福井 晴敏 著 「6ステイン」を紹介します。
存在を秘匿された組織、市ヶ谷防衛庁情報局で過酷な任務に身を投じる工作員の男たち、女たち。
国益、治安維持という名目で、人殺し等の汚れ仕事を淡々と遂行する。
上からの命令には疑問をはさまず、感情を捨て、ロボットのように任務をこなす事が美徳とされる職種。
そんな彼等が「人間としての情」によって、感情を揺さぶられる6編の鎮魂歌。
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員など。
心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者達の消せない染み。
あきらめることを知らない6つの魂。
映画化された「亡国のイージス」・「終戦のローレライ」など超弩級の長編ではありませんが、どの物語も読み応えは十分。
一気に読めます。