万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ユーロ圏共同債案―ドイツは連帯保証人になるのか

2011年11月24日 19時21分11秒 | ヨーロッパ
ユーロ圏、共同債の導入提案 欧州委、資金調達狙う(朝日新聞) - goo ニュース
 ギリシャに端を発した欧州の財政危機は、ユーロ導入国に新たな対応を迫ることになりました。その一案に、ユーロ圏で共同債を発行する案があるそうです。もし、この方式を採用しますと、ドイツは、いわば、連帯保証人の立場に立たされることになります。

 現在、検討されている案は、(1)共同債案、(2)共同債と各国国債の併存、(3)従来通りの各国国債の3案とのことです。この案が採用されますと、各国政府は、個別に国債を発行することはできなくなりますが、償還や利払い不能によるデフォルトの危機に直面することはなくなります。ギリシャを始めとした財政危機にある国にとりましては歓迎すべきことですが、ドイツにとりましては、他国の借金を返済する義務を背負うことになります。ドイツも、国債を発行している状況にありますので(このニュースの影響か、応札が不調に…)、必ずしも、財政に余裕があるわけでもありません。自らも財政赤字を抱えながら、連帯保証人になるのですから、ドイツが、いち早く反対を表明する理由も理解できます。しかも、ドイツ一国の信用力で共同債を発行することにもなりかねず、良好なドイツ経済に、万が一変調が起きれば、ユーロ導入国の全てに経済不安が広がります。

 かつて、ドイツ・マルクは、ECU(ユーロの前身)の”アンカー通貨”と呼ばれていましたが、今度は、財政分野において”アンカー”となることが、ドイツには期待されているようです。果たしてドイツは、この連帯保証人という”アンカー”の役割を引き受けるのでしょうか。

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コメント (2)
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