万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

人類の叡智を拒絶する中国

2007年11月15日 18時42分36秒 | アジア
中国、初の政党白書発表 一党独裁の正当性強調(共同通信) - goo ニュース

 統治機構における権力分立は、確かに西欧文明を母胎としています。今後とも改良を続ける余地はありますものの、この制度が、欧米諸国のみならず日本国を含めた様々な国で、国家の運営を安定化し、悪政や抑圧から国民を救済してきたことを考えますと、権力分立の原則は、人類の叡智に値すると言えるかもしれません。

 しかしながら、中国は、この人類の叡智を敢えて拒絶しようとしています。古代から帝国型の国家は、中央集権的な体制をとってきましたし、命令の上意下達の効率性と物理的力による安定のみを追求しますと、確かに、このスタイルが現在の中国には適しているかもしれません。しかしながら、国民の自由と権利を尊重し、個々が力を発揮できるような制度を持つことを望む現代国家の要請には、現在の一党独裁では、到底、応えられないのではないか、と思うのです。

 経済分野において市場経済化を果たした限り、中国もまた、財産権の保障や営業の自由など、国民の自由と権利を保護する必要があるはずです。果たして、権力分立なくして中国は、今後の発展を支えるような制度を構築できるのでしょうか。

 

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