僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

春なのに

2010-04-19 | Weblog
我が阪神の金本アニキが更新中だった連続イニング出場世界記録がついに途切れてしま
った。まぁいつかは途切れるものだし、怪我で満足にプレーできないのでは、金本の性
格からして自ら出場を辞退したというのは、当然のことだろう。
でもその記録の裏にある、あまりのプロ根性を知っている(マスコミで)俺は、やはり
彼が自ら決断した、ということを聞いたとたん、涙してしまった。

彼は鉄人と呼ばれているが、その自己管理努力は人並みを外れたものだし、それ以上に
「かなりの大怪我を怪我と思わない」という精神力が尋常ではない。
例えば、肉離れというと普通は大怪我で、試合出場はおろか、練習すら満足にできない
状態になるものだが、彼は「肉離れなんか怪我じゃない」と平然と言ってのける。
また、「一切の言い訳をしない」のも彼のものすごさだ。成績が悪くても出場する以上
は、それを絶対怪我のせいにしたりしない。横綱の貴乃花(今の理事)が大怪我をしなが
らも場所を勤めて負けた時、怪我との関係を聞くリポーターに「弱いから負けた、それ
だけです」と言ったことに感動したが、金本も全く同じである。
後輩に暖かく、新井が広島から阪神に来るとき涙したことに対して、「演技がうまなっ
た」と言ってやれる男の優しさがある。審判に絶対文句を言わない。
こんな選手はもう二度と現れない。阪神を超え、プロ野球会はもちろん、プロスポーツ
の、そして人間の見本となるべき人が我がアニキ金本なのである。
そんな彼の決断だから涙してしまう。

話は変わるが、製作者の心得としてよく例に出される話がある。
目の見えない乞食(今この言葉使ったらあかんのかも)がお金を無心するために、春の桜
の下で、「私は目が見えません」という看板を立てていた。しかし、一向にお金をもら
えない。それをみたコピーライターがその看板にひとこと加えてあげたらみるみるお金
がもらえるようになった。彼は何と書いたのか?

答えは「春なのに」である。この一言でその看板を見た人の“春の素晴らしさ”がさら
に呼び起こされ、その反動でその素晴らしい景色を見ることのできない乞食の哀れさが
浮き彫りになり、人々は思わずお金をいれてしまうのである。

「(プロ野球シーズンの)春なのに、金本がいない」

眠いのを春のせいにする俺には涙する以外彼に感謝する言葉がない。