畠中 恵 著 「しゃばけ」を読みました。

江戸有数の廻船問屋の一人息子の若旦那こと一太郎は17歳。
一粒種で両親から溺愛されているが身体が弱くすぐ寝込んでしまうが周りの妖(あやかし)が見えてしまうという得意な能力を持つ。
そんな一太郎を守るべく、手代に身を替えた犬神・白沢、屏風のぞきや小鬼が身の周りに控えている。
ある夜、ひとり歩きをした一太郎は人殺しを目撃してしまう。
その殺人事件を皮切りに、次々と不可解な殺人が連続する。
一太郎は妖達の手を借りて真相を探るのだが、魔の手はその身辺にまで及んでくる…。
身体の弱い若旦那と彼をとりまく妖との洒脱なやりとりが面白い。
人間とは妙にずれる彼らの価値観、若旦那はそれを感じつつも愛情たっぷりに会話しているのが愛らしい。
若旦那の出生の秘密や、それを伏線とした、薬種屋の連続殺人事件など、穏やかな中に笑いがあり、謎があり、肩を張らずに気軽に読みきれる一冊です。
第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。