私がまだ高校生の頃だったでしょうか。
テレビで「1000日のアン」という洋画を観たことがあります。
内容はほとんど忘れてしまいましたが、
イングランドの王妃という女性のトップに登りつめながら、
ロンドン塔に幽閉され処刑されてしまった女性、
アン・ブーリンを描いた映画でした。
そのとき、その女性があのエリザベス一世のお母さんだった、
ということを知って驚いたものです。
(その後、同じタイトルの本を読んだ気がするのですが、
検索しても見当たりませんでした)
歴史の渦に否応なく巻き込まれる女性の悲劇というものに
興味を持ったきっかけは、日本では戦国時代に生きた女性、
海外ではこのアン・ブーリンだったかもしれません。
ということで、本でも映画でも歴史ものは大好き。
この「エリザベス ゴールデンエイジ」も公開されたときから
観たいと思っていた映画のひとつです。
(ほんとは映画館の大画面で観たかった~)
エリザベスとは、16世紀のイングランドの女王エリザベス一世のことです。
10年ほど前にエリザベスが女王になるまでを描いた
「エリザベス」があり、これはその続編になります。
内外ともにまだ不安定だったエリザベス女王の治世。
それが無敵といわれたスペイン艦隊を破り、
イングランドが黄金時代を築きあげるまでを
迫力のある美しい映像で丹念に描いています。
イギリスの小説を読むと、児童小説やファンタジーでも
歴史が絡んでくることが少なくありません。
日本人である私にとって、これがまたわかりづらい。
本を読んでいるときには断片的にわかったつもりでいても、
全体的なつながりや流れとなると把握できません。
(同じ名前がたくさん出てくるし。
スコットランドのメアリー・スチュアートと
ブラッディマリーで有名なメアリーが ずっと同一人物だと思ってた私・・・)
で、この映画。
世界史の教科書に出てくる史実が(あたりまえだけど)
あちこちに出てきます。
イギリスにおけるカトリックとプロテスタントの対立や、
裏で糸をひくスペインの陰謀。
エリザベスとメアリー・スチュアートの王位継承をめぐる確執。
そして新大陸への進出。
観ているうちに、
あ~、そうなんや。だからこうなるんかー
と、歴史のややこしかったところがすっきりとつながったんですね(笑)
歴史って、いろんなことが絡み合って必然的に大きな事件に発展していくんだ、
ということがよくわかりました。
よく教科書に載っているでしょ。
「1588年 イギリスがスペインの無敵艦隊を破る」って。
それって、どういうことなん?って、思いませんでした?
でも、映像で観るとすごくよくわかるんです。
スペインがイングランドを狙ってて、
だんだんスペインとの関係が悪化していく。
↓
敬虔なカトリック教徒だったメアリーが
処刑されたことで対立が深まり戦いが始まる。
↓
そしてとうとう圧倒的な数のスペイン艦隊が迫り、
イングランドは絶対的な危機を迎える。
そのときのエリザベスの毅然とした態度。
勝てる見込みの少ない戦いなのに、
自ら甲冑に身を包み兵士たちの前で鼓舞するんです。
彼女の国を思う熱い心に胸を打たれます。
しかし、やはりイングランドは不利。
次々と船はやられます。
しかし、ここで風向きが変わるんですね~
イングランドが優位になり、とうとう無敵艦隊といわれたスペインを破るのです。
静かながらも迫力に満ちたシーンでした。
そしてそれを崖の上からひとり眺めるエリザベス。
もちろん脚色はあるでしょうが、歴史の一場面を
映像として観ることができるというのは、なんと贅沢なことでしょう。
エリザベスを演じたケイト・ブランシェットが
とにかく素晴らしかったです。
女王としての圧倒的な存在感、威厳、強さを見事に演じています。
そして一方で、女王の孤独や苦悩や葛藤も、
またひとりの女性としての哀しみも、ひしひしと伝わってきました。
常に暗殺の危機にさらされていたエリザベスですが、
教会で暗殺者に銃口を向けられたときの彼女が印象的でした。
まるで聖母マリアのように、その暗殺者に向かって両手を広げたエリザベス。
その後一発の銃声が響きます。
私はこのDVDを2回見ましたが、2回とも
この銃声で飛び上がってしまいました(笑)
それくらい緊張感のあるシーンなんですね。
このDVDを観たあと、もう一度「エリザベス」の方も見直しました。
普通の(王位継承者だから普通ではありませんが)
ひとりの恋する乙女が、だんだん女王の顔に変わっていく様子が
なんともいえません。
国のため、民のため、自分の恋すら思い通りにいかず、
誰とも結婚せずヴァージンクイーンとなったエリザベス。
そのせつないほど孤独な思いは「エリザベス」、
「エリザベス ゴールデンエイジ」ともに描かれていました。
二本のDVDを観たあと、図書館でエリザベス関連の本を借りてきました。
映画を観たあと読むと、なるほど~とよくわかります。
高校であれほど眠かった世界史の時間。
こういうDVDを観ていたら、もっと興味がわいていただろうになー