万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

BIS規制は平時の規制

2009年03月23日 14時52分41秒 | 国際経済
優良企業からも貸しはがし 資本が毀損した大手行の綱渡り(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 BIS規制の目的とは、銀行の過剰貸し出しによるリスクを低減させ、健全な融資状況を維持することにありました。このため、特に国際業務を行う金融機関は、8%という高い自己資本比率が設定されています。しかしながら、金融の安定化を狙った規制でありながら、金融危機という非常事態にあっては、BIS規制は、むしろ、リスク増幅の逆機能として働いているようなのです。

 それは、株式市場も低迷し、金融秩序が不安定化すればするほど、自己資本比率を維持することが困難となり、銀行は、自己保身のために、不良債権化の心配のない優良企業に対してまで貸しはがしを行うようになるからです。この行為は、当然に企業の資金調達を難しくし、景気の足を引っ張る結果を招きます。BIS規制は、金融の安定化どころか、不安定化要因となってしまうのです。

 金融市場における規制を考える場合には、もしかしますと、”平時”と”危機”とに分けるべきなのかもしれません。危機的な状況にあって、平時の規制をそのまま課しますと、さらに状況を悪化させることもあります。BIS規制については、緊急避難措置を認めるなど、内容を再考してみる必要があると思うのです。

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コメント (4)
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