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山本一力/蒼龍

2008年03月05日 | ○○な話


山本一力 著 蒼龍を紹介します。



オール讀物新人賞を受賞した「蒼龍」の他、力作中篇四作を収録。

のぼりうなぎ
弥助は腕利きの指物職人だ。その弥助が呉服屋近江屋の手代にならないかという話を引き受ける。
しかし、弥助は最初から壁にぶち当たった。というのも、番頭を筆頭に手代から小僧に至るまで弥助に対する風当たりは強い。皆、近江屋の看板を背負っている意識が強くて、外部の人間に冷たいのだ。その冷たさは客に対しても表れている。それをどうにかしたくて近江屋九右衛門は弥助を雇ったのだ。折しも、同じ呉服の業界では越後屋が急速に商いを広げている最中である…

節分かれ
高之介は父である稲取屋勝衛門のやり方に不満を持っている。蔵にある灘萬からの酒が残り少なくなっており、大きな取引先である小田原屋から催促が来ているのだ。この際、灘萬以外からも仕入れるべきだと主張するが、勝衛門は首を縦に振らない。そればかりか、灘萬にたいする恩義を忘れて商売をすることはありえないことだと高之介を叱責する。
公儀の締め付けは厳しくなる一方だったので、勝衛門には勝算があったのだ。公儀の締め付けは、札差しの借金をちゃらにするという暴挙となって現れた。この結果、景気が著しく悪化する。勝衛門は、ここで、灘の酒を二十文という安さで売るという勝負に出た。

菜の花のかんざし
堀晋作の元に届けられたのは、堀家の一大事だった。若殿が馬を制御しきれなくなって落馬し、さらに馬に蹴られて死んでしまった。その時、正次郎は側にいた。そして正次郎は胸のうちが収まらない奥方の怨みを買って、座敷の閉じこめられた。この正次郎を面白く思っていなかった大東が正次郎を愚弄した。意趣返しである。これに正次郎は公然と刃向かい大東を殺してしまった。
追って、藩からの刺客がやってくるだろう。晋作は覚悟を決めた。そして、息子・真之介と、娘・かえでも覚悟させる必要があると思った。妻・柚木乃には咎めがないだろうから、今の内に逃げろと言ったが、柚木乃は晋作に食ってかかる。息子と娘を道連れにするつもりなのですかと。

長い串
土佐藩はこの年参勤交代で国に帰る年に当たっていた。若い吉岡徹之介を道中奉行として、一行は島田の宿までやって来た。ここで雨のため足止めをくらった。他藩も同様である。ここで、徹之介は人足頭の傳吉に相撲の勝負を挑む。勝てば他藩より先に川を渡らせろというのが勝負の内容である。
そのころ、土佐藩江戸留守居役の森勘左衛門は一行が無事に国に戻れているかをやきもきしながら過ごしていた。その中で、知遇を得たのは掛川藩の江戸留守居役の甲賀伊織であった。土佐藩の藩祖はもともと掛川領主だった。そのため、二人はうち解ける中になった。
ある日、大目付から森勘左衛門は呼び出しを受けた。内容は島田宿での相撲のことである。これが問題となっていた…

蒼龍
大工の弦太郎には借金が五十両あった。始めにケチがついたのは博打での五両だった。悪いことは重なるもので、妻の兄が店の金に手をつけた。その額は五十両であった。博打の借金は弦太郎の親方に肩代わりをしてもらったものの、五十両が残っている。
そんな中、弦太郎の目にとまったのは岩屋の張り紙である。そこに書かれていたのは、茶碗・湯飲みの新柄を求む。礼金五両。ほかに一対焼くごとに、金二文。となっていた。
これだ。弦太郎は早速絵柄を書き始めた。



時代物ではあるけれど、人と人とのつき合い、親子の情、友情、お客を大切にする心など、どれも現代にも通じるものばかり。

助けられたり助けたり。

人と人とのいい関係がそこにはある。

人と人の在り方や心の持ち方など大切なことを改めて教えてもらえる素晴らしい作品です

 

コメント
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