曽根 圭介 著 「鼻」を紹介します。
日本ホラー小説大賞短編賞受賞作の「鼻」の他に「暴落」「受難」の短編三本を収録した短編集。
「鼻」
人間たちは、テングとブタの二分されている。
鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。
外科医の私はテングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。
一方、自己臭に悩む刑事の「俺」は、二人の少女の行方不明事件を捜査している。
そのさなか、因縁の男と再会する事になるが・・・。
「暴落」
人間存在のまるごとの価値に値段がつき、株式上場されてる世界が舞台の話。
人助けをすると株が上がり、悪評が立つと株が下がる。
人は絶えず自分の株価の上がり下がりに一喜一憂しながら生きていかなければならない。
「エリート圏」に居た主人公は、ちょっとの躓きから株価が暴落。
坂道を石が転がり落ちるかのように、転落…
暴落に暴落を重ねた主人公の行きついた先は!?
「受難」
なぜかビルとビルのすき間に、手錠をかけられ監禁されてしまった男の身に起こる不条理ホラー。
身動きできなくなった主人公の元に 集まる三人。
主人公にとって救世主になりうる彼らがみんな曲者で、全く役に立ちません。
映画「SAW」を連想させるストーリー展開。
雰囲気の異なる三つの短編はそれぞれレベルが高く、一気に読めます。