万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

台湾の人々の心を踏みにじったNHK

2009年06月27日 15時22分55秒 | アジア
パイワン族、NHKに質問状提出へ(産経新聞) - goo ニュース
 NHKが「JAPANデビュー」という番組を作成した狙いは、日本国が逸早く近代化したのは、台湾の人々を犠牲にしたからである、ということを強調することにあったのでしょう。しかしながら、この加害性を際立たせることが、台湾の人々の心を傷つける行為であることに、NHKは思い至っていなかったようなのです。

 19世紀末にあっては、世界各地に独自の文化と生活様式を保ってきた少数民族の人々はたくさんおり、日本国もまた、外国の人々から見ますと興味を惹くエキゾチックな存在でした。現在でも、文化の多様性を残すために、政府から手厚い保護されている少数民族の方々がおりますし、外国を再現したテーマパークも、日本各地で来場者を集めています。異文化の紹介という側面を考えれば、博覧会への参加は、侮辱的な意図をもっていたとは考え難いのです。それにもかからわず、NHKは、”人間動物園”なる用語を持ち出して、当時の日本が、あたかも台湾のパイワン族を見世物にした、というイメージを作り出しました。つまり、パイワン族の人々を貶めることで、視聴者に対する印象操作を行ったのです。

 これでは、NHKは、目的のために他者を犠牲にした、として自らが批難した戦前の"JAPAN"と同じ行為を行ったことになります。 結局、日本国を侮辱者として断罪したつもりが、実のところ、自分自身が、侮辱者として断罪されることになったのです。現代という時代に、日本国の公共放送が、台湾の人々の心を踏みにじるような番組を作成したことこそ反省せねばならず、台湾の方々には、大変、申し訳なく思うのです。

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コメント (11)
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