笹本 稜平 著 「太平洋の薔薇」(上・下)を読みました。
伝説の船長柚木静一郎の最後の航海は老朽船「パシフィックローズ」。
しかし、この老朽船がテロリストにより占拠され、柚木らはロシアへ向かうように指示される。
ロシアで待ち受けるのは旧ソ連時代の驚異の生物細菌兵器<ナターシャB>。
有効な解毒剤がないため、驚異の兵器として封印されていたこの兵器を巡り、日・米・露、それぞれの思惑が交錯する。
テロを阻止せんとする柚木。
海上保安監である柚木の娘・夏海と同僚たちの必死の追跡に、荒れ狂う海が立ちはだかる。
さらに追い討ちをかけるように、悪夢のような事故が!
いずれ死ぬ運命なのか―
絶望的窮地に追い込まれながらも、柚木と乗組員たちは、テロリストの野望に命を懸け立ち向かう・・・。
海洋冒険小説であり、ハイジャックもの、国際謀略小説。
とにかくスケールが大きい。
主な舞台だけでも、柚木静一郎が船長のおんぼろ貨物船「パシフィックローズ」、柚木の娘が勤めるクアラルンプールの海賊情報センター、海上保安庁の巡視船「かいもん」、豪華客船「スターライト・オブ・シリウス」、ロシア連邦保安局イルクーツク支局、アメリカの国家安全保障局とC I Aなど、実に多彩。
「パシフィックローズ」を襲う災難にしても、シージャック、悪天候、救出の失敗、治療薬のないウイルスの侵入など。
さらにその味つけに「父と娘の愛情物語」を加えた、盛り沢山の内容を手を変え品を変えして、上級サスペンスにかもし出す。
正月休み中に読みましたが「海洋版ダイハード」と呼んでもいいくらい、ハリウッドの超大作映画を観ているような迫力で最高に面白かったです。
昨年放映されていた細菌兵器テロと戦うTVドラマ「ブラッディ・マンディ」も観ていましたが、話のスケールが違います。
日本じゃこの作品のTVドラマ化・映画化は無理かな?
正月早々良い作品にめぐり合えました!
第6回大藪晴彦賞受賞。
2004年度版 このミス 13位