテレビが普及したのは私が中学生のころで、子供たちがテレビにくぎ付けになると親たちは「目が悪くなる」と心配していました。さらにここ10年でスマホが広く普及したことで「スマホ依存」という新しい問題が持ち上がりました。

精神活動における問題や睡眠障害などのほかに、近視化や「スマホ内斜視」「スマホ老眼」が指摘されています。スマホを見る状況は従来のVDT(パソコンやゲーム機画面)よりはるかに眼に近く、眼球(角膜頂点)から画面までの距離はほぼ20センチ以下になります。

眼科医が問題意識を持ったのは、小中学生のスマホの普及が日本よりも著しいとされる韓国からの2016年の報告です。7〜16歳までの過度なスマホ使用者(1日4時間以上の使用)の12例が内斜視になったのです。

スマホから眼を離して両眼で遠方を見たときに、一時的または継続的に対象物が二つに見える複視を自覚し、複視のある眼の位置は内向き(内斜視)であったという報告です。

近くの視標を見る場合には、両眼を寄せながらピントを合わせる「輻湊」機能を作動させます。大脳から脳幹にある輻湊中枢に指令が出て、そこから両眼を寄せるための外眼筋とピントを合わせるための内眼筋に強いインパルスが伝わります。

また両眼の位置を遠方の視標に合わせるためには、寄せていた眼を外に開く「開散」機能を働かせます。しかし脳には「開散中枢」はなく、単に輻湊に関わるスイッチをオフにして微調整します。

輻湊のインパルスが強すぎるとオフができないばかりか、逆にインパルスが強く走ってしまうことがあり、これがスマホ内斜視のメカニズムです。その他近見に合ってしまったピントが緩まなくなり、遠方がぼやける現象がスマホ老眼と呼ばれています。

こういった近視化予防や治療は眼科の国際的な研究テーマになっていますが、近視関連遺伝子を制御するのは技術的、倫理的に複雑な問題を含むようです。

当たり前ですがやはり過度なスマホ利用を控えることが、こういった近視予防には重要と思われます。