ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

今年は・・・2

2019-02-08 | 読むこと。
今年の目標を書いてるうちに2月に突入してしまいました
去年パソコンが壊れてしまい、ずっと確定申告の準備を先送りにしていたのですが、
今新しいパソコンに必死でデータ入力しているところなのです



さて、今年の目標のもうひとつ、読書では今年に入って数冊読みました。

こちらは去年読んだ守り人シリーズの外伝を再読。
この本を見つけたとき、まさかまた守り人の世界を楽しめるとは思ってなかったので、
小躍りして即ポチッとしてしまいました。






あの戦いの後、ようやく穏やかに暮らしているのであろうタンダとバルサを
垣間見ることができて、もうそれだけで胸が熱くなりました。

物語はバルサが若いころジグロと共に護衛したサダン・タラム〈風の楽人〉と再会し
彼らを助けたことで、再び旅の護衛を頼まれるところから始まります。

サダン・タラムとは、旅をしながら鎮魂の歌や舞を舞う楽隊のことです。
そしてその頭〈かしら〉とはシャタ〈流水琴〉を奏で、異界への道を開くことが
できる存在。
命を狙われている、ジグロの娘かもしれない(!?)サダン・タラムの若い頭を
守ってロタへ旅立つことになったバルサ。
その折々でジグロと共に旅をした過去や、当時サダン・タラムを護衛したときのことを思い出します。

ジグロが守った当時のサダン・タラムの美しい頭と、その娘である若い頭。
その二人の命が狙われたのは、ロタ北部の歴史に隠された秘密があったからなのですが、
それをめぐる二つの氏族に関わって話は展開していきます。

そして過去と現在が交叉する中で、まだ若くて痛々しいほどのバルサと、いろんなことを経験した
現在のバルサがうまく描き出されているなと思いました。
この守り人シリーズが始まったとき、バルサはかっこよかったけど、どこか手負いの獣のような
荒々しさを感じたものです。
でも、チャグムと出会い、アスラを救い、タルシュ帝国との戦いを経て、バルサ自身も
ようやく自分の過去と折り合いをつけ受け入れられるようになったのかもしれない。
だからこそ、悩む若い頭にこう伝えることができたのでしょう。

人はみんな、中途半端なまま死ぬもので、大切なことを伝えそこなったな、と思っても、
もう伝えられないってことがたくさんあるんでしょうが、自分では気づかぬうちに
伝えられていることも、あるのかもしれない。
・・・略・・・
思いは血に流れてるわけじゃなくて、生きてきた日々のあれこれに宿っているものなんでしょう。
・・・略・・・
先のことは、そのとき生きている者に任せるしかないんです。


ジグロの娘として育てられたバルサが、ジグロの娘かもしれない若い頭に
自分の思いを伝えるのですよ。
血はつながっていなくても、バルサには妹のような存在になるわけで・・・
そこまで考えるとちょっとうるうるしますね。

そして今回何より驚いたのは、幼いバルサを連れて故国から逃げ出し、以来ずっと
仲間から命を追われることになったジグロが、ほんの一瞬でも心許す女性に出会えてたということ。
おまけに娘がいたかもしれない、なんてね、本当に嬉しいサプライズ。

できればいつか外伝で、タンダとバルサの子どもの物語も読めるといいなあ・・・






さてこちらは久しぶりに図書館へ行ったときに見つけたもの。
昨年亡くなられたアーシュラ・ル=グウィンの作品です。






これは、古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』を題材に、その中の登場人物
ラウィーニアを主人公に描いた作品です。
『アエネーイス』というのは、トロイア滅亡後の英雄アエネーアスの遍歴を描いたもので
ラテン文学の最高傑作とされるそうです。

・・・・・

なんか難しそう・・・
おまけにややこしいのは、その主人公ラウィーニアが若き日、森の中で作者ウェルギリウスの
生霊に出会い、将来トロイア戦争の英雄アエネーアスの妻となる運命を告げられるのです・・・

???

つまり、将来この叙事詩を書く作者が、過去に戻って自分の作品の登場人物に運命を告げる
ってこと?

でも、設定が難しいと感じたのはここまでで、物語が進んでいくと困難に精一杯立ち向かう
ラウィーニアという女性にとても好感を持ちます。
なぜならラウィーニアは、ル=グゥインが描くだけあって私たちとかわらない自分の意思を
持った、ある意味現代的でとても賢く魅力的な女性だからです。
さすがに現代では、自分の結婚相手を選ぶために国をあげて戦いが起こることはないでしょうけれど

この作品はもちろん日本訳で読みましたが、とても格調高い美しい文章で、おそらく原文も
美しい英語で書かれているのだろうなあと思いました。
ル=グゥインの最高傑作とも言われているようです。
図書館の返却日が迫って最後慌てて読んでしまったけれど、もったいないことをしたと反省。
もう一度じっくり読みなおしたいと思える作品でした。




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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご無沙汰しておりまする (jester)
2019-02-12 10:20:29
くっちゃ寝さん、ご無沙汰してます。
今年もよろしくお願いします!

