あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

呼吸

2007-08-05 18:48:32 | つれづれ
写真を撮るとき、まず何を撮るのかを考えてから、その被写体をどの角度から、どのような構図で撮るかなど、みんなその際にさまざまな判断を行うだろう。
その「判断」は、撮る人それぞれ違うし、それでいい。ただ、伝えたいという気持ちの強弱で、その判断は大きく異なると、いつも思っている。

先日帰り道で、違う部署の人が美術館に行くという話しを聞いて、忘れていたことを思い出した。東京国立近代美術館で開催されている「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」を観に行きたいと思っていたのだ。
その名は聞いたことがあったものの、その人となりはほとんど知らなかった。でも、街で見たポスターの写真に、心が惹かれていた。

構図がおもしろかった。被写体の置き方、奥行きの持たせ方など、日頃自分でも多少気にしているところに対する見本…っていうわけではないけど、何かヒントを与えてくれるような作品が並んでいた。
そして、被写体を背中から撮っている作品が数点あった。「背中が語る」というのではなく、例えば民衆の話を聞いている枢機卿や、モデルを描くマティスなど、被写体ではなくその相手の表情を見せることで、被写体そのものを表現しようとしているのだろう。そしてそれは、観るわれわれに強く伝わってくる。
展示された作品が並ぶ壁面に、いくつかのことばが書かれている。その中の一つに彼の写真に対するこだわりが書かれていて、妙に納得した。図録に記載されていると思いメモを取らなかったが、まだ見つからない…

写真や絵だけでなく文章もそうだが、描く対象を直接描いたからといって、それが受け手に額面どおり伝わるわけではない。何を表現したいか、何を伝えたいか…まずは自分自身でそれを消化し、持たなければダメだろう。そう、描きたい対象と自分との、そして、伝えたい相手と自分との呼吸が大切だ。けれども、そう簡単なものでもなく、いつも思い悩むところだ。…それでいいし、悩まなくなるのは逆に良くないことなんじゃないかな?

暑いけど、最近休んでいた写真や絵を楽しみたいと思った。
コメント
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