万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

滝法相の強制起訴制度見直しは誰のため?

2012年06月05日 17時47分20秒 | 日本政治
強制起訴制度、議論不十分で見直し必要…滝法相(読売新聞) - goo ニュース
 民主党の小沢元幹事長の陸山会事件を強制起訴に持ち込んだ検察審査会。内閣改造によって新たに入閣した滝法相は、就任早々、検察審査会の強制起訴制度には”弊害”が多く、見直しが必要と発言したと報じられています。

 この発言のニュアンスからしますと、法相が、強制起訴制度の廃止を示唆したとも受け取ることができますが、法相が見直しの理由として挙げた”弊害”とは、国民にとっての”弊害”なのでしょうか。この制度が存在しておらず、検察が判断したように、小沢氏不起訴で決着したとしますと、国民は、政治家は、如何なる悪事を働いても、検察が不起訴とすれば逃げられると疑い、政治家や検察に対する不信と不満が高まったはずです。仮に、このような事態となれば、強制起訴制度の導入を求める声がわき上がったかもしれません。政治家といった、検察への介入が疑われる立場にある人物が関わる事件であればこそ、国民が、検察の判断を覆すことができる強制起訴の制度は不可欠なのです。検察による起訴独占主義の復活が、より公平で公正な司法に向けての改革とは思えません。

 滝法相の言う”弊害”とは、強制起訴を受けた小沢氏の側にとっての”弊害”あり、この発言は、滝法相は、法秩序を守る立場にありながら、中立性や公平性を欠いていることを示しています。滝法相は、小沢氏の歓心を買うために、このような見直し論を打ち上げたのでしょう。検察審査会の強制起訴制度まで、民主党内の取引材料としたのでは、国民の失望を買うばかりなのではないでしょうか。

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-06-06 10:43:46
廃止がよい  
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Unknownさま (kuranishi masako)
2012-06-06 15:06:39
 廃止がよいとする理由は、何なのでしょうか。強制起訴の制度は、相当に、都合が悪いと言うことなのでしょうか。となりますと、犯罪者に味方していることに・・・。
返信する

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