ずっと読んではいたのですがコメントが遅くなってしまいました。

iPhoneかiPadをつかってブログをチェックすることが多いので、ついついお友達訪問しても、コメント残すことができなくて・・・・
(なんか急に送信されちゃったり、gooブログと相性が悪いみたい)

でも守り人シリーズの新版と聞いて、わざわざパソコンをひらいてやってきました。

懐かしいですね〜〜
まだ続けて書いていてくださったのですね〜

わたしも読もうと思います。

くっちゃ寝さんを見習って、わたくしも今年こそせっせとブログを更新したいと思います。

ついついInstagramのほうが手軽に沢山の人に見てもらえるみたいなので、(=文章を考えるのが面倒くさいらしい・・・)インスタばっかりになった去年ですが、じっくり文章を考えると、ボケ防止になるかも、と企んでおります。

返信する
Unknown (jester)
2019-02-12 10:21:58
ごめんなさい、なぜか二つ同じコメントが送信されてしまいました。一つ削除してくださいませ!
返信する
jesterさん (くっちゃ寝)
2019-02-12 14:10:54
ご無沙汰してます~
わざわざパソコンをひらいてのコメント!
ありがとうございます。

この年になると何かにつけて億劫になり、ブログを読ませていただいて
あとで時間があるときにコメントしよう、なんて思ってると
忘れたり、日にちが経ちすぎていたり・・・になってしまうのですよね。
それに今はラインとかインスタとか手軽なツールがふえて、
じっくり文章を考える機会も減ってしまいました。
たまにはブログで文章を書いて頭使わないとヤバい、と
私も日々感じております(笑)

そうそう、守り人に続いて『鹿の王』の続編も出るようですよ。
こちらも楽しみ♪

jesterさんのブログのほうも楽しみに待っていますね~

※コメント、ひとつ削除しておきました。
返信する
Unknown (まつかぜ)
2019-03-06 08:28:04
くっちゃ寝さん
こんにちは!ご無沙汰しております。
ブログ投稿が遠のいているのですが
でも、やっぱり、私にはブログのテンポ?が丁度いいような気もする、今日この頃です。

クイーンの映画♪私も勿論観に行きましたよ
良かったですね!(今更ながら💦)
暫く、ずーっと映画で見た場面が!楽曲が!頭の中をぐるぐると渦を巻いて流れていましたよ♬
読書については、もともと読むのがとても遅い上に、日常的に目を酷使しているので本を読む余裕がないと思っていたのです。が、先日、老眼鏡を新調しようと検眼したところ予想外に乱視が進んでいることがわかり、遠近…メガネを初めて作りました。結果、目が疲れなーい!!(笑) のです。
↑ご紹介の二冊、時間がかかっても読んでみたいと思います。楽しみです。ありがとう♡
返信する
まつかぜさん (くっちゃ寝)
2019-03-07 10:11:12
こんにちは~
こちらこそご無沙汰しております。
ブログもコメントも、なかなか書けなくて・・・

クイーン、よかったですよね!
娘たちも感動した!と言っていましたが、私より上の世代の
義兄、義姉、姉たちは興味なさそうなのですよ。
ちょっと意外でした。

私もね、悲しいかな以前ほど読書に集中できなくなくて・・・
それでも活字に飢えてしまうので、毎晩布団の中で少しずつ読んでいます。
先日久しぶりに図書館へ行って、ごっそり借りてきたのですよ。
手元に読む本がある幸せ♪
またおもしろい本があれば紹介しますね~
返信する
読みました (ruca)
2019-04-11 11:02:42
こんにちは~お久しぶりです。

こちらで守り人の新刊があると知り、図書館で
借りて読みました。
いやぁいい話でしたねー昨日の夜最後の章をあえて(笑)
残して布団に入ってから読んだのですが、
つっーと涙が流れました。
ジグロの愛したお頭が、ジグロがいかに
バルサのことを想っていたかを最後に回想しますよね‥
その箇所でココロが震えました。

読んでいるときの気持ちはバルサとともにあると
思っていましたが、親としてのジグロの気持ちに
実は共感していたのでしょうね‥‥。

そして。
>ジグロが、ほんの一瞬でも心許す女性に出会えてたということ

そうそう↑
ほんとによかったですよね。
(私は若いお頭はジグロの娘であってほしいなあと
切に願います)
そしてそして、ジグロの歌!
巻末をそれで締めくくっているところにも
ぐっときました。
返信する
rucaさん (くっちゃ寝)
2019-04-13 14:00:23
こんにちは~

最近は自分の覚書として書いてるこのブログですが、
それをこんなふうに
読んだ本の感想を共有できるなんて、嬉しいことですね!

あとがきで上橋菜穂子さんがお母さまを見送ったことを書かれて
いましたが、この作品では受け継がれていく思いのようなものを特に感じました。
そういう年齢になったってことでしょうねえ・・・

この守り人シリーズは、この先もずっと続いていってほしいなあ。
チャグムの結婚とか、バルサの子育てとか・・・(妄想)
そして、年を重ねたバルサの姿も見てみたいものですね~
返信する

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