本日夜勤明け。
とても静かなシフトだった。私は10名の患者さんを担当。ほとんどが自分でお手洗いにいける人たちで、鳴ったナースコールの数も少なかった。件の認知症のおばあちゃんも昨夜は薬が効いてグッスリ。オムツを脱ぐこともなし。良かった、良かった。帰宅後、寝ている最中に2度も電話で起こされ、疲れ倍増。お昼ごはんとトイレ以外は文字通りベッドで寝て過ごした。
さて。
昨夜は3名で勤務のはずが、現れたのは2名。昼間に予想以上の退院が出て、急遽ひとりの看護師がお休みを取っても良いという状況になったらしい。そして休みを取ったのは夜勤専門のベテラン看護師Aさん。残された看護師2名は私と中堅看護師Bさん。このBさんは週に1~2日しか働かない人で、何度か一緒にシフトに入ったことがある。そのときの印象は“スーパーアンハッピー”。すべてに対して不満が見つかるタイプ。
日中は病院の責任者として働く人と、病棟の婦長が別々にいる。しかし夜勤の間は、その作業数の少なさから、ベテラン看護師が両方の責務をこなすことになっている。そしてAさんはその立場の人。責任者になると患者さんの急変にはもちろん、病院全体のこと(火事等の災害や外からの電話、細かい事務作業)に対応をしなくてはならず、それなりに責任が重い。このポジションにはある程度経験を積んだ看護師が交代で付くため、私にお鉢が回ってくることはない。
ところが。
日勤の責任者Cさんから「Aさんに有給とってもらったから、今夜は責任者になってね」と言われたBさんは「なんで私が!?」と半ギレ。「そんな責任は負いたくないし、第一事前に説明がないのはおかしい」と文句のオンパレード。イヤなことはイヤとハッキリ言うオーストラリア人らしい対応やなぁと半ば感心しながら眺めていたら、まだギャーギャー騒ぐBさんを振り切るように、これまた気の強いCさんが「あっそ。じゃあいいわ。精神科病棟の看護師に話をつけるから」と、“ゴタゴタ文句を言うヤツに話すことなんかないねん”というイヤミたっぷりの態度でこの文句をスルー。どうなんねやろ?とハラハラしていたら、Cさんから「Yoshi、ちょっと来て」と別室へ連れて行かれ「今夜、アンタが病院の責任者やから」。
へ? うそーん!?
どういう決まりになっているのか知らないけど、どうやら夜間の病院の責任者は一般病棟の看護師が務めるものとなっているらしく、Bさんが拒否した以上、私が勤めるしかないとのこと。そして夜勤中の責任者としての作業を教えられ、責任者しか持たない鍵を渡された。「マジか!?」とその責任の重さにおののきつつも、作業内容は私でもなんとかなりそうやったし、それにBさんの態度にちょっとイラッとしていたので引き受けることにした。
そして夜勤開始。私は手が空いていたら他の人の作業も手伝うけど、このBさんは本当に自分の作業分しかしない。自分の価値観を押し付けてはいけないとはいえ、新人の私が責任者として電話に応対したり、夜間のセキュリティーガードに対応してテンパっていても完全放ったらかしで、チームワークという意識がまったく感じられない。こう言ってはなんやけど「この人、人望ないやろなー」と思ってしまった。
それに加えて、口を開けば文句ばかり。休憩中に眠れなかった、患者が寝ない、患者がトイレに連れて行けという、日勤の看護師の作業に抜けがあるなどなど。聞いてるこちらがうんざり。しかし2人しかいないので無視することもできず「アハハ」と苦笑いするしかなかった。
愚痴の多い人と過ごす時間ってしんどいもの。私も気をつけないと。
幸い静かな夜だったので、責任者としての作業は大変ではなかった。朝になって婦長が出勤。事情を知ると私のところにきて「昨日はごめんね。よくやってくれたね」とねぎらいの言葉。それでやっとホッと一息。責任者としてシフトに入ると別手当てがつくとのことで、「ちゃんと支払うように手配しておくからね!」と言ってくれた。予想外ボーナス。ラッキー。
私は基本的に仕切り屋で、責任ある立場に就くのは望むところ。なので正直なところ、気分の良い経験だった。しかし、本当の責務を果たせるのはある程度の経験が伴ってからの話。いずれはちゃんとした責任者になりたい。しかし、そのためにはBさんみたいなボヤッキーともやりあわんとあかんのやなぁ。うーむ。
ところで。
実は今日17日をもって新人研修が終了。9ヶ月間、早かったなぁ。でも働き始めた頃と比べると数段マシになっている自分を感じる。まぁそうでないとアカンねんけど。
婦長がこの日をちゃんと覚えていてくれて、「来週、病棟でちゃんとしたお祝いするからね」と言いつつ、個人で用意してくれた小さな花束をくれた。普段から私たち部下に気を配ってくれる婦長なんだけど、こういう細かな気遣いができる人の下で働けて幸せやと改めて思った。もし役付きになれたら、こういうボスになりたいなぁ。