僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

余裕

2006-05-22 | Weblog
企業の魅力は人材で決まると言われている。俺はその人材の魅力は「余裕」で決まると思っている。その余裕について、嫁さんが結婚前に勤めていたある企業でとても
楽しい話があったので紹介します。嫁さんにはK子という同僚がいた。俺も面識があるけど、素直で真っ直ぐで、性格もビジュアルもとても可愛い人。その素直さを知るのにピッタリの話があるのでまずはそれから。
ある日、嫁さんとK子を含む友達4人で車に乗って買い物に行った時の話。目的地に着き、ドライバーは車を駐車場に止めるためバックさせるのに、後部座席に乗っていたK子に、「後ろ見ててね」と頼んだ。K子は「うん」と答え、ドライバーはバックを始めた。ところがしばらくすると「ガン!」という音がして車が停止。どうしたのかと思ったらなんと車の後部がガレージの壁に当たっていたのだ。もちろんドライバーは怒り心頭、K子に「なにしてんのよ!見ててっていうたやんか!!」と声を荒げたのだが、K子は何事もなかったように一言、「見てたよ」
こうも素直に言われてはドライバーも友達も、当たるまでしっかり見届けたK子を許す以外になかった。

とまぁ、K子の素直さを知った上で、そのいたずら話を。
K子は営業課に所属し、その取引先にあだ名をクマさんと呼ばれてる人がいた。あだ名の由来は名前や苗字からきたのか、それとも見かけからきたのかその辺りは知らんけど、取引関係ではクマさんと言えばみんな知ってる有名な人やったらしい。
ある日ウチの嫁が電話を取ったら、そのクマさんからK子にかかった電話やった。たまたまK子が席を外していたので、嫁はK子の机の上に、「席に帰ったらクマさんに電話してください」というメモを置いておいた。まぁここまでは当たり前のルーティンワーク。ここからが同僚達の出番になる。同僚達はそのメモに、「クマさんは出先の◇◇にいるので、○○○-○○○○まで電話してください。」と付け加えた。その出先の◇◇もK子の取引先で、K子のことは良く知ってくれており、決まりきった対応をしなくても、クマさんと呼べば取り次いでくれる関係だった。
さて、席に帰ってきたK子、早速そのメモを見てクマさんに電話をした。以下、その会話の内容。

K子:「もしもし、今日そちらにクマさんがおられると聞いたのですが」
相手:「あぁ、いるにはいるけど、ちょっと電話にはでられないんだよねぇ・・・」
K子:「お忙しいんですか?」
相手:「そうだねぇ、忙しい時もあるんだよ」
K子:「・・・?」

カンのいい人ならもう分かっていると思うけど、実は同僚達が書いた電話番号の先は動物園。K子の素直な物言いと幼い声に、どうも子供が電話をしてきたと思って相手をしてくれたらしい。その話を聞いたとき、俺は大笑いすると同時に、なんと余裕のある人がいる会社なんや、えらい感心したことを覚えてる。もう何十年も前の話
になるのに、今だに思い出すと笑えるし、きっと戦争のように忙しい職場にもかかわらず余裕を忘れない社員の方の懐の深さを改めて感じる。この動物園の人の応対も余裕を感じさせるし、類は友を呼ぶやないけど、余裕を持った人の周りには余裕を持った人が集まるんとちゃうかという気がするな。
嫁とK子達がお世話になっていたその会社は世界的に知られている超一流大企業。正直俺はそんな会社にいる人は学歴だけの頭でっかちで、そんな余裕を持った人はいないと思っていただけに、これはものすごく意外な話やった。
でも長い間会社勤めをしていると分かってくる。ホントに素晴らしい会社には企業理念としての余裕があり、余裕のある人がたくさんいるってことが。で、それが分かるともっと分かってくる。この「余裕」てヤツは、金持ったからとか、仕事がうまく回ってるからとかで、持てるような軽々しいもんやないってことが。
でもそこまで分かった上で信じたいことがある。

必死で見得張って余裕しゃくしゃくに見せてる俺達だって意外と光ってるんとちゃうん?