万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランの第三勢力―正常化への希望の道か

2009年06月28日 15時20分59秒 | 中近東
イラン騒乱 第3勢力形成の動き 保守分裂 カギ握るラリジャニ国会議長(産経新聞) - goo ニュース
 不正選挙に対する改革派の批判を弾圧という手段で封じ込めたイラン保守派の態度は、改革派の支持者のみならず、国民多数をいたく失望させたに違いありません。イスラムの理想が、恐怖政治に転じたのですから。

 民兵組織のバシジを先兵とした現在の統治スタイルは、明らかに常軌を逸しており、独裁者の手法そのものです。1979年に発生したイラン革命は、パーレビ体制における秘密警察や治安部隊に対する国民の抗議から始まりました。この経緯を考えますと、今回の改革派の行動に対しても、国民の多くが、その意味するところを理解したはずなのです。その一方で、前体制と同様の体質を顕わにした保守強硬派の態度は、イスラム革命そのものの意義を失わせてしまいました。

 暗雲たちこめるイラン情勢ですが、ここに来て、保守派の中にも強硬派と距離をおく第三勢力が現われてきたというニュースが報じされています。もし、保守派の中で、第三勢力が多数を占めることができれば、イランは、首尾よく恐怖政治を終わらせることができるかもしれません。イランの将来には、なおも自己浄化という希望の道が残されているのです。

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