チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 13

2018年09月04日 08時00分00秒 | 日記
松本には松本城という美しい城が存在する
また松本家具も頑丈で使い勝手がいい
蕎麦も美味しい(なんでここでそばが出る)

しかも
アルプスを間近に見て緑が美しい
青い空と輝く緑の対比空気が澄んでいないとこうは美し調和美にはならない
またこの頃勝ち続けている松商学園

どうして高校野球がここに出てくるのか
実は私野球のスコアをつけるのが趣味で高校野球は欠かせない
相手の投手が次にどんなボールを投げたいのかが読める
その趣味は取材にも応用できる

相手が出したボールを受け止めて次に何を言いたいのか(投げたいのか)を探る
そうすると相手が心から言いたいことの質問が私から出ていく

松本紬は松本家具によく合うと感じた
暖かくて人に寄り添う優しさがありそれでいて存在感がある
着る人にとっては自分自身を際だたせることが簡単にできる紬だとわかった

それで私は
カメラマンに松本家具と紬をセットで見開き用にとってほしいと頼んだ
家具の引き出しから顔を出した反物
家具のうえに整然と並んだ丸く巻いた反物
ちょっと日に焼けた畳の上に計算なく転がった反物

朱、紺、黄色、焦げ茶、黒、緑、白茶などが松本家具の褐色のつやつやした色とよく調和している
しかも松本紬は格子柄が多いのでどことなく可愛い

そうだ
障子、襖を全部外して背景を緑にしよう
少し空が見えるともっといい
手前を暗く奥を明るくすると色にこくが出てくるとわかった

はじめは何が始まるかと不審そうに見守っていた本郷さんも
意図がわかるやいなや
更に見栄えのする反物を持ち出して並べ替える

とにかく反物が主役
その主役を引き立てるために
家具や畳そして景色がある

その景色の中でこの松本紬は生まれたのだから

35ミリと4×5のカメラを持ってきたカメラマン
「四の五で撮るけど後ろボケるよ」
「大丈夫反物にピントが来てれば」
本郷さんにもレンズを覗いていただく
「いいですねえこんなに喜んでる反物始めてみましたよ」
と嬉しそう
作っている人が喜ぶ姿が一番嬉しい

着物音痴であっても機織りのことは理解できなくても
この松本に生まれた反物を喜ばす事ができる
フアッションの撮影とちっとも変わらない
俄然元気になった私は

「反物はものでなく人と思って声かけてね」とカメラマンに注文
「さ~行くよこっちむいてーーー」
その声に作業中の人たちも寄ってきて皆で反物を褒めそやす

そうか
これでいいのだ
細かい作業を書くのではなく作った人の喜びが伝えられれば
読者もきっと喜ぶ

肩の力が一気に取れていく (つづく)

コメント
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