
西行さんは、平安末期、出家することは個人的な望みとして、家族を捨てて出家しました。何もそこまで厳しい道に行かなくていいのに、と思われますが、当時はそれでなくてはならなかった。その西行さんの唯一のわがままは、2月の満月の頃に亡くなりたいというものでした。何とわがままだと思うべきか、そうしたスタイルを貫くことのすばらしさに感動すべきか。
人は勝手な感想をもらしますが、1つの理想として輝いています。そして、私たちは問いただされる気がします。おまえは、自分の命がなくなるときをどのように見つめているのか、と。
梁塵秘抄(りょうじんひしょう)は、後白河法皇さんが編集したそうですから、法皇さんの趣味が出ていますね、たぶん。だから、政治的に画策した、とんでもないオヤジのイメージもありますが、こんなかわいらしいことが好きだったのかと、意外な感じです。
親鸞さんは、私はまだまだ勉強が足りなくて、日本史の中のことことばしか知りません。いわゆる悪人正機説ですね。ありがたいことです。私は悪人ではないつもりですが、アホーでイジケたオッサンなので、親鸞さんにおすがりしなくては!
一遍さんは、頭では理解できますが、その世界に入ろうとはまだ思えません。春駒って、楽しいおまつりで、それを口ずさんで踊っていると、何かほがらかな気分が漂うのはわかります。不思議なものです。そういうことで浮き世を忘れることは救済にはなりますね。
そうです。昔は、この世は「憂き世(うきよ)」だったんですね。それは忘れられるかも……

◇ 次の空欄に適当な言葉を選び、昔の人の言葉を完成しなさい。
15 願はくは花の下にて春死なむその( )の望月(もちづき)のころ……西行(さいぎょう)
訳 できることなら、桜が満開のころに死にたい。あのお釈迦さまが亡くなられた○月の満月のころに。
16 遊びをせんとや生まれけん ( )せんとや生まれけん 遊ぶ子どもの声聞けば わが身さへこそ揺(ゆ)るがるれ……梁塵秘抄(りょうじんひしょう)
訳 子どもは遊びをしようとして生まれてきたのであろうか。おふざけをするためにうまれてきたのであろうか。遊んでいる子どもたちの声を聞くと、大人のわたしのからだまでが自然と動き出してくるようだ。
17 善人(ぜんにん)なおもちて( )をとぐ。いわんや悪人をや。……親鸞(しんらん)
意味 善悪を問わず、素直に阿弥陀(あみだ)さまにすがること。そうすれば、明るい来世が待っている。
18 はねばはねよ踊(おど)らば踊れ春駒(はるこま)の( )をば知る人ぞ知る……一遍(いっぺん)
意味 はねるだけはねなさい、踊るだけ踊りなさい、そうして仏様にちかづくことができて、踊る者にしかわからないものなのだ。
[語群] ア・法(のり)の道 イ・往生(おうじょう) ウ・戯(たわぶ)れ エ・如月(きさらぎ)

[ヒント]
15・桜の花を愛した歌人・西行。満開の時にこの世を去りたいという希望は、仏教の祖である釈迦入滅(しゃかにゅうめつ)の○月十五日が目標で、そして彼も一一九○年の○月十六日、七十三歳で迎えることになりました。
16・こんなに純粋に遊ぶことをたたえた言葉ってあるでしょうか。踊り出すくらいに自己のエネルギーを解放しなきゃいけないですね。
17・親鸞(しんらん)の《歎異抄(たんにしょう)》の言葉。逆説的で、少し変わっていますが、無力な大衆こそ、素直に信じる力があり、それが救われる力に変わるのだ、という優しい教え。
18・無心に体を動かし続ける自分に何かがわき起こる感触。そこに一遍(いっぺん)は仏様を見つけた。人々にはわかりやすく、参加しやすい教えであったと思います。
[答え]……15・エ 16・ウ 17・イ 18・ア
人は勝手な感想をもらしますが、1つの理想として輝いています。そして、私たちは問いただされる気がします。おまえは、自分の命がなくなるときをどのように見つめているのか、と。
梁塵秘抄(りょうじんひしょう)は、後白河法皇さんが編集したそうですから、法皇さんの趣味が出ていますね、たぶん。だから、政治的に画策した、とんでもないオヤジのイメージもありますが、こんなかわいらしいことが好きだったのかと、意外な感じです。
親鸞さんは、私はまだまだ勉強が足りなくて、日本史の中のことことばしか知りません。いわゆる悪人正機説ですね。ありがたいことです。私は悪人ではないつもりですが、アホーでイジケたオッサンなので、親鸞さんにおすがりしなくては!
一遍さんは、頭では理解できますが、その世界に入ろうとはまだ思えません。春駒って、楽しいおまつりで、それを口ずさんで踊っていると、何かほがらかな気分が漂うのはわかります。不思議なものです。そういうことで浮き世を忘れることは救済にはなりますね。
そうです。昔は、この世は「憂き世(うきよ)」だったんですね。それは忘れられるかも……

◇ 次の空欄に適当な言葉を選び、昔の人の言葉を完成しなさい。
15 願はくは花の下にて春死なむその( )の望月(もちづき)のころ……西行(さいぎょう)
訳 できることなら、桜が満開のころに死にたい。あのお釈迦さまが亡くなられた○月の満月のころに。
16 遊びをせんとや生まれけん ( )せんとや生まれけん 遊ぶ子どもの声聞けば わが身さへこそ揺(ゆ)るがるれ……梁塵秘抄(りょうじんひしょう)
訳 子どもは遊びをしようとして生まれてきたのであろうか。おふざけをするためにうまれてきたのであろうか。遊んでいる子どもたちの声を聞くと、大人のわたしのからだまでが自然と動き出してくるようだ。
17 善人(ぜんにん)なおもちて( )をとぐ。いわんや悪人をや。……親鸞(しんらん)
意味 善悪を問わず、素直に阿弥陀(あみだ)さまにすがること。そうすれば、明るい来世が待っている。
18 はねばはねよ踊(おど)らば踊れ春駒(はるこま)の( )をば知る人ぞ知る……一遍(いっぺん)
意味 はねるだけはねなさい、踊るだけ踊りなさい、そうして仏様にちかづくことができて、踊る者にしかわからないものなのだ。
[語群] ア・法(のり)の道 イ・往生(おうじょう) ウ・戯(たわぶ)れ エ・如月(きさらぎ)

[ヒント]
15・桜の花を愛した歌人・西行。満開の時にこの世を去りたいという希望は、仏教の祖である釈迦入滅(しゃかにゅうめつ)の○月十五日が目標で、そして彼も一一九○年の○月十六日、七十三歳で迎えることになりました。
16・こんなに純粋に遊ぶことをたたえた言葉ってあるでしょうか。踊り出すくらいに自己のエネルギーを解放しなきゃいけないですね。
17・親鸞(しんらん)の《歎異抄(たんにしょう)》の言葉。逆説的で、少し変わっていますが、無力な大衆こそ、素直に信じる力があり、それが救われる力に変わるのだ、という優しい教え。
18・無心に体を動かし続ける自分に何かがわき起こる感触。そこに一遍(いっぺん)は仏様を見つけた。人々にはわかりやすく、参加しやすい教えであったと思います。
[答え]……15・エ 16・ウ 17・イ 18・ア