チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 307

2020年03月25日 13時44分17秒 | 日記
今年の桜は何か遠慮がち、パッと咲いていいよ。桜の木に向かって話しかけている

今日は桜の花びらだけの帯を締めている
着物は一珍染で一珍の中に桜の木を隠し、花びらだけはらりとピンクで飛ばしている
こういう技術、感性は西欧文化にはない

きものの研究を初めていや気がさしてきたころ、鬱積した思いで仕事をしていて面白くないので西欧の美術を見ようと出かけた
イタリア、スペイン、フランスの3か国を一か月ずつ滞留して美術を堪能した

そうして分かったことは、日本の美術、芸術、古典芸能はたぐいまれに文化度が高いということだった

印象派の絵画のモチーフや色は江戸時代の浮世絵からの刺激が多い、陶器も、磁器も形の良さ、色の良さ、デザインの面白さは格別。日本を見たいという思いで外遊(古い言い回し)したので、一生懸命日本を探した。あるわあるわ日本っていいよ

勿論西欧も素晴らしい、特に建築や都市計画は整然として実に見事、こういう整理された美しさはきっと住む人の分別も整頓されているのだろうなあと思いながら街を歩いた。目が合うとみんなにこっとして目で会話、そういえば最近の日本人はみんなぶすっとしているな、などと比べてみる。

パリには大内順子さんのアパートがありそこにご厄介になる
そこで案内されたのは江戸時代の打掛のコレクターのお宅、お城が住居、大広間に10領の打掛が広げてあった、衣桁まで持っているのだ!(金持ちの桁が違うな)
「柄の説明をしてあげてよ」
「わかった」(何せ一宿一飯の恩義何でも致します)

絹であること、手仕事であること、打掛の形に無駄がないこと、とにかくたぐいまれな美しさに圧倒されていると感謝された。しかも春夏秋冬の柄の説明、その色の草木の話に心底驚き、日本のすごさはこれを見るとわかると感動してくださった

「ふーーワインのみたい」(そのころは酒豪だったよチャ子ちゃん先生)
「わかったわかったー着物の仕事を辞めるなんて考えたらだめよ、異国の人が日本を一番早く理解できるのは着物よ。着物から逃げてはだめよわかった!」
とありがたい説教

またねと言っていたけど「また」はおとずれなかった
それにしても大内さんの交友関係は立派だ!彼女の人柄だわね

所で江戸時代の日本の文化は完成品。また日本は鎖国したらどうだろう。他の国と全く違うのだもの、追従することないよ

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