フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

萌え少女漫画回想録:第7回

2008年07月13日 | 行き当たりばったり的萌え少女漫画回想録

 ・・・ぱらぱらっとオススメシーンだけピックアップするつもりが、一気に5巻読み切ってしまった。やっぱおもしろいわ、大和和紀の『KILLA』!
 どういう話かというと、ちょっと長くなりますが・・・
 娼婦の子として生まれ、孤児院から逃げ出したキラは、かつて陥れられて役者生命を絶たれたフレドに拾われ、彼の復讐の道具として演劇を叩き込まれる。キラはフレドの思い通り演劇界のスターとなり、フレドを罠にかけたサー・ドレイクとフレイザー監督を破滅させる。だが、キラの野望は演劇界になどなかった。彼は自分に恋した、ハリントン鉱業の娘アリスに目をつける。キラが役者に未練がないことに気づいたフレドはそれを阻止しようとするが、キラは彼を殺し、アリスと結婚する。さらに彼女の父を殺し、それに気づいたアリスを自殺に追い込み、ハリントン鉱業社長の地位を手に入れる。しかしキラの危険性に気づいていたムーア自工社長(彼の妻とアリスの母は姉妹で、会社同士も事業提携している)は、ハリントン鉱業へ産業スパイを送り込み、ハリントン鉱業を窮地に追い込み、結果キラは社長を解任される。調査室長顧問に追いやられたキラは、ムーアとの契約が切れたそのスパイ、ルーファスと契約を交わし、ムーアへの反撃を開始する。
 キラ追い落としに協力した重役の汚職やムーアとの裏取引をマスコミに叩かせ、キラは社長の座に返り咲くと、欠陥車疑惑や労働争議など、ムーア自工への攻撃を続ける。だがどうしても追いつめきれずにいたところ、ムーア自工の裏の顔、本当の資金源が兵器工場にあることを知り、そこを破壊することを決める。集めた元兵士ら、ルーファスとともに自ら工場に乗り込むキラ。工場の爆破は成功し、ムーア社長は自殺。娘のマドロンはムーア自工の相続を放棄する。キラはムーア自工をも手に入れ、兵器産業を引き継ぎ、世界を駒にしたチェスゲームを支配する、闇の帝王への道を歩き始める・・・。
 ──と、これだけだと「どこに萌えが?!」って感じですが、これは出来事だけの羅列ですので、キラの内面や彼の周りの人間関係が加わらないと、この作品を語ったことにはならないでしょう!
 全くあらすじには出てこなかったけど、最も重要な人物、盲目の天才チェスマスター、アレク・フリードキン。彼はキラがフレドに拾われてから知り合った幼なじみで、唯一心を許せる相手。そして何も醜いものを見ることもなく、美しい心のままの彼は、今ではキラにとって侵しがたい聖域、自分が闇ならば彼こそは光、とさえ思う、唯一の神聖だった。
 いやはや、キラとアレクの間には肉体的にはなんにもないんですけど、キラのアレクへの執着と、アレクのキラへの絶対的な許容(彼は自分の父親であるフレドを殺したのがキラだと薄々知っていて、キラのアリバイを偽証する)がもう、そんなことはどうでもいい!と思わせるほどなんですよ~!
 キラが兵器工場へ侵入するのを止めようとして工場へやって来て、爆発に巻き込まれかけたアレクを発見し、キラは助けに飛び出すんですが、ルーファスはキラを助けるため彼の脚を撃って止めてしまうんですね。結果としてアレクはキラの腕の中で死んでしまう。何もかも終わった後でキラは、ルーファスをナイフで刺し殺すわけですが・・・「なぜ・・・?」「きみがアレクを殺した」「わたしは・・・まちがってはいなかったはずです・・・」「・・・そうだ。おそらく君は正しかった。もしもあのとき君がやらなければ・・・いずれはわたしが彼を殺すことになったかもしれない。(うぎゃ!これもまた萌えるセリフ~)だが・・・きみは手をくだした。わたしの手の中で彼を死なせた」「・・・おいきなさい・・・あなたにふさわしい道を・・・」ルーファスは、前にもアレクという存在はキラにとって危険すぎると、アレクを殺そうとしたことがあって、このあたりの危険的主従関係とかもおいしいです!
 そもそもフレドとキラとの関係とか(絶対にこの2人はできてます・・・酔ったフレドが無理やりこどものキラにキスして犯しかかる場面もあったり。「フレドはすべてのはけ口をおれをいじめ、侮辱することではらしていた・・・」なーんてありますが、キラにベッドの手ほどきしたのは(キラは舞台の後援を得るために、男爵夫人をたらしこんでいる・・・)フレド以外いないでしょ!お互い歪んだ愛情を持っているようだしさー・・・)、キラはドレイクが男色趣味だと知っていて誘惑して失脚させたりとか、女装は得意(爆)とか、この作品はその手の雰囲気が濃厚です
 そのほかにもキラの母親はムーアの愛人で、キラはムーアの息子だったとか、フレドが役者時代夫ある女性を愛して、その女性が産んだ(母子ともに死んだとフレドは聞かされていた)のがアレクだったとか、そういう血縁間での愛憎っつーのも私の好みで、読んでいて本当に悶々・・・じゃなくて(笑)ワクワクします・・・キラとムーア社長がお互いに親子だと知っても、知ったからこそ「だれにも手出しはさせない。このわたしの手でムーアを破滅させてやる・・・!」「わたしとしたことが甘いまねをしたものだ。(自分の息子だと)知っていれば・・・必ず命を絶っていたものを!」などと思ったりするのもまた萌え~でたまりません!(似たもの父子だよな・・・

作品データ(幸田所有本データ)
『KILLA』 大和和紀 1977年週刊少女フレンド第15号~1978年週刊少女フレンド21号 講談社
『クィーンズ・ギャンヴィット』 1979年 単行本用描き下ろし:キラ14歳、アレク10歳のときのエピソード。キラはもう女装してらあ・・・;アレクにチェスを教えるために来たチェスマスターが、自分のような卑しい子どもとはつきあわないことを条件にしたのを知ったキラは、その男を罠にはめて破滅させる話。魔性の美少年ぶり&アレクへの執着ぶりを早くも発揮(笑)

(『KILLA ①~⑤』 1978年1月~1979年3月KCフレンド 講談社)