万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イスラム政党が国家を左右する

2007年11月14日 20時27分00秒 | ヨーロッパ
デンマーク首相、3期目へ(産経新聞) - goo ニュース

 デンマークの議会選挙においては、シリア出身の国会議員ナサ・カダー氏が結成した「新同盟」という政党が、連立のキャスティング・ボードを握るのではないか、とする憶測が流れていると言います(産経11月14日付朝刊)。

 「新同盟」の立場は中道右派である言いますが、イスラム教徒との共存を唱えているところから、アラブ系の人々の政治的立場を代表していることが窺えます。こうしたイスラム系政党が、今回の選挙では5議席を獲得し、デンマークの政界を左右する影響力を持ってきていることは、今後、デンマークのみならず、イスラム系の移民を数多く受け入れてきたヨーロッパ各国において同じような現象が起こり得ることを示唆しています。果たして、その行き着く先には、何が待っているのでしょうか。

 もちろん、起こり得るシナリオは一つではありません。しかしながら、この現象は、明らかに、国家とは何か、国民とは何かを問いかけているとも言えます。デンマーク国民は、選挙の結果、与党の移民規制政策に支持を与えることになりましたが、これも、一つの回答とも言えるのです。

 

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