塩沢お召は新潟の塩沢町で織られている
塩沢と言えば白地黒の小絣をさしていた時代がある
今は塩沢紬としていろんな種類が増えた
着物の仕事を始めた50年前その塩沢お召のポスター作りに参画した
デザイナーはサントリー、オンワード、丸井、伊東屋などのデザインを手掛けている人で美しい仕事ぶりで、その方に認めていただいたことがうれしく、その後ご一緒にオンワードや、メナード、丸井の仕事をさせていただいた。任せたら一切口を挟まない。ただその人の感性を信じていて、プロの仕事させてくれた。それだけに反物選びには緊張をした。反物を並べ、バックの色を決め照明をあれこれ動かす下準備も入念
絣の美しさを徹底的に現地に行って観察しそれを絵にした。チャ子ちゃん先生の仕事はその反物選びであった。出来上がったポスターは広告賞を取った。絣が盛り上がり、生地の縮み具合がよく出ていて、思わず画面に手を触れたくなる親近感が出ていた。
二回目は人に着せようとなった。どんな帯を合わせるかで京都まで二人で出かけ終生のお付き合いとなる帯屋さんを紹介していただいた
そして撮影当日メイク室に入ってきたKデザイナー「ヒサコさん素肌に着せよう」「えっ」「了解とってね」「ハイ」
確かにそのモデルの首から肩にかけての線が非常に美しい、それをちらりと見て「素肌に着せる」となった
「浴衣ではあるまいし」と瞬間思ったが、昔橋本明治画伯の絵に着物を片肌に引っ掛けて恥ずかしそうにしていた少女の絵を思い出し、その話をしたら、「その絵すぐ探してきて」走ったね
そして出来上がったのは、片肌を出した横顔の写真、布は肌触りのよさが感じられて、それでいて羽織った人の品の良さ、正しく日本画の世界だった。デザイナー、カメラマン、スタイリストのの三位一体の仕事はそれからも彼がなくなるまで続いた。
彼が学生時代に応募して合格したという伊東屋のロゴ、今でも使われているけどそのロゴを見るたびに懐かしむ
その時に購入した塩沢お召の小絣、K氏の亡くなった今頃になると手を通している。
どういうわけか冬から春にかけての光の中で落ち着く
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