フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

「ハイツつばめ」入居者募集

2020年05月07日 | トドとポニョの日常茶飯事in雪国
 一応工業団地もあったりするが、はるかに農地や山の方が多い地方都市。とにかく野鳥が多い!スズメやカラスはもちろん、春はウグイス、ツバメの他にも何だかよくわからない鳥がいっぱい飛び回り、朝から晩まで鳴き声が聞こえる。
 ツバメは人家に巣を作る・・・。今年、リフォームで玄関が壁で囲われた我が家、「こりゃーいい」とツバメが思ったらしく、2階にある玄関へ行く階段室の壁に巣を作ろうと何組ものツバメの夫婦がやって来た。しかし、我が家の壁は金属サイディングで、防汚加工がされているため、泥がくっつかない。なので、何度もトライした痕が、壁の横にずら~っと並んでいく(その場所が悪いと思ったのか、横に横にずれて泥の残骸が広がっていくのだ)。あまりに毎日諦めずにツバメたちが巣を作ろうとやってくるので気の毒になり、私は巣箱をかけようと決めた。
 ツバメが巣をかければ、今後毎年やってくる。その間階段は鳥の糞まみれになる。まあそれは新聞紙でも敷くか・・・と思うものの、夫は嫌かもしれないな~と思いつつ、「ねえ、ツバメたちが気の毒だからさ、巣を作れるような木の箱をくっつけちゃだめかな?」と訊くと、夫の返事は「別にいいんじゃない」だった。
 夫が会社に行っている昼間、私はどうしたらいいかな~、と脚立を持ち出して外壁と天井との境を見てみたら、小さな穴の開いた金属の部材がつなぎ目に使われているので、ここに針金を通して箱をぶらさげられないかと考えた。しかし、ツバメたちが作ろうとしている場所は階段途中なので、普通の脚立では手が届かない。義兄の2つ折り脚立を借りても、脚部分をまっすぐ乗せられないので1人では無理。私はホームセンターで木の箱と針金を買ってきて、夫の帰りを待った。
 夫は、会社から接着剤と大きなビニール袋を持って帰って来た。接着剤は巣箱を壁にくっつける用、ビニール袋は糞の汚れ防止に階段に敷くためだった。夫はただ私が「巣箱をかける」と言ったことを自分なりに考えて、必要なものを持ってきてくれたのだった。いい人だ・・・。
 私は夫に脚立を支えてもらって、針金を部材の穴に通そうとしたが・・・穴に針金は通るものの、穴が小さすぎて通した針金を他の穴から引っ張り出せない!箱とツバメたちの重さを考えて5キロ耐荷重の針金を選んだのだが、この太さだと柔軟性があまりない
 仕方なく吊るのではなく壁に接着することに変更したが、夫の用意した工業用接着剤は強力だが金属同士でないと十分な接着力が出ないとのこと。翌日、再びホームセンターでアルミ板とネジを購入。アルミ板を箱の裏側にネジで留め、ネジ頭が外壁のへこんだ部分に来るように接着剤でくっつけた。この接着剤、夫の言うには速乾性とのことだったが、手を離すとずるずる箱の重みで下がってくる。
「速乾じゃないじゃん?」
「速乾だよ。ドライヤーで温めれば」
「・・・(ここまでドライヤーのコード届かないだろ!)
 結局私は不安定な脚立の上で、15分くらい箱を押さえ続けなければならなかった・・・。
「これで明日、入居してくれるかなあ」
 とワクワクしながら翌日、ツバメが巣を作ってくれることを期待したが、ツバメたちは人工物があるのにびっくりしたのか、階段室に入っては来ても、すぐ出ていってしまう。
「せっかくあんなに苦労して「ハイツつばめ」を作ったのに、誰も入居してくれない
 2日目には、ツバメが巣を作ろうとして途中でやめたらしい痕があった。巣箱の中ではなく、巣箱の上に!巣箱の中を想定していたので、巣箱の上と天井との間の隙間は狭い。そこは無理だろう?と思ったが、犬の散歩から帰った私たちの姿を見て逃げていったツバメが、再び戻ってきたので玄関ドアの隙間からそっと覗いた。番らしい2羽が巣箱の上に止まってピーピー会話を交わしている。
「ここ、天井が低くて狭いからいやーよ。ほら、田中さんだって内見に来たけど、契約しないで帰ったじゃない」
「そう言っても、場所はすごくいいじゃないか。早く決めないと卵を産む時期がどんどん遅れちゃうよ」
「でもやっぱり狭いのは狭いわよ。子どもたちの頭がつかえちゃう。違うところ探さない?」
「わかったよ、もう少しさがしてみよう」
 と、彼らはまた夕暮れの町へと飛び立っていった・・・。以上、ワタクシの勝手なアテレコでした。
 3日目、帰宅した夫が「巣箱の上に2匹、入ってるよ」と言う。覗いてみると、確かに、巣箱の天井の上()の泥が増えて、その上に2羽のツバメがちんまり収まっている。
「ハイツつばめに入居してくれたみたいだけど・・・屋根裏じゃん正式契約じゃないよ
「彼らには彼らの都合があるよ。こっちの思った通りにはならないって」
「そうだね・・・ともかくハイツつばめを利用してくれたので良しとするか
 というわけで、私たちが設置した「ハイツつばめ」に入居者が決まった。屋根裏部屋だけど!まだ私たちに慣れていないので出入りするたび逃げていくけど、そのうち慣れて卵も産んでくれるだろうし、9月頃の子どもたちの旅立ちまで、大家として温かく見守っていこう・・・
  ハイツつばめ