先日、映画『桃さんのしあわせ』を観た。9月に行った『旅博』でチラシを見てから気になっていたものの、10月からずっとあれこれ慌ただしくしているうちに忘れかけていた。けれども面白いもので、ふと時間ができたと同時に思い出した。
久しぶりにBunkamuraのル・シネマで映画を観たのだけど、そういえばここで観た映画のうち『ポネット』を除くすべてが中国と韓国の作品だった。たぶんそこに、ミニシアター系の日本映画に通じるものを感じていたからだろうか。
さて、映画は香港に住む中年の独身男性ロジャーと、13歳の頃から4代に渡り彼の家に仕えてきた桃(タオ)さんを中心に、老いや死への道のり、そして人と人との繋がりについて穏やかに、けれども心の起伏を丁寧に描いている。
ロジャーを演じるアンディ・ラウさんと僕とは似ても似つかないが、独身の中年男性というところに自分を重ねて見ていた。そして、年老いた使用人の桃さんとの関係は、僕と母親のそれと少しだけだけど被っている…と、思いながら。まあ、母とは距離が近すぎていつも言い争ってしまうけど、だから、このロジャーと桃さんとの距離がいいなあと思った。
脳卒中で倒れた桃さんは自ら老人ホームへの入所を希望する。それに対しロジャーは介護付き老人ホームを探して奔走する。そして見つけた施設は、日本のそれとは…といってもイメージだけど…違って劣悪な施設で、あれこれ高い料金を取られるものだった。初めのうちはなかなか溶け込めない桃さんだったが、少しずつ周りに対し心を開いていった。それは、忙しい仕事の合間に献身的に彼女を訪ねてくるロジャーの存在も支えになっていたんだろう。
そう、ロジャーが訪ねてくるのを心待ちにする桃さんの姿がキュートで、またロジャーとの会話もどこか小気味いい。桃さんを演じるディニー・イップさんの上品さがそれを支えているのだと思うが。そんな二人の素敵な関係って、まあそれだけではないのだろうけど、でもとても羨ましく思った。だが一方、桃さんの姿にも、そしてロジャーの姿にも、一人で老いていくことの影が見えて、そこがこれからの自分にシンクロして、少しだけだが怖くなった。
桃さんを送るラストシーン。一人の男性が小さな花束を持ってくるシーンに、何か救われる思いがした。それがなぜなのかは説明したくないけど、そう思った。桃さんはきっとしあわせだったのだろう。
ル・シネマのホームページを見たら、12月1日から14日まで、11:10からの1回だが上映が続くという。また来年には下高井戸シネマでの上映もあるようなので、興味を持っていただけたら、ぜひ!
久しぶりにBunkamuraのル・シネマで映画を観たのだけど、そういえばここで観た映画のうち『ポネット』を除くすべてが中国と韓国の作品だった。たぶんそこに、ミニシアター系の日本映画に通じるものを感じていたからだろうか。
さて、映画は香港に住む中年の独身男性ロジャーと、13歳の頃から4代に渡り彼の家に仕えてきた桃(タオ)さんを中心に、老いや死への道のり、そして人と人との繋がりについて穏やかに、けれども心の起伏を丁寧に描いている。
ロジャーを演じるアンディ・ラウさんと僕とは似ても似つかないが、独身の中年男性というところに自分を重ねて見ていた。そして、年老いた使用人の桃さんとの関係は、僕と母親のそれと少しだけだけど被っている…と、思いながら。まあ、母とは距離が近すぎていつも言い争ってしまうけど、だから、このロジャーと桃さんとの距離がいいなあと思った。
脳卒中で倒れた桃さんは自ら老人ホームへの入所を希望する。それに対しロジャーは介護付き老人ホームを探して奔走する。そして見つけた施設は、日本のそれとは…といってもイメージだけど…違って劣悪な施設で、あれこれ高い料金を取られるものだった。初めのうちはなかなか溶け込めない桃さんだったが、少しずつ周りに対し心を開いていった。それは、忙しい仕事の合間に献身的に彼女を訪ねてくるロジャーの存在も支えになっていたんだろう。
そう、ロジャーが訪ねてくるのを心待ちにする桃さんの姿がキュートで、またロジャーとの会話もどこか小気味いい。桃さんを演じるディニー・イップさんの上品さがそれを支えているのだと思うが。そんな二人の素敵な関係って、まあそれだけではないのだろうけど、でもとても羨ましく思った。だが一方、桃さんの姿にも、そしてロジャーの姿にも、一人で老いていくことの影が見えて、そこがこれからの自分にシンクロして、少しだけだが怖くなった。
桃さんを送るラストシーン。一人の男性が小さな花束を持ってくるシーンに、何か救われる思いがした。それがなぜなのかは説明したくないけど、そう思った。桃さんはきっとしあわせだったのだろう。
ル・シネマのホームページを見たら、12月1日から14日まで、11:10からの1回だが上映が続くという。また来年には下高井戸シネマでの上映もあるようなので、興味を持っていただけたら、ぜひ!