道内 原料の5割道産米に 品質向上、安さも魅力
道内清酒メ-カ-が、原料米を本州産から道産 に切り替える「米チェン」を加速させている。200 8年酒造年度(08年7月1日-09年6月30日) の速報値では、原料米総量のうち道産米の割合 は46・3%と前年度より10・4ポイントも大幅アップ した。本州の銘柄酒に押されていたメ-カ-は地産地消を追い風に、 道産原料化で生き残りを図る。
北海道酒造組合によると、加盟社が使用した原料総量に占める道産 米比率は、2000年度から連続して上昇している。08年度は原料米 総量2854㌧に対し、道産米1322㌧で、前年度から93㌧増えた。 品種別では「吟風」が道産米全体の6割強(865)に上る。道産米の 使用が増えている背景には、「吟風」や「彗星」といった高品質の酒造 好適米誕生のほか、本州産の代表的な酒造好適米「山田錦」と比べ て価格が4割程度安いことがある。さらに、市販の道産米が消費者に 急速に浸透し、「酒米でも身近な道産が売りになる時代が到来した」と 同組合の西田孝雄専務理事はみる。道内メ-カ-は本州の安価なパ ック酒とブランド力の高い地酒に挟撃され、道産酒の道内シェアは二 割を切る寸前まで追い込まれているため、道産原料に活路を見いだし たい考えだ。田中酒造(小樽)は数年前に全商品を道産原料に切り替 え、小林酒造(空知管内栗山町)も9割以上を道産原料とした。同組合 は10月末の通常総会で、道産米の使用か拡大を組織決定しており、 酒造業界での「米チェン」はさらに進みそうだ。