ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

『風が強く吹いている』

2007-10-18 | 読むこと。
見上げると、今日の空は眩しいほど真っ青です。

ブラインドを下ろしてパソコンの前に
座っているのがもったいないくらいに。

最近なんだか疲れ気味で
(朝練も休みで、疲れることはしてないのに)、
テンションも下がり気味

気にならないくらいのちょっとした不満が、
澱のように心の底に沈殿してココロが重い。
ココロが重くて身動きがとれない、みたいな・・・。


こんなとき、軽やかに走り出せたらいいなあ。

と、いうことで。




       『風が強く吹いている』
          三浦しをん


私の陸上ブームはまだ続いています(笑)。
短距離から、今度は駅伝。
箱根駅伝を目指す大学生の話です。



箱根駅伝。

お正月になると、うちのおとーさんは
お節を食べたあと毎年必ずおこたにもぐって
箱根駅伝を見ています。

それを横目で(ニラ)見ながら、
主婦はお正月といえど食事の後片付けに山ほどの洗濯。

なんでわざわざお正月から走らなければあかんのやろ。
まわりも迷惑やろな~。

私の箱根駅伝に対するイメージといえばこんなものでした。

ところが、そんな私の偏見を見事打ち砕いてくれた作品です。


『一瞬の風になれ』では主人公は素質を持った高校生でした。
短距離というのは、やはり練習だけで記録を出すのは限界があり、
天性の素質といったものが大きく左右するようです。

しかし、長距離では比較的練習さえ積めば、
ある程度走れるようになるものらしいですね。

もちろん体格や体力といったものもありますが、
どちらかというと性格が大きな影響を与えるらしいのです。

長距離で求められるのは、「速さ」ではなく、
むしろ「強さ」なのだということに改めて気づきました。


それぞれの理由で陸上部から遠ざかっていた灰二(ハイジさん)と走(かける)。
ふたりの偶然の出会いから、アパートの住人を巻き込んで
箱根駅伝に挑みます。

そのアパートの住人たちがなんとも個性的。
(本の表紙に彼らの絵が描かれています)

クイズ狂の大学生、漫画オタク、黒人の留学生などなど。

走ることにほとんど素人の彼らが、
ハイジさんにうまく言いくるめられ、あるいは脅迫されながらも(?)
走ることに目覚めていきます。

才能もあり、走ることを愛するハイジさんと走だけではなく、
巻き込まれた彼らも含めて、それぞれの「走る」ということに
対する思いが描かれ、とてもおもしろく感じました。

そう簡単に箱根駅伝に出場できるわけないよね~、
なんだか嘘っぽいよね~、
なんて半信半疑で読んでいたのに、
ひとつずつ問題をクリアしていく過程で読者も納得させ、
気がつけばすっかり私たちまで巻き込まれているような・・・。

最後箱根駅伝の場面ではもう心から応援したくなっています(笑)

補欠メンバーもなく、10人ちょうどしかいない彼らは、
熱が出ようが、足に故障があろうが、走らなくてはいけません。

風邪で熱がありながら、第五区の上り坂を走る「神童」。
朦朧とした意識の中で、ひたすら前へ進もうとする彼の姿には
本当に胸が熱くなります。

10人でつなぐ襷の重さ。
いえ、彼を前に駆り立てているのは、それだけではないでしょう。
自分自身への挑戦。
そんな彼の姿に、走は強さを感じます。

そして2日目。
もう手に汗握る展開に、すっかり私たちも沿道で応援している気分。
そして、結果は・・・。


走ることに取り憑かれた彼らを通して、
走るということの魅力を、素晴らしさを、
余すところなく描いた作品といえるでしょう。


物理的に同じ道を走っていても、たどりつく場所はそれぞれちがう。
どこかにある自分のためのゴール地点を、探して走る。
考え、迷い、まちがえてはやり直す。
もしも答えが、到達するところが、ひとつだったなら。
長距離に、これほどまでに魅惑されはしなかっただろう。


走るって、人生そのもの。

走り出す前から疲れてるようでは、まだまだですね~。



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4 コメント

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同感です (Non.)
2007-10-18 22:45:18
こんにちは。初コメントです

この本は私も1年前に読んですっかりハマってしまった本です。
登場人物がそれぞれ魅力的ですね。

この著者のエッセイもおもしろかったですよ~。

ではまた。。。

返信する
Non.さん (くっちゃ寝)
2007-10-19 11:26:26
こんにちは。
ひょっとして、この本を薦めてくれたNon.さん!?
コメント、ありがとうございます。

この本は、高校の「夏休みの感想文を書く本のリスト」に入ってたんです。
で、次女に相談され(夏休みも残り僅かでした)、この本が書きやすそうと慌てて購入したのです。
なのに、結局次女が書いたのは『星の王子さま』。
まあ、おかげでこんなおもしろい本に再会できたわけですけどね

むさくるしいボロアパートに、個性的な住人たち、不器用な生き方など、イマドキのかっこよさがないところがいいですね~。
返信する
うぅ買っちゃおうかな (黒糖)
2007-10-21 00:37:13
新聞で紹介された箇所を切り取って、
ずっとカレンダーにクリップ止めしてあるんですよ。
とても読みたい本です。
時間はあるはずなのに精神的にバタバタしてて・・
週明けると母を預かるので絵本用に紙切ったけど
描くの無理だろうし・・買おうかなぁ。
くっちゃ寝さん、たくさん読書されて、いい時間を
過ごされてますね
返信する
現実逃避!? (くっちゃ寝)
2007-10-21 11:54:56
『一瞬の風になれ』は爽やか~という印象だったけど、こちらはもう少し骨太な感じ?
読むと元気もらえますよ。

私の場合、精神的にしんどいほど読書に逃げてしまいます
それが日々の支えになってしまうほど。
だから、手元に読む本がないとすごく不安になるんですよ。

お母様、大変ですね。
でも、電車でお出かけできるほどお元気なのだから、黒糖さんのそばに来てもらえるだけでもいいのかもしれませんよ。
ただ黒糖さんも、無理して疲れをださないようにね。
気分転換にはオススメの作品です
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