新年早々、アメリカが計画している高速炉の開発プロジェクトに、日本国も参加するとするニュースが飛び込んできました。同計画、アメリカのエネルギー省と民間のスタートアップとの共同プロジェクトとされていますが、このスタートアップとは、かのビル・ゲイツ氏が出資するテラパワーであるというのです。
ビル・ゲイツ氏といえば、コロナ禍発生以前にあって、何故か既に日本国よる旭日大綬章の授与が決定されていたという謎があり、実際に、日本国内のワクチン接種プロジェクトにも関与しているとも囁かれています(一民間人でありながら、岸田首相とも会談している…)。山梨県の軽井沢には、凡そ6600坪とされる広大な敷地に’要塞’とも称されている別荘を建てているところをみますと、同氏は、日本国に対して格別の思い入れがあるようです。
さて、同氏がワクチンと並んで次なるビジネス・チャンスとして狙っているのは、エネルギー分野であるとされています。脱炭素によって化石燃料に対する風当たりが強くなっている今日、原子力発電は有力な電源として再浮上してきていますので、今般の高速増殖炉開発プロジェクトも、その一環として理解することができます。そして、エネルギー分野においても、日本国は同氏の踏み台にされそうな気配があるのです。
同氏の次世代原子炉の開発は今に始まったわけではありません。テラパワーの設立は2006年のことですし、2011年に東日本大震災に伴う福島第一原発の事故により原子力発電に対する安全神話が崩壊した直後にあっても、より安全な新型原子炉の開発を目指す旨の方針を表明しておりました。当初は、中国と組んでトリウム系燃料炉の開発を試みたようなのですが、2015年においては、既に高速炉の計画を打ち上げています。2015年時点での情報では、ゲイツ氏は、日本における高速増殖炉「もんじゅ」の開発過程で東芝が獲得した液体ナトリウム冷却技術を自らの開発に生かすために、同社と協力関係にあったとされています(今般のプロジェクトにおける日本国側の参加企業は三菱重工…)。
ゲイツ氏が高速炉の開発を積極的に進める一方で、この時期の日本国内の動きを見ますと、脱・反原発運動もあって、政府もメディアも同技術を’失敗’と見なす傾向が強まり、「もんじゅ」に対する見方にも厳しさを増してゆきます。そして2016年には、正式に「もんじゅ」の廃炉が決定されるのです。いわば、日本国内での高速炉に対する評価は、ゲイツ氏とは正反対なのです。もっとも、日本国政府は、東芝との関係からも、テラパワーが高速炉の開発を急いでいるとする情報は当然に得ていたはずです。つまり、高速炉の技術が近い将来確立する可能性を知りながら、早々に同技術の開発を放棄してしまったことなるのです。
以上の経緯を振り返りますと、資源に乏しく、エネルギー自給率の低い日本国が、高速炉の開発を早々に断念した判断が正しかったのか、疑問なところです。フランスとの協力を探ったものの、同国が計画を中止したために宙に浮いてしまったとの指摘もありますが、他国との共同開発の形態ではなく、「4S炉」を開発中の東芝のような日本企業を支援し、日本単独で研究・開発を続ける道もあったはずです。テラパワーの思惑は、自らは莫大な投資と年月をかけて実験をせずして、日本国から設計技術や「もんじゅ」で得たデータを入手することにあるのでしょうから、これらを入手し、技術が完成すれば、その知的財産権やそれが生み出す莫大な利益は、同社がおよそ独占してしまうことでしょう(日本側への利益還元は、おすそ分け程度に過ぎないのでは…)。
ビル・ゲイツ氏とは、’デジタル、脱炭素、ワクチン’の三位一体を象徴するような人物なのですが、その何れにおいても、日本国が大きく関わっているように思えます。否、日本国の政策は、同氏の都合の良い方向に仕向けられているようにも見えてくるのです。アメリカの植民地時代には領主植民地という、富裕な貴族などが国王から勅許状を得て(買って)植民地を保有する形態がありましたが、現代にあっても、未だに’私有植民地’の感覚が残されているのではないかと危惧するのです。