関口 尚 著 「プリズムの夏」を読みました。
水戸市の映画好きな「ぼく」と親友の今井が受験を迎えた年の夏、映画館ではたらく美人なのにどこか陰のある松下奈那と出会う。
「どこまでも不透明で決して心の内を明かさない」年上女性・松下さん。
時を同じくして、今井君があるサイトを発見したことから物語は急に走り始める。
アンアンの『やめていく日記』。
感傷的な内容に辟易しながらも、次第に、彼女の放つ危ういかおりに、引きこまれていった・・・。
昨年読んだあさのあつこ著の「バッテリー」以来、久々の青春小説。
「バッテリー」は中学生が主人公ですが、この小説は受験を控えた高校三年生の夏物語。
年上の女性の美しさと危うさに魅せられていく、近づき、離れ、すれ違う心と心。
純粋で不器用な友情と恋の行方。
どこまでもまっすぐで、純朴な青春小説。
この本を読むまで、著者が昨年映画化された「パコと魔法の絵本」の原作者だとは知りませんでした。
第15回小説すばる新人賞受賞作