将来像なきEU、崩壊の恐れ=ポピュリズム阻止へ結束を―ローマ法王
ヨーロッパでは、EU離脱を決定したイギリスのみならず、反移民・難民を唱える政党が勢いを増しています。この現象に危機感を募らせたのか、ローマ法王は、バチカンに集まったEU加盟27カ国の首相を前にして、各国が結束して排外主義に対抗するよう訴えたと報じられています。
ローマ法王の演説には、”恐怖に負け、偽りの安全に閉じこもることを拒否したとき、欧州は新たな希望をみつける”とする件があるそうですが、ロンドンにおいてテロ事件が発生した直後だけに、この言葉は、虚ろに響きます。法王の言葉を文字通りに解釈すれば、イスラム過激やや異民族集団に対する恐怖心に打ち勝ち、国境を開放してこれらの人々を寛容に受け入れれば、欧州は、”新たな希望”を見つけるということになります。”新たな希望”については、法王自身は具体的な内容を示してはいませんが、論理的な帰結は、全世界から移住してきた様々な人々が混住し、融合する”コスモポリタンな世界”か、あるいは、イスラム教集団をはじめ、それぞれの移住民族がコミュニティーを形成する細分化された”多文化共生社会”の実現です。否、『コーラン』では、全世界にイスラムを広げることを勧めていますので、人口増加率からすれば、ヨーロッパはやがてイスラム世界化し、キリスト教徒は迫害されるかもしれません。何れにしても、そこには、もはや歴史や伝統を継承する国民国家は存在せず、ヨーロッパ諸国民の民族自決権も否定されることとなります。ローマ法王の目指す方向性とは、国民国家と民族の消滅を願っている点において、新自由主義者や共産主義者と同一と言っても過言ではないのです。
ローマ・カトリックの長としてローマ法王の立場からすれば、宗教には国境はありませんので、国民や国土は無用なものなのでしょう。仮に、今日、イタリア中部に、8世紀のピピンの寄進以来、かつて存在していたローマ法王領が存在し、国土や国民の防衛、そしてそこで培われてきた文化の維持に対する義務感があれば、かくも無責任な発言はなかったかもしれません。国際的な結束や連帯によって守るべきは、主権平等と民族自決を原則とする伝統的かつ普遍的国民国家体系のほうなのではないかと思うのです。
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ヨーロッパでは、EU離脱を決定したイギリスのみならず、反移民・難民を唱える政党が勢いを増しています。この現象に危機感を募らせたのか、ローマ法王は、バチカンに集まったEU加盟27カ国の首相を前にして、各国が結束して排外主義に対抗するよう訴えたと報じられています。
ローマ法王の演説には、”恐怖に負け、偽りの安全に閉じこもることを拒否したとき、欧州は新たな希望をみつける”とする件があるそうですが、ロンドンにおいてテロ事件が発生した直後だけに、この言葉は、虚ろに響きます。法王の言葉を文字通りに解釈すれば、イスラム過激やや異民族集団に対する恐怖心に打ち勝ち、国境を開放してこれらの人々を寛容に受け入れれば、欧州は、”新たな希望”を見つけるということになります。”新たな希望”については、法王自身は具体的な内容を示してはいませんが、論理的な帰結は、全世界から移住してきた様々な人々が混住し、融合する”コスモポリタンな世界”か、あるいは、イスラム教集団をはじめ、それぞれの移住民族がコミュニティーを形成する細分化された”多文化共生社会”の実現です。否、『コーラン』では、全世界にイスラムを広げることを勧めていますので、人口増加率からすれば、ヨーロッパはやがてイスラム世界化し、キリスト教徒は迫害されるかもしれません。何れにしても、そこには、もはや歴史や伝統を継承する国民国家は存在せず、ヨーロッパ諸国民の民族自決権も否定されることとなります。ローマ法王の目指す方向性とは、国民国家と民族の消滅を願っている点において、新自由主義者や共産主義者と同一と言っても過言ではないのです。
ローマ・カトリックの長としてローマ法王の立場からすれば、宗教には国境はありませんので、国民や国土は無用なものなのでしょう。仮に、今日、イタリア中部に、8世紀のピピンの寄進以来、かつて存在していたローマ法王領が存在し、国土や国民の防衛、そしてそこで培われてきた文化の維持に対する義務感があれば、かくも無責任な発言はなかったかもしれません。国際的な結束や連帯によって守るべきは、主権平等と民族自決を原則とする伝統的かつ普遍的国民国家体系のほうなのではないかと思うのです。
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ローマ法王は、中国での布教活動の拡大を目的として、共産党一党独裁体制とも妥協しようとしております。”汝の敵を愛せ”をそのまま世俗の世界にまで持ち込みますと、邪悪な者も蔓延り、秩序も崩壊することでしょう。ローマ法王の偽善は、国際社会を混乱させるのみであり、まことに困ったことと思うのです。