万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

拡大させると縮小するのが困難な財政

2009年03月06日 15時40分00秒 | ヨーロッパ
EU財務相、景気回復の際には緊縮財政に転じるよう加盟国に要請へ=草案(トムソンロイター) - goo ニュース
 EU諸国がユーロを導入するに際して、厳しい財政規律が求められたため、各国とも、基準をクリアするために、財政赤字の削減に人並ならぬ苦労をしたものです。この結果、放漫財政で知られた国の財政状況も、劇的に改善され、”外圧”が功を奏したとも評されました。

 しかしながら、現在、深刻な金融危機を受けて、ユーロ導入国でも財政規律が緩み、各国とも、財政拡大に走っているようです。欧州諸国に限らずとも、一旦、財政を拡大させますと、それを再び縮小する時には、相応の痛みを伴うことを覚悟しなければなりません。政府部門で雇用を増やした場合には、失業問題が再燃しますし、公的部門に依存してきた産業からも不満が寄せられるからです。財政支出の対象が既得権益化されてしまいますと、これを消滅させることが困難なことは、行財政改革が常に公務員の側からの抵抗で潰されている現状からも理解できます。

 このことは、もし政府が、景気対策のために財政支出の拡大を行うならば、将来における緊縮財政を見越した柔軟性のある策をとるべきことを示唆しています。財政とは、国民の税負担によって成立しているのですから、肥大化した行政組織と、国民負担だけが残るという事態は、避けねばならないと思うのです。 

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする