万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

核持ち込み密約―日本国への核配備も選択肢の一つ?

2009年06月01日 17時37分22秒 | 日本政治
日米の核持ち込み密約を否定=河村官房長官(時事通信) - goo ニュース
 北朝鮮の核実験により、東アジアにおける核の脅威は格段に高まることになりました。アメリカ政府は、NPT体制維持の観点から、日本国に対する”核の傘”の提供を明言したとも伝わります。もし、北朝鮮が核を放棄せず、かつ、NPT体制の下で”核の傘”を確実にしようとするならば、アメリカ軍の核兵器の持ち込みに関する条件を緩和してもよいのではないか、と思うのです。

 本日、河村官房長官が否定したことで、核持ち込みの密約が取り沙汰されたようですが、この合意は、60年の日米安保条約の改正に際して、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本への立ち寄りを黙認する、という内容であったと憶測されています。密約の存在の有無は別としましても、もし、日本国に核兵器が配備されるとなりますと、北朝鮮、さらには、中国にとりましても相当の抑止力となるはずです。もちろん、核攻撃を受けた場合、日米同盟を発動し、アメリカからICBMで反撃してもらうという方法もありますが、抑止力としては、日本国への配備の方がはるかに効果はありそうです。また、ミサイル防衛システムも、現段階では技術的に完成されていませんし、日本国が自力で核武装するには、まずは、NPT条約を改正しなくてはなりません。

 アメリカが日本国に核を配備するとなりますと、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」を掲げた非核三原則に反するとして、強い反対もありましょう。しかしながら、”持ち込ませず”まで厳格に禁じますと、自国の安全保障までもが覚束なくなります。もし、北朝鮮の核問題が解決しないならば、日本国への核配備も検討に値する選択肢の一つのように思うのです。

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コメント (8)
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