フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

coming and going letter-1-

2010年05月05日 | テガミバチ関連

 今日から5/3にコピー本として出したテガ○バチの小説を掲載していきます。たぶん9回・・・?(ううむ、Hシーンが長くてどこで切ったらいいのか迷う・・・)毎週末に更新予定です。テ○ミバチをご存じの方もそうでない方も、しばらくおつきあいくださいませ

注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。
⑤この作品はコピー本として通販中です。紙媒体での閲覧・保管を希望される方はブックマーク「フルール・ダンテルディ通販案内」よりお求めください。(ブックマークは携帯に対応していません)

  
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 彼は我々の間では有名人だった。
 まずは優秀な「テガミバチ」であること。強力な心弾銃の使い手であること。珍しいアルビス種であること。人工太陽の光のように冷たく、近寄りがたい美貌であること。話してみると礼儀正しく人当たりも良く、印象に反して優しく思いやり深い心の持ち主であること。なのに神秘的な雰囲気は変わらず、憧憬の目で遠まきにするしかないこと。
 そんなふうにゴーシュ・スエードは、ユウサリ中央郵便館──通称「ハチノス」の一角にオフィスを構える生物化学諮問機関第三課のメンバーの間では、密かなアイドルだった。そう、この私にとっても。
 そのことを誰にも言ったことはない。当然だ。自分に関する評判くらい知っている。「死骸にしか興味のない解剖マニア」「生きた者より死体が好きな変人」といわれている私が、一人の青年に好意を持っているなど、誰も信じはすまい。当の私が、自分の心に驚き、信じられないでいるのだから!
 最初に彼に興味を持ったのは、BEEの新採用者の健康診断依頼の名簿でだった。希少種のアルビス種の者だと知り、いつもは部下に任せる健康診断を自ら行い、そこで初めて彼を見たのだ。
 私は、金色の瞳にひと目で魅了された。アルビス種の者を見たのは初めてではない。だが、アルビス種特有のシルクのような銀髪も、雪のように白い肌も、琥珀色の瞳も、こんなにも美しい生き物を見たのは初めてだと思った。首に触れた指先に感じた拍動、白い肌の下に透ける青い血管、薄く均等についた筋肉や背中に浮き出た肩甲骨、何もかもが美しかった。その頃の私は、彼の生物としての美しさや種族としての珍しさに強く興味を惹かれたのだと思っていたので、今後彼の健診や診察があるときは、必ず自分を呼ぶようにと部下に命じたことに、やましさなどは感じていなかった。
 スエードは、大ケガこそなかったが、負傷が多く、よく診察室にやって来た。鎧虫と戦って受けた傷だ。それはスエードの能力が劣っているせいではなく、むしろ逆だった。採用試験で対鎧虫戦闘能力を高く評価された彼は、新人の頃から鎧虫の出現が多かったり、強力な鎧虫が棲息するルートや、データのない新規ルートを通る配達を命じられることが多かったからだ。
 慣れるまでは「こころ」の使いすぎで倒れて運ばれてくることもしばしばだった。そのたびに私が診察し、慣れてからも無茶のすることの多い彼の勤務予定表をチェックしては、ときどき彼の帰りを見計らって、彼の様子を確認したりしていた。
 そうして何度も顔を合わせているうちに、スエードはだんだんと私に親しみのこもった表情を見せるようになり、世間話を交わすようになり、やがて、診察室のベッドで休んでいる彼に(彼は、ひどい顔色を妹に見せるわけにいかない、とよく一休みしてから帰宅していた)薬効のあるお茶を淹れてやって、私もその傍らに座ってコーヒーを飲みながら、互いに自分のことを話すようになっていった。私の専用研究室にまで彼が「テガミ」を届けてくれたのも、この頃だ。
 私の研究室には、感染を防ぐため部下たちの入室を禁じている。それ以外の「ハチノス」勤務の者たち──BEEたちを含めた郵便業務に携わる人々は、気味悪がって近づかないので、わざわざ禁じるまでもなかった。なのに彼は、徹夜続きでぼうっとしていたのだろう、鍵を掛け忘れた私の研究室へ恐れ気もなく入ってきた。そのとき私は、彼がすでに私の心の扉を開け、誰一人訪れる者のなかった部屋に住みついていたことに気づいたのだ……。
 それ以降彼は、郵便館留めになっている私宛ての「テガミ」を、研究室まで持ってきてくれるようになった。扉の外から呼び鈴を鳴らして。そうして時間があるときは研究室を出て課長室でお茶を飲みながら、訪れてくれた彼とともにわずかな時間を過ごした。私は、自分が彼を愛していると気づいていたにも関わらず、彼から訪れてくれなければ、診察以外で彼と話をするどころか、顔を見ることさえできなかった。この気持ちを彼に知られないよう、必要以上に臆病になっていたのだ。もしかしたらそれはスエードも同じだったのかもしれない。彼も「テガミ」を届けるという口実のあるとき以外、訪れては来なかったからだ。
 そんな関係が、一年も続いた。それは、何がきっかけだったのか……。スエードは聴き上手というか、話し下手というか、いつも気がつくとほとんど私が話して、彼が相槌を打ったり先を促したりということが多かった。そのときも私が、さんざん生物の神経伝達の仕組みと、運動や反射について話したのだと思う。
「博士は、『こころ』はどこに宿っていると思われますか?」
 スエードは、私を見つめた。


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 アルビス種の目の色って、文章だと「琥珀色」って表現されているけど、カラーイラストだと紫に塗られてるんだよねえ・・・。アニメもラグ、ゴーシュとも紫だし。シルベットは水色だけど。これはアニメだからある程度キャラクターにあわせてというのがあるんだろうけど、原作はどうなの?と悩むところ。だって琥珀色って黄色に近いよね?ウィスキーとかの色を表現するとき、よく「琥珀色の液体を・・・」云々言うじゃん。個人的には紫が好みなんだけどなあ!どうしたらいいのか困る・・・。と悩んでいたせいか、コピー本で「暁色」と書いた直後に「琥珀色」とか書いてたよ・・・。やでやで。こちらでは「金色」に直しておきましたが、マイ設定で琥珀色だけど色素が薄いので、室内の暗いランプの明かりの下だと琥珀色、明るい白っぽい光の下では金色、ユウサリの屋外の夜明けに近い空の下では紫がかって見えるということで!(そんな細かい設定、今のところ全く出番ない・・・)