撮影は無事終わりネガを持って柿生へ
美しいと言って大感激!
ゆっくりできていなかったので菊正飲みながら信濃路の報告
山崎先生我が意を得たりの顔つきで「愛弟子」(結局最後の弟子と呼ばれるようになったが、私は染織はなし、しかし研究の態度を喜んでくれたらしい)の盃に嬉しそうに菊正を注ぐ
そして2月から6月号まで染まった反物を見せてくれた
2月は紫根染、これは寒の水で染めると色落ちしないのだそうだ
高貴な輝くような紫色
生まれて初めて着たいと思った色だ
昭和13年に出した「月明」という小冊子の中に「島崎藤村」が巻頭の文をのせている
全文は長いので抜粋
紫の一もとなりとも採集したいと山崎は南部の遠き地まで赴き花輪の山奥なる湯瀬に踏み入れたが紫の根は手に入らなかったといふ
かすかに野生のものを採集できたとのことである
私たちと自然との微妙な関係は常にかうしたものかと思ふ
多くの場合に、私たちは自然から与えられることばかりを知って自然にあたへることを知らない
母なる大きな自然を養はうとすることが、やがてわたくしたちの生活を誠に豊富にする所以ではあるまいか
紫根の染めは染色の中で最も難しいのだそうだ
染料を煮て色を出すのではなく60度を越すとに黒くなってしまう
根は一晩水にしたし酸性のぬるま湯に根がひたひたに浸かるようにして手でもんで色を出す
「酸性のぬるま湯ってどう作るのですか?」
渡された原稿を読みながら質問をする
「そうだな、熱湯の湯10リットルに対して水酸素5Cc入れて作る」
「化学ができないとなんだか面倒臭いですね」
「染めは化学じゃよ」
特に有機染料の草木染めは化学の基本を知っていないといい色は出せないだと
「成る程料理の味付けの似たところがありますね」
その後様々な土地で染織家にお会いするが、ほとんどの方が料理上手であった
そして味に敏感であると思う
「料理は目分流
でも構わぬが色はそうはいかぬ、分量を間違うと違う色になるからね」
「私この仕事絶対無理です」
「やればできると思うけどね、もっと俯瞰して眺めたいんじゃろう?そういう人も必要じゃね
3月桃染 4月梔子染 5月梔子染 6月山藍染 まで完成
全ての染めはご長男の山崎青樹さんの高崎工房で染めたのだという
原稿と染めの細かいことは父山崎、現場の仕事は青樹さんの手になるので
現場取材は高崎に行くようにと言われた
(つづく)
美しいと言って大感激!
ゆっくりできていなかったので菊正飲みながら信濃路の報告
山崎先生我が意を得たりの顔つきで「愛弟子」(結局最後の弟子と呼ばれるようになったが、私は染織はなし、しかし研究の態度を喜んでくれたらしい)の盃に嬉しそうに菊正を注ぐ
そして2月から6月号まで染まった反物を見せてくれた
2月は紫根染、これは寒の水で染めると色落ちしないのだそうだ
高貴な輝くような紫色
生まれて初めて着たいと思った色だ
昭和13年に出した「月明」という小冊子の中に「島崎藤村」が巻頭の文をのせている
全文は長いので抜粋
紫の一もとなりとも採集したいと山崎は南部の遠き地まで赴き花輪の山奥なる湯瀬に踏み入れたが紫の根は手に入らなかったといふ
かすかに野生のものを採集できたとのことである
私たちと自然との微妙な関係は常にかうしたものかと思ふ
多くの場合に、私たちは自然から与えられることばかりを知って自然にあたへることを知らない
母なる大きな自然を養はうとすることが、やがてわたくしたちの生活を誠に豊富にする所以ではあるまいか
紫根の染めは染色の中で最も難しいのだそうだ
染料を煮て色を出すのではなく60度を越すとに黒くなってしまう
根は一晩水にしたし酸性のぬるま湯に根がひたひたに浸かるようにして手でもんで色を出す
「酸性のぬるま湯ってどう作るのですか?」
渡された原稿を読みながら質問をする
「そうだな、熱湯の湯10リットルに対して水酸素5Cc入れて作る」
「化学ができないとなんだか面倒臭いですね」
「染めは化学じゃよ」
特に有機染料の草木染めは化学の基本を知っていないといい色は出せないだと
「成る程料理の味付けの似たところがありますね」
その後様々な土地で染織家にお会いするが、ほとんどの方が料理上手であった
そして味に敏感であると思う
「料理は目分流
でも構わぬが色はそうはいかぬ、分量を間違うと違う色になるからね」
「私この仕事絶対無理です」
「やればできると思うけどね、もっと俯瞰して眺めたいんじゃろう?そういう人も必要じゃね
3月桃染 4月梔子染 5月梔子染 6月山藍染 まで完成
全ての染めはご長男の山崎青樹さんの高崎工房で染めたのだという
原稿と染めの細かいことは父山崎、現場の仕事は青樹さんの手になるので
現場取材は高崎に行くようにと言われた
(つづく)