日本国政府のみならず各国政府にとりまして、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会全体のデジタル化の好機到来となったようです。ワクチンパスポートの発想は、デジタル化と密接不可分に結び付いており、むしろ、後者が本命との指摘もあります。何故、後者が本命と目されるのかと申しますと、ワクチンパスポートは、極めて非科学的であり、かつ、非合理的な制度であるからです。
ワクチンの効果に関するデータを見れば、ワクチンパスポートがナンセンスであることは一目瞭然です。何故ならば、イスラエルやアメリカなどの’ワクチン先進国’の現状報告からしますと、ワクチンの感染防止効果は極めて限定的であるからです。二度の接種後の感染を意味する「ブレーク・スルー感染」の事例は後を絶たず、接種者であっても他者に対する感染力は変わらないそうです。
また、抗体量やその保有期間等に個人差があるのみならず、重症化や死亡の防止効果も時間の経過とともに低下しているそうです(ワクチンは、そもそも免疫の’二度なしの原理’を利用しているので、この効果さえ限定的となれば接種の必要性も著しく低下する…)。このため、イスラエル保健省は、早々にワクチンパスポートの有効期限を半年に設定し、接種から5か月後にブースターショットを受けた場合のみ、有効期限を半年延長することとしました。このことは、ワクチンパスポートの制度を維持するためには、国民の大多数が’ロシアン・ルーレット’にも喩えられている、死亡率や重篤化率が飛びぬけて高いワクチンを年2回のペースで打ち続けなければならないことを意味します(体内の免疫システムに有害な影響を与えるリスクも上昇…)。
加えて、昨今、注目度が増してきているのは、ADEという現象です。ADEとは、ワクチン接種者の方が感染率、重症化率、並びに、死亡率が高まってしまう現象ですが、感染者数が増加に転じたイスラエルにあっては、既にADEの発生が疑われています。また、将来的な発生リスクについても、今般使用されている遺伝子ワクチンが中和抗体のみならずADE抗体をも生成さすることを阪大の研究チームが既に突き止めており、同懸念は絵空事ではありません。
変異株の出現も脅威であり、従来のワクチンの効果を低下させる、さらには、無効にしてしまうリスクもあります。実際に、コロンビアで発生したとされるミュー株には免疫逃避の可能性が指摘されています。デルタ株やラムダ株に優る脅威となっているのですが、遺伝子の塩基配列のどの部分を変異させれば、既存ワクチンによる免疫を回避し得る変異株となるのかも既に研究によって判明している今日、ワクチンと変異株との関係は、エンドレスな’いたちごっご’になることでしょう。しかも、変異株への感染は、ADEにあって抗原刷り込みや抗原原罪の原因となりますので、ワクチンパスポートの取得は、命や健康との引き換えにもなりかねないのです。
以上に述べました現状における’治験’の結果からしますと、至極当然で合理的な判断とは、ワクチンパスポートの導入見送りです。メリットとデメリットを比較すれば、後者の方が優っていると言わざるを得ないからです。少なくとも人体に対するメリットとデメリットを基準とすれば…。