万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

スイスのEU加盟は近づいた?

2009年03月07日 14時52分10秒 | 国際政治
スイス秘密口座 ついに風穴? UBS、米に顧客情報提供(産経新聞) - goo ニュース
 スイスがEU加盟に後ろ向きな理由として、しばしば、永世中立国であることや、ウィリアム・テル譲りの独立精神の高さなどが指摘されてきました。そうして、もう一つ、重要な理由があるとも囁かれてきました。それは、スイスの銀行業を守ることです。

 スイスの銀行は、世界中の資産家が”秘密口座”を開設していることで知られてきました。このため、マネーロンダリングを経た不正な資金や独裁者の隠し口座なが集まっているとも言われ、今回、アメリカの司法省の顧客情報提供の開示要求も、金融犯罪がらみであるようです。スイスの銀行業の強みとは、それがたとえ”危ない”資金であっても、徹底して守秘義務を守ることにありました。スイスがEUに加盟すれば、銀行に対して透明性を求めるEUレベルの金融規制を受け入れねばならず、それは、この強みを失うことを意味したのです。

 スイスの銀行が、もはや秘密口座の情報開示に踏み切るとしますと、スイスが、EUに加盟しない理由の一つが消えることになります。このことは、スイスのEU加盟が近づいたことを意味するのでしょうか、それとも、やはり、スイスは、我が道を行くのでしょうか。

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