万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ギリシャの財政危機―先端的な徴税システムの政府調達を

2011年11月08日 15時57分35秒 | ヨーロッパ
ギリシャの富裕層「税金ほとんど払っていない」(読売新聞) - goo ニュース
 財政問題に揺れるギリシャ。その最大の原因は、歳入不足にあることは明白なのですが、法の抜け道を知る富裕層が脱税できる”脱税天国”である一方で、主たる納税者である中低所得者層が”公務員天国”を支えるという歪んだ構造となっているそうです。

 処方箋としては、ギリシャ経済の活性化策が欠かせないのですが、この杜撰な税制を改革しませんと、有能な人材まで自国に失望し、国を後にすることになります。残るのは、脱税富裕者と、無責任な公務員と、無気力状態に陥った人々では、ギリシャの将来は暗いとしか言いようがありません。そこで、まず、ギリシャが着手すべきは、確実に納税額を捕捉できる、最先端のコンピュータ技術やIT技術を駆使した徴税システムを開発し、導入することではないかと思うのです。つまり、個々の国民の所得、財産、資産などを正確に把握し、納税額を正確に計算したうえで、金融機関の口座などから税を徴収できるシステムです(VATの捕捉も含めて…)。現在、こうした作業は、手作業で行われているそうですが、これでは、賄賂も横行しそうですし、正確性にも欠けています。公平な税制を実現し、政府が国民の信頼を取り戻すことができれば、ギリシャ経済も上向く可能性はあります。

 もし、自国に開発企業が存在しないならば、ギリシャ政府が、政府調達として世界各国のシステム開発企業に呼びかければ、応札してくる企業もあるはずです。長期的に見ますと、先端的な徴税システムの導入の方が、財政問題解決への近道ではないかと思うのです。

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コメント (2)
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