北海道同様、北太平洋を旅したサケが戻って くる米国西海岸。中でもオレゴン州では、春の キングサ-モンに始まり、夏にはベニザケ、秋 にはギンザケ、シロザケと、さまざまなサケ類が 故郷の川を上ってくる。遡上数がピ-クを迎えた 9月。同州最大都市ボ-トランドの郊外を流れるクラカマス川 の岸辺は、早朝からサケ釣りの人々でにぎわっていた。近くに住む ボプ・マクマレンさん(46)は平日だというのに、昼近くまでさおを振り 続けた。「結婚記念日のごちそうに、妻にサケ料理を振舞いたいか ら」と言う。オレゴンでは、自分の釣ったサケが夕餉の食卓を飾るこ とはそう珍しいことではない。住民は多くのサケ料理を知っているし、 その年の遡上状況にも関心を払う。サケの「帰郷」を祝い、祭りをす る地域もある。 翻って日本。漁業資源保護の名の下、ごく一部の河川を除き、基本 的に川でのサケ釣りは禁じられ、ス-パ-などで見る以外に、生の サケを目にすることは少ない。北海道はオレゴンと比べ、サケが遠い 存在になっているような気がする。もちろんオレゴンの川だって、野放 図に釣りができるわけでしない。さおは一人1本のみで、持ち帰れる 釣果も制限される。違反者は州警察に厳しく摘発され、罰金が科せ られる。釣り人は年間25~50ドル(3000~6000円)のライセンス 料を支払い、ふ化・放流や流域の植樹などのために応分の負担をす る。釣り人を締め出さずに管理し、そこからの収益を漁業や自然環境 に生かす米国流。「サケの古里」北海道にとって、参考になりそうだ。 (ポ-トランド 枝川敏実)
サケ(タンパク質豊富で脂肪少なく) 産卵のため、故郷の川に戻ってくる秋が旬であ る。秋アジとも呼ばれ、河口付近でで捕ったもの が上物とされる。川を1日約14㌔の速さで上り、 産卵後一生を終える。稚魚は初夏には海に下り、 数年を過ごして再び川に戻って産卵する。5月ごろから沖合いで 捕れるものもあり、漁獲量は北海道がトップである。一般にサケとい う名称で販売されているのはシロザケだ。身の赤色はアスタキサン チンという色素を含んでいるためで、加熱しても変わらない。焼き魚 やムニエルの他に、捨てるところがないというくらいに、多種類の料 理で食べ尽くす。シロザケはタンパク質が豊富で、脂肪は少ないが、 ギンザケやアトランティックサ-モンは脂肪が多い。 (二宮るみ子・管理栄養士)