Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

シカゴでマンガ「Death Note(デスノート)」を再び読む

2008-02-09 | アメリカ生活雑感
今日読んだ日本発の記事に、また「Death Note(デスノート)」の人気が再燃しているという。うちの上の息子も、未だにユーチューブや全13巻(12巻で完結、13巻は真相)ある本で、この人気マンガを夜よく見ている。うちの息子は、いわゆる本の虫で、最近は大人の本をかたっぱしから、熟読して、同じ本も繰り返し読むが、(日本人メジャーリーガー松坂や松井秀喜の本は一つの本につき、最低でも十回は読んでいるもよう)勿論、マンガも気に入った本は何べんも繰り返し読む。

実は、私もこのマンガを描いている小畑健さんの大ファンで、その高度なシュールでアーティスティックな世界に魅入られている一人だ。小畑健といえば、ご存知「ヒカルの碁」で一世を風靡して世界中に碁ブームを引き起こした漫画家。私は、この「ヒカルの碁」で小畑健の画風が大好きになった。

「デスノート」の内容に関しては、かなりの親たちは、「うーん」とまったをかけるだろうが、(3年前ぐらいに子供がこれを借りてきたときは、私もその題名に驚いた)その劇画の描写力は、もうマンガの域を突き破り、完全なコンテンポラリーアートとしても君臨できるのではないかと思う。

数年前、ハーパーカレッジの「西洋美術史3」(現代アートが中心)のクラスで、各自リサーチして、自分自身がキュレーションして、個々のアーティストを紹介するミニ展覧会を開くという企画があった。私はもう一人の学生と組んで、世界でも注目されている村上隆や奈良美智、森村泰昌などいまどきの日本の現代作家を紹介した。そこに、勿論、デスノートの漫画本も持っていった。私は、村上や奈良の作品よりも小畑マンガ作品が好き。森村さん(彼だけさんづけします)に関しては、私は昔よくインタビューさせてもらってお世話になっているので、そんなことは絶対に口がさけても言えません。(世界的に有名なアーティストだけど、とてもいい人で私は大好きです)

この企画をしたステッファニー・リムランドという女の先生は、日本の現代アートの大ファン。「デスノート」の描写を「すごい!」と見入っていた。彼女のオフィスは、キティちゃんなどの可愛い日本のフィギアでいっぱい。私がアキバで買ってきたセーラー服の女の子のフィギアもお気に入りらしく、大事に飾ってあった。パソコンの壁紙も日本人の若い女性作家のゾウさんのアニメ風な作品を使っていて、「カワイイ!」と日本語で言う。

おっと、話は、「デスノート」にもどるが、デスノートの力で、世界をよき方向へ導こうとし、大量殺人を犯してしまうという主人公、夜神月(やがみライト)。デスノートに書かれた名前の人々は、必ず死んでいく。その冷血で崇高な美しさを放つさまざまな彼の顔の描写を見ているだけで、ぞくぞくする。数年前、デスノートが映画化されたブームの時は、ライトと彼の敵対するエルのフィギュアがのどから手が出るほどほしかった。

「デスノート」を見ている息子の横で、「ああでもない、こうでもない」とデスノートのことを話しながら、シカゴの夜はふけていく。息子も中学生になっているので、野球とか興味がある事に関しては、大人の(いや、私以上に精神年齢は上か)会話ができ、息子もしゃべりだしたら、止まらない。親子で共通の話題があるというのは、いいことだと思う。息子が思春期に突入して、親子の会話は減るかと心配したけど、シカゴという地で、部活もない長い冬の夜では、やりようによっては、親子で楽しめるということ。子供たちの世界を全面的に否定するのではなく、自分も一緒に楽しんじゃうと気が楽で、子供たちもうれしいんじゃないかな。